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とりとめのないメモの山

vespa mandarinia:

2009-08-27 00:00:00 | biologie*


オオスズメバチ Vespa mandarinia japonica (Radoszkowski, 1857)
        の、ワーカー(働きバチ)。

節足動物門 Arthropoda
 六脚類 Hexapoda
  昆虫類 Insecta
   膜翅目(ハチ目) Hymenoptera
    細腰亜目(ハチ亜目) Apocrita
     スズメバチ上科 Vespoidea
      スズメバチ科 Vespidae
       スズメバチ亜科 Vespinae

この洗練された形態に鮮やかな色、そして何よりその強さと大きさに圧倒される、
実に魅力的で美しい動物だ。

体長は女王バチ40~45mm,働きバチ27~40mm,オスバチ35~40mmで,スズメバチの最大種。
にして、japanese giant hornetとも呼ばれるように、世界最大級にして最強の毒を持つハチである。
日本を含む東アジアで古くから恐れられ且つ崇められ、また食用などで親しまれてきた昆虫なので、
その生態に関しては非常に詳しく調べられている。
ただ反面、迷信も多く、特に刺された時の対処法などは未だに誤った情報を信じている人も少なくない。

スズメバチ全般の情報は、
こちらのサイト→『都市のスズメバチ』などがかなりよく纏まっている。


 
  
Abdomen;腹部  Antenna;触角  Compound Eyes;複眼   Femur;腿節   Fore Wing;前翅   Gena;頬   Head;頭部  Hind Wing;後翅 
Mandible;大顎  Ocelli;単眼   Sting;針  Tarsus;跗節   Tergum;背板  Thorax;胸部   Tibia;脛節  Tibial Spur;脛節刺   Trochanter;転節   Vertex;頭頂 

膜翅目(Hymenoptera)の翅は特徴的である。
膜状で、前翅が後翅に比べて明らかに大きく、
後翅の前縁部には細かい棘が並んでいて、これで前翅と結合している。
つまり、ハチは2対の翅は持つものの、実際は前翅-後翅を完全に1セットにして、機能的に1対の翅として用いている。
トンボが前後の翅を交互に羽ばたかせるのとは対照的で、
ある意味、飛び方としては双翅目(Diptera; ハエ目)に近いかもしれない。

膜翅目で跗節(tarsus)は通常5節(減る場合はある)、単眼(ocelli)は3つが基本形だ。
そういう辺りでは、オオスズメバチはかなり典型的な形をしている。

毒針(sting)は産卵管の変型であり、
よって♂は絶対に刺さない。
働きバチは、すべて繁殖能力を持たない♀。

 
  

ハチは英語圏ではbee、wasp、hornetなどと呼ばれるが、
ミツバチなどの花蜂系→bee
狩人バチ、兵隊バチ→wasp
というイメージだ。hornetはwaspの中でも特殊なもので、より強大なイメージが増している。
辞書的には「wasp;スズメバチ」とある場合もあるが、
日本で言うスズメバチはむしろhornetの怪物的イメージの典型であり、
waspはどちらかというとアシナガバチやアナバチくらいの、スマートですばしっこい兵隊風の印象がある。
だから、R.ヴォーン=ウィリアムズの作曲した"劇音楽『すずめばち』序曲"というのがあるけれども、
あれは原題が"the wasp"なので、誤訳とまではいかないまでも、
ニュアンスとしては日本語と原題とではかなり差がある。


下写真、左がオオスズメバチ、右がヒメスズメバチ。
  
ヒメちゃんはコガタスズメバチなどにも似ているが、腹の先端が黒いので容易に区別できる。
ヒメやコスズメでも、遭遇しようものなら「ギャー!」「デカイ!」と騒がれるが、
オオスズメバチはまだそれより一回り大きい。
他のスズメバチに比べると、それほど人家に近いところにはいない方だが、
山歩きや雑木林に行く際には注意しましょう。
カブトムシの出るような樹液の滲みによくいるんだ、これが…。

カッコいいんだけどね☆
もし万が一捕まえたら(危険なことはしないこと!)、マニアックな昆虫、撚翅目(ネジレバネ目;Strepsiptera)の、
スズメバチネジレバネ(Xenos moutonii)などが腹部に寄生していることもあるので、よく観察してみてください。


 
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BLOG内LINKS:

『都市のスズメバチ』 :外部リンク。

specimens: うちの収蔵標本。

Tetraclita japonica: クロフジツボ。同じ節足動物の誼。
Nihonotrypea harmandi: ハルマンスナモグリ。同じ節足動物の誼。
Ovalipes punctatus: ヒラツメガニ。同じ節足動物の誼。

take off: クマゼミ、羽化る。





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