fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

love crab in heda:

2009-09-27 00:00:00 | geographica"

日本動物学会のついでに…

静岡市をちょいと東に出て、沼津市。

沼津駅周辺は意外と(失敬!)街で、よかった大手のネットカフェ(緊急宿泊先)もあるぜと胸を撫で下ろし。
沼津漁港までは駅から徒歩30min足らず。
朝早く快晴の天候につき、タイヘンに気分が良い。

港では、
駿河湾の味わい、キンメダイにメロー※注1、イルカのタレなどが並ぶ。
  
美味そう~~❤❤(イルカはあまり好きじゃないんだが…)

朝食は地魚の海鮮丼!!
  

さて満腹になると、今回の旅の目的地、戸田(Heda)を目指すことに。
沼津市戸田(旧:戸田村)は伊豆半島西岸駿河湾に臨む小さな漁師町である。
ご存じのとおり、駿河湾や相模湾は陸地の付近に係わらず大陸棚が大きく落ち込んでいて、
近海でありながら貴重な深海生物や"生きている化石"などがゴロゴロ採れる、世界的にも特異な海域だ。
伊豆半島、戸田の方々は古くからこの海で漁をし、深海の恩恵を受けてきた。
最近は"深海魚を食べられる店"などで、観光客などにもアピールされている。

中でも最も有名なのが、世界最大(脚開長)のカニ、タカアシガニ(Macrocheira kaempferi Temminck 1836)!
日本ではどの水族館でも見られる動物で、子どもたちの人気者だが、
実は現生種はほとんど日本近海の深海でしか生息しておらず、他にはアメリカ大陸などで化石が数種発掘されるのみである。

前年のミドリシャミセンガイ@有明海に引き続き、今年も"生きている化石"を食らうの会、発足(会員1名)!

沼津から船で行くぜ!
  
伊豆って東岸は伊東線が走っているからいいが、西海岸は鉄道がない。
戸田に行くには、バスなどを乗り継ぐ手も無きにしも非ずだが、ちょいとまどろっこしいし乗り換えの手間もかかりそうだ。
というわけで、片道¥2000:30minかかるが、高速船ホワイトマリンⅡで行くことにした。
良い日和だし。船旅好きだしね☆

意外と飛ばすぞ。
  
富士山を後方に、爽やかに船は突っ走る。

30minきっかりで戸田到着~。
  
なんということでしょう。
観光案内所の看板で既に萌えまする。
  
微妙に純文学の香りのするような、映画的な町ですね。正統派怪獣映画とか松本清張みたいなのにフィットしそう。
まぁ伊豆って言うのがそういう地域なんだけどさ☆
海沿いも磯・砂浜・河口etc...と狭い範囲にそろっており、 ガチで生物採集やるとかなり楽しいと思う。
ちなみに静岡県沼津市は磯野フネさんのご実家があるとされる地域であり、
聞くところによると、特に西浦河内からこの戸田にかけての近辺がそうだとか。


そして、覗く店覗く店、生簀はこの有様、と。
  
こんなにスシ詰めになったタカアシガニを初めて見たよ(笑)。
良いところだなぁ~♪

タカアシガニを食える店は数あれど、
やはり相場では1パイ丸ごとで安くても¥1万は余裕で超えてしまう。
学生さんが単身乗り込むには丸ごと1匹はあまりに多すぎるし高すぎるので、
脚の2, 3本付いた"定食"のようなものを探すことに。
標本用の甲羅(こういうトコ忘れない)を入手するため漁協で探りを入れたりしているうち、
纏まった結果が此方。『の一食堂』さん。
  
店の前に置いてあった"面"を、きちんと交渉して頂戴いたしました。
ありがとうございます。
 
『高足がに定食』を頂きました☆
  
想像通り、ズワイガニなどのような繊維質の締まった肉とは異なり、比較的水っぽく柔らかい感じ。
しかし味は極めて濃厚であり、これでもか!というぐらいにカニカニしている。
エビ・カニの腐りやすさは1つその独特の旨味を構成するアミノ酸組成などからも来ているが、
(だから最初から今回標本として求めたのは乾燥した殻のみだった。この大きさの生ガニなど暑い中持ち歩くのは自殺行為!)
このザ・カニとも言うべき濃厚な味わいは、ひょっとしたら新鮮でなければ味わえないということを逆説的に示しているのかも。
一緒に付いていたボッチ(メヒカリ)のフライなんかも美味しかったなぁ~♪


帰りの船まで1時間半ほどあるため、散策。
実に風光明媚だ。
 
  

30minほどで、『戸田深海生物館』に到着。岬の先っちょに建っていました。
  
タカアシガニ♂の立派な剥製。欲しいなぁ~~(何処に置くんだ)☆
  
覗いたお店なんかにもよく飾ってあったけれど、
戸田ではタカアシガニの甲羅に顔を描き、面にして魔除けとして飾る風習があります。
  
世界的に見れば本当に希少な珍生物なんだが、
こうしてその生息地付近の地域の文化にちゃんと根付いているのが面白い。

深海生物館内は、さして広くはないけれども、なかなか素晴らしい剥製が並べてあるのであります。
  
やはりタカアシガニにはこだわり、成長段階などもゾエアから乾燥標本にしているという気合の入れようだ(見えないよ~)。
  
  
個人的イチオシの中から4つほどランダム抽出した展示が上だが、
まぁ~、書くと長いから、分かる人だけ萌えてくださいっ!


そんなわけで、あとはまた15時台の船で沼津港に戻りました。
荷物全部持って歩きまわっていたので、相当疲れましたが…楽しい小旅行でしたね☆
また、今度はガッツリ装備した上で行きたいものです。


次の日は西への帰りの旅になるけれども、それはまた次回


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※注1:
メロー、メロと呼ばれる魚は、スズキ目ノトセニア類のマジェランアイナメのこと。
アイナメと名前にはあるが、カサゴ目のアイナメとは全くの別物。
5年くらい前までは市場で"銀ムツ"と呼ばれていたが、高級魚のムツと混同されてしまうため、
この呼称を単体で使用することは法的に禁じられた。
っても、未だムツ、クエ、スケソウダラ、メルルーサ、バカラオなど、様々な魚との混同が各国で見られる。
不遇っちゃ不遇な魚だ。
脂が多くて、照り焼きなどにすると旨いんだなこれが。



BLOG内LINKS:

 the zoological society of japan:80th. 日本動物学会第80回大会@静岡グランシップ。






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