まあどうにかなるさ

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紙の砦

2014-02-01 20:41:09 | 書評

先日、新聞にセンター試験の問題が掲載されていた。その中の日本史に、手塚治虫の漫画の一部が引用されていた。
試験に漫画が取り上げられる時代なのだなと思う。
僕が子供の頃、漫画は文化としてはまだまだ認められない低俗なものという扱いだったと思う。
今では、立派な文化として認められるようになった漫画。だがそれは日本だけの話で、まだまだ文化として認められていない国が多い。その理由の一つはそれらの国に手塚治虫がいなかったからである
センター試験に取り上げられていた作品は『紙の砦』
手塚治虫の自伝的漫画だ。

戦時中、軍需工場に学徒動員された学生の話である。
仕事をサボってはこっそり漫画を描いていた主人公大寒鉄郎は宝塚歌劇団の岡本京子と知り合う。漫画家志望の鉄郎とオペラ歌手になるのが夢だという京子。だが、戦時中なので、漫画が世に出ることもないし、宝塚の舞台も閉鎖されたままである。
京子に淡い恋心を寄せる鉄郎。
だが、やがて空襲が二人を襲い、京子の顔は大やけどを負い、二度と舞台に立てない顔になってしまう。
紙の砦
弱々しく、すぐに壊れてしまう砦である。
しかし、紙に書いた言論の砦という意味なら誰にも壊すことはできない。
主人公は、最後まで創作意欲を失わず、紙の砦を守りきる。
やがて京子は行方が判らなくなってしまう。
だが、彼の漫画に登場するヒロインは京子の面影がずっと消えないまま残り続けているのだ。




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