「朝10時の映画祭」がおこなわれています。映画ファンの投票によって選ばれた50本を毎週一本づつ、朝10時から上映するというもの。朝方の僕にとっては願ったり叶ったりというわけで、先週の「裏窓Rear Window」、そして今週の「北北西に進路をとれ North by Northwest」の二本、すなわちヒッチコック作品を大型スクリーンで見てきました。「裏窓」はさておき、「北北西に進路をとれ」でなんだか違和感を感じました。面白いのは当然なのですが、いまいち「なんだろ、この乗れないかんじ」というモヤモヤが沸き起こってきました。テンポは問題ない。テレビサイズの画面でみるとちょっとモッサリしていると感じるかもしれませんが、大型スクリーンではちょうど良い。ストーリーか。いや、度重なるドンデン返しは実に細かいところまで計算されていてこれも問題ない。俳優?演技?セット?いろいろ考えて、はっと気がつきました。テレビや他の映画で何度も見たシーンの連続だったのです。設定こそ、チャンバラ劇だったり、SFだったり、史劇だったりと変わっていても、構成や演出が同じだったわけです。おそらく「北北西に進路をとれ」から影響を受けた作品を先に見ていたからなのでしょう。過去の傑作の宿命なのかもしれません。「春の祭典」を聴いてそれほどの衝撃を受けない現代の耳と同じです。やはり同時代にしか体験し得ないものがあると、今更ながらに思いました。
しかし、乗り切れないとはいえ、「北北西」傑作。セスナの銃撃から逃げるシーンのスリル、そしてエンディングのセンスは抜群。あれを超えるアイディアはまだ出てきていない事を確認しました。
しかし、乗り切れないとはいえ、「北北西」傑作。セスナの銃撃から逃げるシーンのスリル、そしてエンディングのセンスは抜群。あれを超えるアイディアはまだ出てきていない事を確認しました。