きょうも映画館通い by Banzong

わたしたちは世界一の映画の街に住んでいる!

2017.10.7 京橋フィルムセンターで黒澤明『デルスウザーラ』70ミリ上映を観る。

2017-10-07 | 映画レビュー
『デルス・ウザーラ』(1975年)は封切以来の70ミリ上映です。実は、日本ではいま、70ミリのフィルム上映ができる映画館はありませんで。フィルムセンターも所蔵はしているが、やっと装備対応ができ、今回が初上映となったんだそうです。16時からの上映ですが、13時到着で整理番号220。あと残り約70でした。結局今日2回の上映はともに満員の盛況。もちろん公開当時観ているのですが、確かヤマハホールでの試写だったので、たぶん35ミリ版。70ミリは初めてです。

20世紀初頭の帝政時代ロシア、極東のウスリー地方を調査した軍人の探検記を映画化。その軍人と、ガイド役だった現地人デルスとの友情物語です。シベリアの大自然の映像が本当にすばらしい。黒澤さんが70ミリで撮りたかったという気持が痛切にわかります。

公開されたときは、わたし、新米映画記者でして、来日した主演俳優と黒澤さんの座談会という、先輩がたてた企画を大緊張でお手伝いしたのが個人的な思い出です。だから来日したおふたり、デルス役のマキシム・ムンズク、隊長役のユーリー・サローミンと、いまでも資料なしでお名前を書けます。ムンズクさんは実物も、映画とほぼ同じイメージで、黒澤さんを心から尊敬している様子、とても純朴な方でした。

デルスの、自然とともにあるというアニミズム的な生き方や、描かれた世界はいまこそ受け入れられる考え方です。新鮮なのはプリントの状態だけでなく、映画もまるで古くありません。それにしてもどうやって撮ったのかが知りたくなり、帰りに八重洲ブックセンターで『黒澤明 樹海の迷宮』というこの映画の全記録を買いました。野上照代他の共著。600ページを越える大冊です。

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2017.10.7 ラピュタ阿佐ヶ谷で川島雄三監督『愛のお荷物』を観る。

2017-10-07 | 映画レビュー
ラピュタ阿佐ヶ谷で川島雄三監督『愛のお荷物』を観る。

開催中の特集上映「昭和の銀幕に輝くヒロイン 轟夕起子」の一本です。モーニングショー企画ですが、なんとか観られました。私は川島雄三作品がかかったら外さないつもりですが、同好の士が多いのでしょうか。10:30の回は空席はわずかです。

産児制限で動く厚生大臣の山村聰の一家に次々と子宝ができるというコメディ。1955年の日活作品です。会話のテンポだけでなく、展開もスピーディーで、飽きさせません。

初見ではありませんが、発見というか、あ、そうなのか、と思うところがいくつかありました。

例えば、北原三枝(いつもながらスタイルいいし、美しい!)演じる秘書が息子の三橋達也と恋仲になります。この北原の名字が「五代」。実は大阪財界の名門一族だということが後でわかります。あのディーンフジオカが演じたあの人ですね。いまならわかります。三橋が凝っている、義太夫かな、素人天狗連の集まりの場として、上野の本牧亭が出てきます。昭和三十年の東京、いつものことながら、モノクロの画面で観ると素敵です。


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