残照日記

晩節を孤芳に生きる。

分不相応

2010-11-23 08:28:09 | 日記
<子曰く、徳薄くして位尊く、知小にして謀(はかりごと)大に、力小にして任重ければ、(禍が)及ばざること鮮(少な)し(孔子が言うには、徳も無いのに高い位におり、知恵も無いのに計画ばかり大きく、力量が無いのに任務が重ければ、災いが身に及ばぬ筈が無い。>(「易経」繋辞下伝)

∇今朝の朝日新聞一面に、<参院予算委の集中審議で宙を見上げる菅直人首相>という添え書き付きで、菅首相の疲弊しきった写真が載っていた。“政治とカネ”問題で、とうに失脚すべき小沢氏・鳩山氏らが相変わらず居座り、現役大臣の失言、問題発言等々で野党に追求されっ放しの菅内閣。文字通り「内憂外患」「八方塞がり」「四面楚歌」だ。こんな状況を目にするたびに、冒頭に掲げた易の格言が頭をよぎる。世の中を見ると、不思議と、人徳・知恵&知識・力量不足の人が重役になりたがる。しかも神はそういう人をリーダーに選挙して、人間どもの平和をぶち壊すよう望んでいるような気がする。神々は徳知、力量あるリーダーを選びたがらない?

∇「旧約聖書」・創世記によれば、かつて世界中の人々は同じ言葉で話していた。 東方から移動してきた民族が、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。やがて 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合い、遂に「天まで届く塔のある町を建てゝ、有名になろう」と野望を抱くに至った。神が降りて来て塔のあるこの町を見て、「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう」と言って、全地の言葉を混乱させた。人々は統一言語を失い意思疎通ができず、この町の建設をやめた。世界に多数の言語があるのはこの故である。(「バベルの塔」)

∇「優れた人物をリーダーにしたら、いずれ我々神の存在を危うくする、人々を平和にしてはいけない!」──分不相応の人物を大統領や首相、担当大臣に据えようとするのは、どうも神の意思に相違ない。だから世界中見渡しても首長に優れた人物が見当たらず、スーチー女史のように、真に民に平和を齎そうとする人は軟禁され、ノーベル平和賞受賞者の中国の反体制作家・劉暁波氏のように弾圧される運命にある。嗚呼、<人は名・位の楽しみたるを知りて、名なく位なきの楽しみの最も真たるを知らず。>(菜根譚前集六六) 我々凡人は分相応でいこう。「老子」に曰く、<その食を甘しとし、その服を美とし、その居に安んじ、その俗を楽しむ>と。

最新の画像もっと見る