残照日記

晩節を孤芳に生きる。

大地震対策

2012-01-26 17:59:08 | 日記
≪鶴亀≫ (落語「浮世根問(うきよねどい)」他)

え~昔から“鶴は千年 亀は万年”と申しまして、
   長寿の代表格ですは。
ところが、近所の子供が縁日で買うてきた亀が
   翌日死んでしまいましてな。
子供「万年生きる言われて買うてきたのに昨日死んだ。
   何んでやねん?」
大家「それは気の毒なこっちゃ。
   それがちょうど万年目だったんやろう」
子供「……?」

≪M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研──マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。東日本大震災によって首都圏で地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。首都直下を含む南関東の地震の発生確率を「30年以内に70%程度」としている政府の地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測だ。昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1・48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。…≫(1/23 読売新聞)

∇“7級の首都直下地震”の発生確率が、30年以内に70%だったのが、4年以内に70%へと切迫性が高まったというのである。先ずは何故こうも予測がコロ/\変わるのか、腹立たしい。誰かが計算しなおしたら、又変更の可能性も十分ある。かくて、地震予測技術は今まで膨大な研究費を費やしながらも、少しも確度(たしかさの程度)が上がっていない。ましてや、仮に「4年以内に70%の確率」が正しいにしても、肝心ないつ、どこを震源地として起るのかといった実質上重要な予測は、現在の地震学のレベルでは全く分っていない。じゃあ我々はどうすればいいのか。──先ずは「確率」なるものゝ概念を捉えるために、上図をもとにアウトラインを理解しておこう。この図は、かつて老生が某企業で、社会的事象を確率で考える場合、特に留意すべき事項を理解する手立てとして、実際にサイコロを振って試みた実験データである。

∇表は、観察者の目前で、100回サイコロを振って、出た目を右から左、そして下の段へと順次記入してもらったもの。この表から1~6の目の出た数を合計すると、1=17回、2=16回、3=16回、4=20回、5=18回、6=13回であった。理論的には、100回振った場合のそれぞれの目の出る確率は100÷6≒16.7回であるので、4の目の20回、6の目の13回はやゝ外れるものゝ、千回、1万回振れば、法則どおり、サイコロのそれぞれの目の出る確率は、1/6に近づくことが推量・納得される。ところで、地震の発生確率というのは、4年以内に7割の確率(確かさ)でM7級首都直下地震が起るというもの。サイコロの100回がこの場合4年=365日×4=1460日に当る。今から1460日以内のある日、1回だけM7級首都直下地震が7割の確度で勃発する可能性がある、というのである。

∇さて、実験データの表に話を戻そう。それぞれの目はほゞ確率計算どおりに出たが、100回振った「合計値」であった。1、2、3、4…と順序よく出たわけではない。ある時は1→1、3→3と連続に、ある時は4→4→4と3連続に目が出て、合計するとそれぞれが1/6に近づいていた。3段目のように3→3、4→4、5→5と連続目が出る「潮目」があるかと思えば、5段目のように、1と5の目が多くでる「潮目」の流れもある。繰り返すが、100回合計すると個々の目が1/6ずつ出ていた。これが確率の実相なのである。「合計」「4年以内」という大きな想定範囲内に於ける「確からしさ」は想定できても、点としての「何時」までは全く読めない。要するに30年以内が4年以内に縮まっても、70%の確かさでM7級首都直下地震が起る「心配と対策」は変わりない。明日起るかも知れないし、4年目末日=1460日目に勃発するかも知れないし、3割の確率で外れる可能性もあるのである。表を眺めていると色々考えさせられる。詳細は割愛するが、一言で言えば、落語の「鶴亀」を思うべし。対策? 諸兄姉それぞれが考えて欲しい──。



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