うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

硫黄島からの手紙

2006-12-17 01:17:23 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



父親たちの星条旗」に次ぐ硫黄島シリーズ第2弾「硫黄島からの手紙」です。
正直、ことらはあまり期待していませんでした。
ドロドロに生々しい作品になるのは目に見えてるし、ハリウッドが作る日本の戦争映画という点にも不安があったからです。
まぁ、興味もあったけども…。
対するこじかは、「父親たちの星条旗」がよかったのと周辺の高評価と両方で、かなり期待してたみたいで・・・。


「硫黄島からの手紙」は興行成績もかなりいいみたい。
あっという間に1位になってましたね。
でも、いつも通りのMOVIX堺。
話題作の割には人少なくないか?いや、いつも通りか…
でもよくよく考えたら2館上映してるんでした。
それで4割方席は埋まってたから、これはやっぱ多い方??
観客にはお歳を召した方が多かったです。
やはり、戦争映画となると「観なきゃいけない。」という義務感のようなモノを感じられるのでしょうか…。
決して娯楽作品ではないから、楽しむのが目的とは思えないし。。

上映前で驚いたことと言えば、海賊版撲滅キャンペーンの映像が変わってました!
前よりは不快度は下がったかな?
うっといことには変わりないけど、前のよりは許せるかも?
でもやっぱ、せめて予告が始まる前に流して欲しいなぁ。
ノラビッツは相変わらず。
えぇかげんにしとき。


さて、作品の方ですが…。
ことらは全く期待してなかったんだけど、食い入るように観てしまいました。
でも、こじかは眠かったそうです…。
こじかが眠くなる映画はたいていの作品が「・・・」な作品で。。
「あらぁ?俺の感性がおかしいのか??」と戸惑ってしまってます。

確かに「?」な所は結構あったんです。
全体的に展開が唐突なんですよ。
「地下要塞を造り、徹底抗戦を行う。」と言った後、掘るシーンはあまり無く、その後すぐに戦闘が始まるし。
「アメリカが5日で終わると思った戦闘を、36日間戦い抜いた…」と言うけど、それだけの時間の長さを作品の中で感じないのも不満。
3日間くらいのような印象です。
擂鉢山もいつの間にか陥落してるし…。

最大の問題点は、あまりにも予告でいいシーンを使いすぎた為ではないかと。
正直なところ、あの予告に、この映画のいいシーンのほとんどが凝縮されています。テンポも予告の方がいい。
予告は台詞がいくらか省略されてるんだけど、こっちの方がテンポがいいが故、映画では「何を長々しゃべってるんだ?」って思ってしまうんです。
前にもボヤいたことがあるけど、これは「マトリックス」の3作目に次ぐ、酷い予告だったんじゃないかと…。


この作品でことらが一番感銘を受けたのは、命を粗末にする異常な時代にあって、そんな中でも出来るだけ命を大切にする人達の姿でした。
絶対に玉砕を認めない栗林中将。(渡辺謙)
負傷した敵兵を助ける西中佐。(伊原剛志)
自分の命を諦めない西郷。(二宮和也)
あの時代の日本では、こういう考えの人達はかなり異端だったでしょうね。
故に、劇中でもかなり反発を受けてるし…。
この考え方っていうのは、現代人の考えかもしれないですね。
なにがなんでも生き延びようとする西郷にはすごく共感しました。
きっと俺もこうするよな…って。

これに絡んでもうひとつ不満だったのが、あれだけ玉砕を認めなかった栗林中将が、最期に何故玉砕を選んだのか。選ばざるを得なかったのか。
その決断、心境の変化を描いて欲しかったです。
無線から流れる子供達の歌だけで心境が変わったとは思えないんだけど…。

でもその最後の総攻撃で「予は常に諸氏の先頭にあり」と言って、本当に先頭に立って敵に向かっていくのには鳥肌が立ちました。
最高司令官が先頭に立って敵に突っ込んでいくとは…。
部下としては、これほど心強いことはないですよね。
これは自分の会社に置き換えて観てしまい「うちの会社の上司がこんなだったらなぁ~。栗林さんがうちの会社に居ればなぁ~。」ととても思いましたね。
ホント、玉砕命令出して、自分はとっとと逃亡するような上司だからな…。


史実を知る人にも、この作品には不満が残るようです。
そりゃあ、エピソードは枚挙に暇がないだろうけども…。
それでも、現場の悲惨さは「もう勘弁してくれ」って思うくらい伝わったんで、これはこれで有りと思うんですけどね…。

全編ほとんどが日本語だったので、これがハリウッド作品であるということはすっかり忘れていました。
スタッフロールが流れ出して、それがアルファベットだらけだったのに違和感感じたくらいで。
エンディング後にいつも出てくるワーナーのロゴが、今回は白黒でした。
作品の重たさを気遣ったのかな??

上映終了後、退館の時は誰も喋らず、館内が静まりかえっていました。
感動した人、不満だった人、みんながそれぞれ色んなことを考えて、言葉を失ってたのかな…?

不満な点もあるけど、ことら的には「観てよかった。」と言える作品です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿