
この作品、はっきり言って、まったくノーチェックでした。
どのくらいノーチェックだったかって、本来観ようとしてた作品が時間的に合わなくて、
急遽代替えで観たってくらい。

ホントは「ダークナイト」を観ようとしてたんですよ。今更だけど。
バットマンはあまり知らないけど、とにかく「ダークナイト」はあらゆるところで評価が高い。
となると、観なきゃならない?と思いまして…。
ところが、もうほとんど終わりかけ。
レイトショーでしかやってないし、パークスしかないし。
とりあえず観るつもりでなんばに行くも、やっぱ遅くなり過ぎるなぁと。
…実はここにものすごい勘違いがあってねぇ…。ホントは十分観れたんだけど、まぁ、それは言うまい。はははははは。

でも、せっかくなんばまで来たんだし、なにか観て帰りたい。
なんか気楽な物ってことで選んだのが「デトロイト・メタル・シティ」でした。
こんな状態で観てるが故、まったく期待感とか無しでした。
なにしろ消去法で~だからなぁ…。
でも、劇場入ってびっくり。
いくらナンバマルイとはいえ、公開されて1ヶ月だってのに、劇場は満員。
「なんだなんだ??」状態でした。
確かに評判いいのよね。この作品。
前知識も何もなく、ほぼ「無」の状態で上映を待ってた訳なんだけど、始まった途端、あっさり世界観にはまりました。
そして爆笑。
何回か出てくる
「ママー怖いよー」「見ちゃいけません!」は最高やね~。

特にガラス越しのがよかったなー。
姿はクラウザーさんなんだけど、行動は根岸ってのが、とても滑稽で愉快。
松山ケンイチにとっては「L」以上のはまりキャラじゃないかな?
脚本もキャラも「松山ケンイチのために用意された?」と思うくらいハマってたし。
それにね、なにもかもがホントにベタなんですよ。
全球直球ド真ん中!みたいな。
「こう来るだろなー。」と思ったら、ホントにその通りに来る。
ベタすぎるところが逆に心地よかったです。
神出鬼没のクラウザーさんにはホントに笑わせてもらいました。
「べえべえ」
「農家の息子みたいだ!」

根岸の、理想と現実のギャップから来る葛藤とジタバタ振りが、本人には悲劇なんだけど、こちらからすればどー見ても喜劇で…。
ここが本作の一番面白い部分であり、それを松山ケンイチが熱演してます。
こんなキャラも出来るのかーと感心してみたり。
「ホントに同一人物か?」と思うくらい、クラウザーさんははっちゃけてて、根岸はくにゃくにゃしてました。
実は根岸の方が、演じるのは難しかったそうで。
相当エネルギー使ったろうなぁ…。
女社長:松雪泰子。
めちゃめちゃ楽しそうでした。
ホントに生き生きしてた。本人もかなり楽しんだんじゃないかな?
岡田義徳が、うっちーに近い髪型で出てました。吹き出しそうになった。
最近見かけないなーどうしてるのかなーと思ってただけに、一安心。
ホントのバカ映画なんだけど(注:褒めてます)、ちゃんと人間描いてるところが好感。
特にお母さん(宮崎美子)はいい味出してるな~。
DMC狂の弟をたしなめるためにクラウザーさんが登場するシーン。お母さんにはクラウザーさん=根岸ってバレバレなのね。
クラウザーさんのおかげで弟がおかしくなって迷惑してるハズなのに、面白がって優しく迎えるところが、なんともいいな~と思ったです。
夢を諦めようとしてる根岸を諭すところとかもね。
あまりに夢夢言うから「ROOKIESか?」って思ってしまったけど…。

ライブシーンが短めなのは、全体のテンポを考慮したのか、デスメタル苦手な人に配慮したのか、どっちだろ?
こじかは一瞬「スピード・レーサー」状態になりかけたらしいけど、シーンが短かったんで、平気だったらしいです。
ただまぁ、ホントのデスメタル好きな人には物足りない?だろうけどねぇ。
でも、作品の柱はデスメタルではなくて、根岸の悲喜劇だから、個人的にはちょうどいいバランスと思いましたね。
原作は読んだこと無いんだけど、エピソードの順番をバラバラにして、映画として筋が通るように再構成してるらしいです。
だから6巻のエピソードが1巻のエピソードの前に出たりしてるみたい。
原作知らない者の意見としては、破綻のない一本の作品として観れました。
「ナイス・タンバリン!」ならぬ「ナイス脚本!」ですな~。
見終わって「楽しかったなー」と思える作品でした。
同じバカ映画でも「舞妓Haaaan!!!」とは双璧かも?
あちらは観客選ぶけど、こちらは誰が見ても楽しめると思うんで。

…そういえば、根岸と公彦って同じ髪型だな…。
劇中、DMCのベーシスト・和田君が「Mステに出るのが夢。」と言ってるんだけど、実際にDMCとして出演依頼が来て、松山ケンイチが「勘弁してください。」って断ったとかなんとか…。
(「依頼が来たらどうしますか?」って質問だったかな…?)
