蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

カトリーヌ・ドヌーブ『シェルブールの雨傘』など

2021年03月04日 | 映画

「シェルブールの雨傘」をもう一度観たいと思っていたが、ようやくアマゾンプライムに挙がってきた。カトリーヌ・ドヌーブの可憐な話である。

 冒頭場面、舗道を行く雨傘が俯瞰で撮られていたのも印象的で、ずっと覚えていた。

 最後のシーンで「この子、あなたに似てるわ」という台詞も、好きな人だったあなたに似てるわ、ぐらいに受け取っていた。あの夜のことだったのね。

 ゆったりとした運びで、なんども繰りかえされる抒情的な主題歌もなつかしかった。

 アロン・ドロンとの共演や、当時は華やかだったが、お茶の間にテレビが入る時代になると、映画館はハリウッド映画が席巻するようになる。

 そんなころに、銀座の場末に近いような劇場で、『インドシナ』を観て、仰天した。ベトナムの独立などの歴史が絡む壮大な映画であった。

 カトリーヌ・ドヌーブは母親役であるが、変わらず美しく、美人は歳を取っても、手まで美しい。友人たちを誘い、また観に行ったりした。

 

 同じレジス・ヴァルニエ監督の『イースト/ウエスト 遙かなる祖国』も、さっそく観に行った。10年以上も前のことだから、うろ覚えであるが、感動した映画のひとつである。
 
 フランス人であるマリーは、戦時中に亡命していたソ連人男性と結婚した。
 第二次大戦後、亡命者には恩赦を与えるというソ連の呼びかけに、夫と息子とともにソ連に渡る。
 しかし、それはスターリンの嘘であり、待っていたのは粛清の嵐であった。隣人にさえいつ密告されるかわからない。
 マリーはフランスへ逃亡することを望み、そこへ現れたのが、カトリーヌ・ドヌーブ脇役だが、貫禄十分。公演にソ連を訪れていたのだが、マリーの逃亡にひと役かって出る。
 
 この監督は『インドシナ』でもそうであったが、歴史を背景とした男女の関わりを描く。また、ダンスシーンが非常にいい。この映画では、夫と妻がそれぞれの思いを抱えて踊るのだが、ただ踊るだけの画面からその思いが、ひしひしと伝わってくる。
  ラストシーンの夫の表情が忘れられない。

 話は少しそれるが、ソ連時代はバレエダンサーたちの亡命がよくあった。
 亡命まえのバリシニコフを実際の舞台で観たことがある。素晴らしい演技でブラボーの声が何度も上がった。ドラマ「SEX&THE CITY」に俳優として登場していたのには驚いた。
 ルドルフ・ヌレエフもマーゴ・フォンティーンとのデュエットを舞台で観た。
 亡命までするダンサーは、抜きん出た個性をもっているようだ。



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