蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

『白バラの祈り』 ゾフィー・ショル

2018年04月11日 | 映画
『白バラの祈り』ゾフィー・ショル
   ベルリン国際映画祭監督賞、主演女優賞。
 
 第二次世界大戦時、白バラという反ナチの学生グループがあった。
 ハンスとゾフィーの兄妹は、ビラを撒いて逮捕される。
 ひとけのない大学の構内にビラを置いていく最初の部分から緊張感があふれる。
 
 
 逮捕されてから処刑まで、たったの5日間である。
 1943年2月、実際の話で、当時の尋問書からの制作だという。

 
 弱冠21歳の女子学生が、最初は尋問にあれこれ言い抜けしていくところなど、頭もよかったのだろうなと思わせられる。
 が、最後に追いつめられ、自分のしたことを「誇りに思うわ」と毅然と言う。
 傲慢で偏見に満ちた裁判官は、ナチスを信じきっており、寄生虫だと決めつけるだけで、簡単に処刑が決まってしまう。
 

 兄妹と両親の別れの場面は、ふつうなら感傷的なシーンとなり、号泣物になるはずなのに、怖ろしさに安っぽい涙など流れない。
 さらに最期は、なんと断頭台である。まだ使われていたのだ。


 こうした抵抗運動を描いた書物や映画に触れると、なぜか身内に震えを感ぜずにはいられない。
 学生運動も市民活動もしたことがなく、書くだけの活動家でしかないのだが、今までに変節したことはない。しかし、こんな世の中だったら、ただ保身をはかるだけだろう。あるいは簡単に寝返っていたかもしれない。
 それゆえに、こうした抵抗運動をした人たちに賛嘆の念を覚える。
 
 
 日本だって戦前も今も、いい事を言ったり、したりしている人たちは、いっぱいいる。どうしてそういう人たちの映画がないのか。

 ついでながら、
 シリアで銃殺された山本美香さんがIPIから「世界報道の自由ヒーロー賞」をもらった。
 いつか映画化されることを願う。
 
2013年05月24日の他ブログより再掲。(写真は今回ネットより借用)