アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ジンチョウゲ - 雄花ばかり?

2024-02-27 15:00:00 | みんなの花図鑑

ジンチョウゲ(沈丁花)は雌雄異株です。(といわれています)
この株は(果実が実らないので)雄株でこの花は雄花です。



では、雌花はどのようなものかというと・・・
私は見たことがありません。それは「ジンチョウゲは雌雄異株。日本にある木は、ほとんどが雄株で雌株は見られない」とされているからです。




「日本にある木は、ほとんどが雄株で雌株は見られない」という説明はどこかで聞いたことがありますよね?

そうです、キンモクセイです。
「キンモクセイは雌雄異株の樹木で、中国から渡来したものです。渡来する際、雄株ばかりが選ばれました。雄株は種子を作る負担がないのと、受粉率を高めるために雌株よりもずっと多くの花を咲かすためです」というのがその理由とされています。




ところが最近では「キンモクセイが中国原産で、日本には雄株しか入っていないため結実しない」という説明は妖しくなっています。というのも中国に行っても日本のキンモクセイに相当する木が図鑑に無いし、ましてやその雌株など見当たらないというのです。
最近の見解では
「(中国ではなく)日本でウスギモクセイから見いだされ、栽培化された」と考えられています。【朝日百科植物の世界】







事情は違いますが、このジンチョウゲについても最近の見解は更新されています。
上に見えている黄色いシベは おしべなのですが・・・
さらに興味深い観察があります。( ↓ )



「花が咲いていたので分解してみました。すると黄色い花粉を出しているおしべの下に、なんと立派なめしべがあるではないですか。それは、ジンチョウゲが雌雄異株ではなく、両性花である証拠です。」(サカタのタネ・園芸通信・東アジア植物記「女神の香り[前編] ジンチョウゲとその仲間」)

両性花なら「ではなぜ、めったに結実しないのでしょうか。」
その一つの答えは
同上記事を参考にしてください。

↑ に書かれていることは本当なのだと思いますが、単純に雄しべが前でめしべが奥に引っ込んでいるタイプの両性花ばかりでは、花粉がめしべに到達する確率は低くなるであろうことは容易に想像できます。






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4 コメント

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おもしろいですね (shu)
2024-02-28 09:06:20
おはようございます。
我が家でもジンチョウゲが咲きだして、芳香を漂わせています。
庭へ出て写真を撮ろうとしたのですが、あまりのスギ花粉の散の多さにタジタジとなって、一時避難してきたところです。

さて、今回の記事からはジンチョウゲが雌雄異株ではなく両生花だということを学びました。
こんな間違いがなぜ今まで見過ごされてきたのかと不思議に思いつつ、リンクの記事を開きました。
その答えは「結実しないから」のようなのですが、さらにその理由として「雑種だということ」が上げられていました。

何だか植物の考古学の世界を垣間見たように思いました。
分子生物学が入り、さらに真相を究明してくれたら面白いと思いませんか?
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Re: shuさん^^ (アブリル)
2024-02-28 09:51:58
おはようございます!
今回はジンチョウゲの花についてだけでしたから、なんか簡単明瞭みたいな書き方をしてしまいましたが・・・
ジンチョウゲ属の仲間には子房が大きい花と子房が退化したように小さい花をもつ種類もあり、依然 「両性花なのか?雌雄異花なのか?」 はっきりしないものもあるようです。
私の中では、マユミの花などと同じように <不明確>あつかいです "(-""-)"
それと「クロガネモチの雌株は 近くに雄株が無くても果実をつける」という説も、何度も反芻しているのですが、まだ納得できていません。
何となく雌雄で役割分担するのが進化の方向かな?という予感はあるのですが (´∀`)
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黄緑のジンチョウゲ (flowerconnection)
2024-02-28 12:19:26
うちのあたりに広まってる黄緑の花の咲くジンチョウゲ(Daphne laureola)は、しっかりと黒い実がなります。どの株も実をつけるようなので、このジンチョウゲは両性花かな、と思います。
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ありがとうございます^^ (アブリル)
2024-02-28 18:04:40
@flowerconnectionさん
あいにく Daphne laureola(ローレルジンチョウゲ)については調べてないのですが、
私が以前読んだ記事は ナニワズ(Daphne jezoensis)についてでした。(今まで探してました "(-""-)")

ナニワズは雌雄異株と考えられていますが、
雌花だけでなく雄花も実をつけるというのです。「実をつける雄花」という表現は矛盾しているので「雄花(両性花)」と言い換えています。すなわち、ナニワズは雌個体と両性個体とが共存する「雌性両全異株」であるとのことです。
雌花が結実したのは他家受粉によることは明らかなのですが、雄花(両性花)が結実したのは自家受粉の可能性と他家受粉の可能性が考えられます。どちらかを調べるため、両性花の株を袋で覆ってみました。結果は、雄花(両性花)は自家受粉ではまったく結実しなかった。というのです。
それどころか両性花では自分の葯から落ちた花粉がめしべに付くことによって結実率を落としているというのです!
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