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骨移植について Part 1 : 脊柱固定術への腓骨(fibula)移植の例

2009-04-21 01:15:21 | 側弯症手術について
 

  骨解剖図参照
  http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/anatomy/anatomy.html

  腓骨(ひこつ) Fibula(ヒブラ)
  脛骨(けいこつ) Tibia(ティビア)

このサイトの左側「解剖学テキスト(目次)」に骨名称が掲示されています
  これを上からくだっていきますと、脛骨/腓骨が見つかります。
  絵を見ていただくとすぐにおわかりになると思いますが、
  下腿(かたい)は、二本の骨から形成されており、太いほうが脛骨、細いほうが
  腓骨です。

  添付図は、下記サイトから引用させていただきました。
  http://www.thebarrow.org/Education/Barrow_Quarterly/Vol_19_No_4_2003/158516

巻頭言より : Spinal fusion with or without instrumentation requires the use of bone graft. Bone graft may be autogenous or exogenous. It may be acquired from various sites and exists in various forms. The methods of obtaining bone graft as well as the properties of each type are reviewed.
インスツルメンテーションを用いた、あるいは用いない場合でも、脊柱固定を行う
にはBone graft(ボーングラフト)/骨移植が必要となります。骨移植には自家骨を
使用する場合と、他家骨を用いる場合とがあります。ヒトの身体の様々な部位から
いろいろな形状として採取することになります。移植する為の骨の採取方法と
それらの性能、特徴についてここではレビューします。

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(august03説明)
 サイトの画面を動かしてみていただきますとよくおわかりいただけますが、
ここには脊柱固定術で用いる骨採取の場所と、どういう採取の仕方をするかが図式
されていますので、図を見るだけでも骨移植についての概要は掴めるのではないか
と思います。

今回は、これら様々な骨移植のなかで、腓骨(fibula)からの骨移植についてご説明
させていただきたいと思います。

第一点として、脊柱固定術において下肢から骨採取することはきわめてまれなこと
と言えると思います。基本は腸骨からの採取です。
このサイト内での説明では、In cases of failed fusion, vascularized graft can be used 
骨癒合が成功しなかった場合に、血管柄付き腓骨移植が行われる
と記載されています。図Cの切り取った骨の右側に付着しているのが筋肉と血管です
第二点として、骨移植には、その採取する事自体による合併症(併発症)がありえる
ことを理解しておく必要があります。その代表的なものが「痛み」と「感染」です
手術をした全ての患者さんで術後にその採取部が「痛み」を生じたり、「感染」を
起こすわけではありません。しかし、一部の患者さんでは採骨部痛(さいこつぶつう)
と呼ばれる痛みを訴える方がおられます。

この腓骨採取の場合は、痛みと感染のリスクのほかに、
 walking may be uncomfortable for as long as 9 months after surgery.
術後9ヶ月ほどは歩行するときに不快感(歩きにくいというような感覚)を覚えること
が想定されます。これは、下肢において、脛骨が荷重の約85%を受けているのに対して
腓骨は約15%の荷重を支えていることから、腓骨採取によって、歩行時に体重を支えることにアンバランスを生じる事になるために、uncomfortable(不快感、不安定感)というような感覚を覚える事に繋がるわけです。

いろいろと調べてみましたところ、脛骨近位部から骨髄採取をする例もあるよう
ですが、脛骨を図のように切り取って脊柱固定術の骨移植に用いることはありえません。
Strut(索上に切除した骨片)を移植に用いる方法を海外の一部の先生がたが
実施しているように思われるのでもう少し調べてみたいと思いますが、下肢を含め
て脚(あし)は歩行という動作をつかさどるものですから、手術によって仮に体重の
85%を支える脛骨を一部とはいえ切除したのでは、術後歩行に支障が発生することに
なりますので、骨移植の主体とはいえないと思います。
整形外科領域での手術における骨移植の基本は腸骨(ちょうこつ)、骨盤陵と呼ばれる
部位からの採取が用いられているわけですが、骨移植(骨採取)についても、脊柱
固定術の手術説明時に先生から説明を受ける事になりますので、疑問点や心配な点
がある場合は、先生に遠慮されずに質問されることが大切だと思います。

(part IIに続く)


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☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?




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