プロ初勝利を準完全試合で飾った藤原は、ウイニングボールを手に満面の笑み
(パ・リーグ、オリックス0-8楽天、12回戦、楽天9勝2敗1分、5日、京セラD大阪)孝行息子の誕生だ! 楽天のドラフト1位・藤原紘通投手(24)=NTT西日本出=が5日、オリックス12回戦(京セラドーム)で1安打完封。唯一の走者を許した五回も後続を併殺に仕留め、プロ初勝利を打者27人で終える準完全試合で飾った。前日4日の岩隈久志投手(28)に続く2試合連続完投勝利に野村克也監督(74)は「言うことナシ」とご満悦だった。
最後はやはり、この球だった。この日もっとも輝いたスローカーブ。99キロの“魔球”で辻を右飛に打ち取ると、笑顔で女房役の嶋とハイタッチ。新人左腕・藤原が準完全でプロ初勝利を挙げた。
「内容は気にせず、全力で腕を振ることを考えた。完全? 全然(考えて)ないです。運もありますから」
一回、先頭の坂口を3球三振に仕留め、快記録へのスタートを切った。直球は140キロ前後と特に速いわけではないが、強く腕を振る変化球主体の投球に、オリックス打線は凡打の山を築いた。
四回まで一人の走者も出さなかった。五回、先頭のローズに右前打を許したが、続く北川をスライダーで遊ゴロ併殺打に打ち取った。その後もスイスイと投げきり、終わってみれば許した走者は1人だけ。98球の省エネ投球で、27人で終えた。
2奪三振、内野ゴロ12、内野フライ1、外野フライ11の内容に「技巧派の持ち味が出たな。胃を休めることができた。言うことナシ。(胃が休まったのは)今年は初めてや」と野村監督。孝行息子の登場に、この日ばかりはボヤキを忘れた。
即戦力と期待されながら、キャンプ中に左肩を痛めて開幕は2軍スタート。ようやく6月21日の阪神戦で1軍デビューを果たしたが、7試合に登板して白星に縁がなかった。1勝もできないのではとの不安を抱きながらも、まじめな左腕は自分を信じて練習を続けた。
「長かったですねえ。ウイニングボールは親に送りたい。心配してくれていたので」
三塁ベンチでのインタビューの間も、記念球はしっかりと右手に。チームは2試合連続の完投勝利。野村監督は「ローテの3、4番手がほしかった」と期待を寄せた。(サンスポ)