足と小技の今年の東北野球。甲子園練習もバント練習のみに費やされた
大舞台でも普段着野球! 第91回全国高校野球選手権(8日から15日間、甲子園)に出場する東北(宮城)が5日、甲子園練習を行った。打撃練習では全選手が徹底してバント練習だけを実施。足と小技を絡めた自分たちの野球を、甲子園でもやり通す。また午後に行われた組み合わせ抽選会の結果、4日目第1試合で倉敷商(岡山)との対戦が決まった。
両翼95メートル、中堅118メートルの広さを誇る甲子園球場内に、コツンコツンというバントの音が響き渡った。打撃練習で東北の全選手が、バントだけを何度もくり返した。
「(今年は)連打連打ではなく、バントや足を絡めて点を取ってきた。普段着の野球をやろうということです」
我妻敏監督(27)がこう説明した。30分間の甲子園練習のなかで、打撃練習をバントだけに費やす高校はほとんどない。だがこのバント練習こそが、今年の東北の象徴なのだ。
県大会6試合で、本塁打は佐藤朔弥投手(3年)の2本のみ。1番・佐野太地外野手(3年)が4盗塁、2番・菊地直人外野手(3年)が5盗塁を記録したように、チーム合計16盗塁は参加49校中5位タイ。足と小技を使った攻撃で宮城を勝ち上がってきた。
県大会では俊足を生かすため、指揮官は「これが自分たちの野球」とばかり、4番打者にも送りバントを指示する場面もあった。あこがれの甲子園でも、ここまで勝ち抜いてきたやり方で戦うつもりだ。
午後に行われた組み合わせ抽選会の結果、1回戦は春季中国大会覇者の倉敷商(岡山)との対戦が決まった。
「ここまできたら、どこも強いチーム。変わったことをせず、自分たちの戦い方をしたい」
エースの佐藤が意気込めば、我妻監督も「自分たちの野球をやるので精いっぱい」と自然体でぶつかることを気合十分に話した。4年ぶりの夏の甲子園で、東北が粘り強く1点を取りにいく野球で白星をつかむ。(サンスポ)