日本赤十字社県支部から東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市に救護班として派遣された医師らが、がれきの山と化した海の街で懸命の医療活動を繰り広げている。17日は終日、診療施設のない避難所での巡回診療に当たり、被災者の体と心を癒やした。
医療活動に当たっているのは、高山赤十字病院の加藤雅康医師(41)と看護師、薬剤師、日赤県支部職員ら9人。16日に現地入りし、多くの被災者が避難している第一中学校を拠点に18日まで秋田、岩手、岡山県の医療班と協力して被災者の健康維持に努めている。
診察するのは、持病のある高齢者が中心で17日は9カ所の避難所で過ごす約800人を対象に診療に回った。民家や病院、薬局もすべてが津波にのみ込まれ、被災地には薬品がほとんどない状態。高齢者らも薬を持ち出せないまま避難しており、加藤医師は「緊急性の高い人から薬を処方しているが、長引くと多くの薬が必要になってくるので、薬の調達法を思案している。今は限られた診療でなんとか体調を維持したい」と願う。
この日は午後7時すぎまで避難所を回ったが、停電や時間の制限もあって8カ所目で引き返した。救護班の一員で高山赤十字病院看護師の蒲綾さん(39)は「夕方からは懐中電灯を手に診察を手助けしたが、予定していた避難所をすべて回れずに残念だった。必要とする人に早く薬が行き届くようになってもらいたい」と話していた。