勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

許すって大切だけど難しい

2006-03-08 | 映画のお喋り
あまりにも長くなったので、もう1本の為に別のエントリーを立てた。

【ザ・インタープリター】2005年・アメリカ
  監督:シドニー・ポラック
  出演:ニコール・キッドマン、ショーン・ペン

こちらはかなり硬派な感じのサスペンス・スリラー。
いかにも社会派シドニー・ポラックの作品らしい。
架空の国、アフリカのマトボ共和国の内戦に巻き込まれた国連通訳の女性シルヴィアをニコールが、事件の担当となったシークレットサービスのケラーをショーンが演じる。

このマトボ共和国の大統領ズワーニが、平和主義の運動家だった頃(今は独裁者)に書いた著書の序文がテーマ。
「銃弾の音は大きく響く。真実の声は小さいが、やがて銃声を圧倒するだろう」
無論ポラックは、この映画に反戦の意を込めている。
銃では何も解決しない。平和を望む声は、初めこそ小さいかもしれないが、必ず銃声に勝つのだと。
この映画を作った国の大統領に、その大統領を選んだ(最近は支持率も落ちてるが)国民にも訴えたかったのだろう。

ストーリーは大統領暗殺事件に巻き込まれた通訳と、彼女を守ることになったシークレットサービスを中心に展開する。
シルヴィアは白人だが、れっきとしたマトボ共和国の出身。
しかも独裁者となったズワーニ大統領に両親を殺されている。
純然たる巻き込まれ型ではない。下手すると、彼女の陰謀と言う感じも匂わせる。

だがその映画はストーリーそっちのけで、「人を許す」ことが大きなテーマになってる。
印象的なエピソードがあった。
両親を殺されたことを恨んでいるはずだと言うケラーに対して、シルヴィアはこんな話で答える。
「マトボでは古い風習があるの。殺人を犯したものの処罰を決めるのは遺族なの。泳げないように縛り上げた犯人を川に沈めるか、その場で許すか決断するの。川に沈めると決めたら、家族は一生を喪に服して暮らす。許せば遺族の魂は救われ、忘れることが出来る」

ケラーも妻を亡くしたばかりだ。男と逃げる途中、男の運転ミスで妻は死ぬ。
ケラーは妻をその男に殺されたと思っている。
「俺なら川に沈めてやる」
その時、ケラーはそう言うのだ。

だが最後にケラーはその意見を変える。
この時のショーン・ペンがすごく素敵だ。

この映画に関しては、硬派なイデオロギーなんかに興味ないよと言う人には面白くないとしか言えない。
信念とか、許すことの難しさについてを真剣に考えることの出来る人は、多分面白いと思う。

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2 Comments

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成る程… (魔弾(☆_・)・‥…━━━★)
2006-03-14 23:10:00
現在、とある人物を恨んでいます。

…が、

この文章をもう一度読んで、許すしかないんだと

再認識させられました。



でも…。

難しいもんですね。
返信する
難しいですね (あさみ)
2006-03-16 21:41:12
恨んでる人、いますか。。

恨むに値する人だったら(変な表現だけど)、負のパワーが湧き出るかもしれませんね。

恨むのもバカらしい人だったら、逆に吸い取られてしまうような気がします。



恨みは忘れるより、遠退くのを待つ。

私は何かそんなことを思ってます。

無理に許しても、絶対どこかで許してませんからね。

遠退いた後だと、も少し楽かもしれません。
返信する

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