勝手にお喋りーSanctuaryー

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エビリアンに猫缶を

2011-02-24 | 映画のお喋り
観た人にはわかると思うけど『第9地区』のお話。
(「エイリアン」と「エビ」をかけてみた)

公開される映画は山ほどあるけど、全部見るわけじゃない。
さすがにそんな暇人じゃない。
何らかの理由でチョイスする。
だから余程のことがない限り最後まで観るし、まあ面白かったと思う。

それでも面白さには差がある。
面白かったけどすぐ忘れちゃう映画。
考えさせられて、あとを引く映画。
凄く楽しくてまた観たくなる映画。
1か所でもツボって泣いた映画。


エビリアンは導入部分で爆笑した。
声をあげて笑う映画って滅多にないし、それだけでも価値がある。
ブラックなネタ映画?って思ったけど、それだけじゃなかった。

想像力を足さないと、成り立たない映画だった。


「まさかヴィカスがあんなことになるなんて…」
ドキュメンタリー部分で誰か(誰だか忘れた)がいってたので、あんなことになるんだろうとは思ってた。
でも何故?

クリストファーが作った液体燃料(?)を浴びたから、っぽい作りになっている。
が、監督は傷口からウィルスが感染して、と明言してる。

そもそもクリストファー親子が怪しい。
第9地区にいるエビリアンたちは言わば「働き蜂」階級らしい。
上級船員は、みなウィルスで死に絶えたらしい。
つまりクリストファー親子だけが、特異体質でウィルスの難を逃れた「指揮官」階級なんだろう。

そこで想像してみる。
ウィルスで感染してあんなことになるが、そこに液体燃料(?)を被ったことで、
(えーっと、エビリアンの武器その他はDNAが一致しないと動かないので)
その中に入っていたクリストファーのDNAが混じってヴィカスは「働き蜂」ではなく「指揮官」階級になれたとか・・・。


営々とそんなことを考えちゃう映画だ。


『アバター』は面白かったけど、すぐ忘れちゃう映画だった。
わりと似通った内容だけど、この違いはなんだろうね。


たとえば、ヴィカスが立ち退き勧告ついでにエビリアンの卵を燃やすシーン。
な~んてことすんだよ、あんた!って主人公が嫌いになりそうなシーンだ。
「エイリアンの中絶ね」とかおちゃらけてるし。

でもちょっと考えると、本家「エイリアン」だったらどうだろう。
エイリアンの卵見つけたら「燃やせ!即刻燃やせ!根絶やしにしろ!」って思う。
それが許せないことに思えるのは、彼らがすでに地球に住んでる「難民」だからだし、アパルトヘイトを思わせる扱いをされてるからなんだろう。

観てる方はすでに彼らにシンパシーを感じてる。
見た目はあれなのに…。
見た目があれでなくても、内容だって人間にしたら最低クラスなのに。
エイリアンを取りたてて良く描かず、でも同情はさせる。
この辺が上手すぎる。


もうひとつ。
「正義感溢れたヒーロー」でも「家族愛に燃えて頑張る父」でもない主人公の設定がすごい。
妻に対する愛情だけは認めるけど、それ以外はあんまり好きになれない人物。
ラス前で「あれ、そこで裏切ってどうするのよ」って行動を取っちゃう人物。

でも実際には私、「正義感に燃えるヒーロー」が嫌いだった。
自分の家族さえ助ければ、人にどんな迷惑をかけても平気なとうちゃん(「2012」とかの)が嫌いだった。

自分勝手なヴィカス。
好きになれないし、別にあれになっちゃっても構わない人物だが、この手の話の主人公の中では、ある意味一番リアリティがある。


あれになるとやたらお腹が空くらしくって、ついには猫缶に手を出すヴィカス。
「猫にまたたび効果」と言ってたから、つまりはエビリアンに猫缶は麻薬みたいなもの。
そのことがわかっていて、しかも猫缶。。。
途中ではっとなって猫缶を投げ捨てるシーン。
あの辺りからかなり切なくなる。

思い切りネタバレだけど、ラストシーンの手作りの花。
あれも切ない。

切なくなるんだけど、「3年」でまた笑わせられるんだよね。


3年後。。。
2012年。

「ノアの方舟」があの山の上に乗り上げてホッとした時、クリストファーが味方を連れて戻ってきて、ドカーンッ!だったりして。
で、人類滅亡。

或いは人類滅亡の危機に、戻ってきたクリストファー(&坊や)がヴィカスと共に、なんだかんだで人類を救ったりして。


やっぱり想像力が活性化する映画だ。

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