勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

非日常的な日常

2009-02-28 | 映画のお喋り
人が信念を持つ。
そのことは素晴らしい。
そして、何を信じようとその人の自由だ。

国を守るために兵士になる。
国を守るために戦地に赴く。
その信念が間違ってると断言することはできない。

正しい戦争。
そんなものがないことを知っていても、国を守るためなら命を捨てる。
それが愛国心と言うものなのだろうか。

国を守るために命を捨てた母親。
軍隊の資格審査に落ちて生き残ってしまった父親。
自分では何も選択することもできず、悲劇に巻き込まれる娘たち。

現実はいつも悲しい。

さよなら。いつかわかること
 2007年 アメリカ
 監督:ジェームズ・C・ストラウス
 出演:ジョン・キューザック

身内が戦地に赴いて、残された家族がいつも見る悪夢。
それはある日公用車が止まり、中から軍服が降りてくる時。
愛する者を国旗(星条旗)と共に埋葬しなければならない現実への前触れ。

スーパーマーケットに勤める平凡な男スタンリーにも、ついにこの日がやってきた。
彼は現実を受け止めることが出来ない。
そして衝動的に娘たちを連れて旅に出る。
行き先はフロリダにあるテーマパーク。
幸せが待っているかのように、彼らは旅をする。

ジョン・キューザックの呆然とした表情と、娘たちに向ける父親の視線の使い分けがなかなかいい。
非日常の中の日常。
その日常がいつ壊れるのか。
映画はその瞬間を追い続ける。

スタンリーも妻のグレースも筋金入りの愛国者だ。
進んで入隊し、そのことを誇りにしている。
だけど今、スタンリーの心の中には一つの疑問が生まれている。
それは家族を犠牲にするほど大切な信念だったのだろうか。

夫がアフガニスタン、そしてイラクに赴くのを見送り、それでも二人の娘と必死に明るく生きようとしていたサカナ(HN)。
今どうしているだろう。
彼女のことを思い出し、やるせない気持ちになった映画だった。
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