あろてあろあ日記

単なる日記です。特にテーマもありません。
目的地を定めない旅行もいいものです。

経験

2007-03-29 | Weblog
捜査実務修習も,いくつかの事件が配点され,本格的になってきました。




捜査をするといっても,被疑者(犯罪の疑いを掛けられている者)の取調べ以外にも,警察官に補充捜査を指示したり,関係者に問い合わせをしたりします。


呼び出しを含め,まずは電話でこれらのことなどを行うわけですが,その際,差が出るひとつの要素として,修習生の社会人経験があります。




社会人経験のない修習生は,丁寧なものの言い方が出来ずに,相手に反感を買ったり,相手にわかりやすいようにまとめて話すことが出来ずに何度も電話を掛けてしまったりして,さらに相手の反感を買ったりすることがあります。


特に,警察官に電話するときに,警察としては捜査が十分だと思って検察に事件を送っているにもかかわらず,あれこれ指示されるのは虫が好かない,という警察官の立場に思いが至らない修習生が拝見されます。




別に,その修習生が間違ってることを電話でしゃべっているわけではありません。


ただ,電話というものは,相手の状態がわからないので,とくに相手の立場を配慮する必要があること,また,いくら相手が悪かろうと,こちらとしては相手を立てなければならないということを理解していないことが多いように思われます。




一方,社会人経験のある修習生は,電話のやり取りについて新入社員のときに指導を受けたり,電話でのやり取りに失敗した経験があったりして,対面しない電話でのやり取りの難しさを知っていることが多いです。




もちろん,経験のない人はこれから学んでいけばいいのですが,えらくなってしまうと,周りが持ち上げてくれるので,コミュニケーションに支障をきたさず,相手の立場に配慮できる能力を磨くことが出来なくなってしまう危険があります。


特に,裁判官・検事になる場合,電話のやり取りなどは書記官や検察事務官がやってくれるので,注意が必要です。


よく,裁判官や検事を辞めて弁護士になった人たちが,まず,電話のやり取りがこんなに大変だと思わなかった,と感想を漏らすのは,裁判官や検察官であったときに,何度も電話しても相手が外出していたり打ち合わせ中だったりしてなかなか連絡がとれなかったりしてこまった,という経験をしていないためと思われます。








その後の人生にいい影響を与える経験をするときも,若いときは,その後の人生にどのような意味を持つかわからないので,こんなことをしても意味があるのかと,ないがしろにしたり,また,現在の状態に固執し,あらたな経験することに億劫になったりしがちです。


だけど,どんな経験でもその後の人生を豊かにする,という言葉を信じてみて,いまを生きていくのがいいのでしょう。




もっとも,すんなりこの世界に入ったわけではない僕としては,腰を落ち着かせて,弁護士としての経験をしっかり積んでいきたいと思うのは,年を取ったということですかね?