探求☆散策記

見たこと、聞いたこと、思ったことを綴った、日常探検記録。

建物の補強の必要性

2010年05月29日 23時16分38秒 | デザイン
 建築基準法は建物の基準を定めた法律ですが、ヒトの「安全」を最大限に保障する法律ではありません。「第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」つまり最低基準を定めただけなのです。1950年に戦後にバラック同然の建物が建てられていく中で、最低限(倒れない/火事になりにくい)の基準の定めています。1981年に新耐震基準が定められましたが、基本思想は変わっていません。2000年に品確法(「住宅の品質確保の促進等に関する法律」)が施行され、建物の耐震等級の3段階の基準が導入され、その最低基準とはその耐震等級1に対応しています。品確法の耐震等級は、建物がびくともしないという等級を定めたものではありません。また、ただ耐震等級を増せばよいのかといえば、そうではなく、耐震はあくまで耐震(地震に建物が耐えうる能力)であって、構造体の強度を指します。つまり中に住んでいる人、物について全く考慮されていないのです。 耐震建築物とは、地震で揺れることによりエネルギーを吸収し、崩壊や損傷に耐えるだけなのです。実際阪神淡路大震災では、多くの人か倒れてきた家具等の下敷きになって命を落としました。耐震性能を上げるだけでは安全ではないのです。それではどうすればよいか、それは免制震技術の採用です。免制震技術とは「大地震に際しても人命のみならず、建物全体を内部の収容物までを含め無損傷で守ること」・・・すなわち建物の揺れそのものを制御する技術なのです。免制震技術とは、地震の衝撃的な短周期の横揺れを、免制震装置で吸収し、水平動を伝達する技術です。その機構により、免御震部より上部の構造物は、激しく揺れるのではなく、ゆっくり揺れるようになります。 施主および物件購買者の多くは内外装にとらわれがちですが、どんなに意匠や最新の設備が整っていても人の命を守るものではありません。今後の不特定多数の利用者が使用する建物には新築・改築問わず、免制震技術のさらなる導入が望まれます。

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