独白

全くの独白

自分の声は分からない

2017-01-21 15:52:08 | 日記
自分を他人がどう捉えているか、自身では解らない。気質などの内面は勿論、外面も同様である。顔や姿は鏡に映るがその像は飽く迄自身の主観であって、他人に依る客観ではない。
若い頃数人で雑談している時に、中の一人が私の喋り方が面白いと云って真似して見せた。瀬川瑛子のようである。まさかと思い、そう言って抗議もしたが、他に異議を唱える者は居らず皆笑って聞いている。納得しているのか?
あまりに意外であったので、常に脳裡に在るらしく、しょっちゅう思い出される。数年経って、原稿を朗読して録音する機会があり、再生してみても別に瀬川瑛子のようではない。尤も私は朗読が得意らしく、子供の頃授業中に教科書を読ませられても、殆ど間違えなかった。この時も原稿があるから普通に声が出て居るのかも知れないとは思ったが、わざわざ原稿無しで話して見て確かめようとは思わない儘、四半世紀が過ぎた。
電話に留守録というものが現れ自分の声で案内メッセージを入れようと「今、宇宙旅行に出かけてますので云々」と、短いから不要であろうと思い原稿なしで吹き込んだところ、ちょっとぎごちない気はした。再生して聞いてみると確かに瀬川瑛子である。
軽いショックを受けたので、爾後は少し早口で話すように心掛けたところ、少しどもるように成った。朦気に幼い頃軽くどもって居たような気もし始め、それを直そうと喋り方を遅くした為に瀬川瑛子に成ってしまったのかも知れない。母に確かめると吃音では無かったと言われたが、半信半疑で居る。
そう云えば、瀬川瑛子の今の声も同様の事情で出来上がったのかも知れない。瀬川さん、失礼しました。