独白

全くの独白

熱低か温低か。

2019-07-29 17:15:49 | 日記

今年の台風には、妙な場所で出来るものがある。

六号もそうであり、近くで出来ただけに来るのも早く、厭な感じをさせられたが、その代り発達する距離も時間も、結果として甚大な被害も

無かったのは幸いであった。風速等の数字だけ見ると日本海側等の、冬の低気圧と変わりがない。併し弱くても台風は台風、普通の低気圧と

違って刻々と向きを変えて狂った様に吹く面があるから、油断は出来ない。

六号は出来方同様に滅び方も変わっていて、普通は北上して衰えると温帯低気圧になるのに、奴は何故か熱帯低気圧として去って行った。

ところで曾て船乗りをしていて、台風と急勝(せっかち)な船長のおかげで、死に掛けた事がある。

内地では台風が近付くと、万トン級の船でも湾や港に避難して、遣り過ごすのが定石である。

ところがその時の船長は、本船(この船、私達の船)に乗って来る直前迄南方の三国間輸送の船長をして居り、迂闊にも内地の常識を失念し

て居たらしい。

生まれ立てで非力な南方の台風の印象に囚われて、避難しなかった為に潜水艦状態になってしまったのである。青くなって避難の為に変針し

たが、最寄りの港に向かった為に追い風を受ける事に為ってしまった。追い風は舵が効きにくい。大時化の際の定石は「つかす」と称して、

衝撃を避ける為に低速にした上で斜めに波に向けて航行する(避難場所が無ければ、その状態を保って時化を遣り過ごす)のであるが、相手

は台風、而も逃げ遅れたのである、そんな余裕が無かったのであろう。漸く入港して、アンカーを打つ迄は生きた心地がしなかった。

其れは扨置き矢張り、段々内地が台風生誕地の「南方」と化し、老いた台風も温低から熱低と化して、避難の常識も変わって行くのであろう

か。

気候が変動して馴染の事物と別れるのは寂しいが、幸い日だけはまだ、普く照らしてくれている。

その事や台風の被害の小さくなる事だけは喜ばしいが、いじましく身勝手な喜びであるようにも思われる。

 

 

 

 


悪党の内蔵するミスマッチ

2019-07-19 15:18:00 | 日記

新聞に、二人のロシア人が逮捕された、と載っている。

自動車泥棒から、そうと知り乍ら買い取った車を、分解している処を盗品等保管の罪とやらで、逮捕されたらしい。

多分常習的に、其の儘では露見してしまうので、分解した上で「母」国へ輸出していたと、ある。

成程、破落戸と雖も、母国もあれば母もある道理である。

そう云えば、ペットや子供を可愛がったり、登山好きであったりするやくざ者もいる。

所詮善人と悪人とは、紙一重なのである。

 

 

 


火事で逃げ遅れて大東亜戦争

2019-07-18 17:17:31 | 日記

 

 日本と云うのは、世界と渡り合う為の戦略を持つに不得手である。地政学的状況がそれを殆ど要求して来なかったのであるから、無理も無い。その事が災いして稀にそれの必要な状況に陥った際には、どうしても泥縄になってしまうのも又、無理ではない。結果が碌な事にならないのも当然無理ではない。

不得意の事物に敢えて親しむのは苦痛である。苦痛を避けて、世界戦略をなおざりにし勝ちな自身のシンタリティを甘やかして、一朝事ある時々に初めておざなりの戦術を弄して、何とか乗り切って来たのが、吾人の在りようである。

それは恰もビルの二階にいて、一階の出火に慌てふためき、窓から飛び降りるのを躊躇っているうちに、火に追い上げられて十階から飛び降りざるを得なくなる、と云った事を繰り返して来た様なものである。大東亜戦争の顚末なども、その一つである。


佐田の海ー輝戦

2019-07-08 16:51:19 | 日記

我が石川県の輝関は、昨日、彼には珍しい粘りを見せて勝った。

やっと一皮剝けたかと思っていたら、

今日は土俵際迄攻め込み乍ら、佐田の海に網打ちで負けてしまった。

昨日天から借りた執念を、今日相手に又貸しして遣った様なものである。

稽古熱心の度が過ぎて、下意識に染み着いてしまった稽古場の、あっさり転がる感覚が、本場所でも出てしまうのかも知れない。

そう解釈すると、不器用で愛すべき力士に思われて来る。