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ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

悩める薫くん。 富樫倫太郎【妖説 源氏物語 壱】

2008-04-25 | 中央公論(新)社
 
時代は「いずれの御時にか」の少し後。
主役は薫中将です。

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 妖説 源氏物語〈1〉
 著者:富樫 倫太郎
 発行:中央公論新社
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中身は陰陽師もの。
光の君の孫で今上天皇の第3皇子である匂宮と、光の君の末子の薫中将は仲良しですが、もっぱら、奔放な匂宮に薫中将が付き合わされているという関係。
ギャンブル好きで能天気、亡き光君を理想と憧れる匂宮と比べて、薫中将は自らの出自に漠たる疑惑を持っているため、父である光君にも複雑な感情を抱く、穏やかながらも憂いを秘めた青年となっています。

このふたりが巻き込まれる事件は、呪いやら、魂狙いのかどわかしやら、魔鏡やらとオーソドックスな妖鬼譚ですが、匂宮、薫中将それぞれのお坊ちゃまぶりで、有名な夢枕獏の『陰陽師』とはまた別の雰囲気があります。
こちらに登場するのは、歳若の少年陰陽師、白鷗くん。
すでに没落した一族のひとりという設定で、薫中将の危機を前にして、自分の力不足に唇を噛むところなどがかわいらしいです。

そしてもうひとつ、「妖説」とつくとは言えども、そこはそれ、源氏物語ですから、薫中将の根深い悩みが通低音として流れています。
名高い光君は、ほんとうに我が父であったのか。
原文どころか、通常の訳でも読む気がないので(いずれ読むつもりで揃えてあるのは橋本治の『窯変 源氏物語』。)、悩める薫くんがわかりやすくて楽しいです。
こちらとしては「そんなに知りたいならば教えてあげましょう。君のお父さんはね。」と楽にさせてあげたいような気もします。
…いや、これは、真実を知ってまた思い悩むところをみたいというボンノーかも。
これで、原文…はともかく、どなたかの訳の源氏物語を読み始めるという方もいらっしゃるかもしれません。

文庫の表紙はとても綺麗でうっかり「妖説」を見落としてしまいそうな感じですが、ノベルズ版の表紙はいかにも平安妖異譚ふう。

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 妖説 源氏物語〈1〉
 著者:富樫 倫太郎
 発行:中央公論新社
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これって、中身を読まずに、源氏というだけで描いたような雰囲気。
匂宮や薫中将というより、光君ですわね。
妖しくって。 
でも、第1巻はここまでは妖しくありません。
…が。

 ぷすっ
 ぷすっ
 ぷすっ

とか

 ぐさっ
 ぐさっ
 ぐさっ

というようなところには、うーん、と眼と思考が一旦停止。
久しぶりでみました。こういうページ。





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17 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ぐさっ (koharu)
2008-04-25 08:19:05
富樫倫太郎さんって、『陰陽寮』を書いていた人と同じだと思うのですが…

そういえば、
ぐさっ

ぶすっ

やれらて、やられた人と一緒に機能停止…したな…うん。

でも、この話も面白そうですね。
特に、薫君が主体というのが。

>こちらとしては「そんなに知りたいならば教えてあげましょう。君のお父さんはね。」と楽にさせてあげたいような気もします。
楽にならないでしょうね~
だからかえって、教えたくなる…というか(意地悪?)
返信する
Unknown (ときわ)
2008-04-25 15:30:14
この作者の本はぜんぜん読んでないのですが、源氏物語も陰陽師ものも大好きな私です。
そそられました。読みたいです。

返信する
koharuさま (きし)
2008-04-26 01:29:15
「ぐさっ」は得意技なのですね

>楽にならないでしょうね~
そう、楽にならないのですよね。きっともんもんとさらに悩む。悩まないようなら、最初から、きっと疑ったりしない。
あ~っ、やっぱり教えたいっ
返信する
ときわさま (きし)
2008-04-26 01:31:07
私も初めて読みました。ノベルズ版をあまり読まないので縁がなかったのですよ。
するするっと読める作品。現在文庫で3巻まででているようです~。
返信する
出張先より (むぎこ)
2008-04-27 07:40:12
出張先よりブログチェック・・ってなにしとんじゃといわれそうですが
実は実用書やらお仕事関係の本を読む事が圧倒的におおいので・・・さいきんきしさんちにくると欲求肥満(不満のこえている)になります

頭のなかの積ん読はふえるばっかで
とりあえず現在森博嗣のS&Mシリーズ読破をめざし(得意の作者集中読み)てますが
これも読みたいですね・・・。

なんかね、返せない借金背負ってみちをあるいているように
よみたいほんがふえていきますよ
ほんと・・・・。

でも本は映画や舞台とちがって入手が全国平等なのでうれしいです
返信する
申し訳ない… (きし)
2008-04-27 21:31:23
私などはいつ仕事してるんだ?ってくらいですよねぇ。出張もないし。
それなのに、本の山は増えていく…って自分で増やしているので自業自得な「借金の山」?

あ、むぎこさんがご覧になった「ライラの冒険」、観てきました~。
返信する
でもって (むぎこ)
2008-04-28 07:35:39
無謀にも図書館に予約を入れました
よめるのかなあ・・・連休も仕事で半分はつぶれるのに
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読んだです (むぎこ)
2008-05-05 07:39:41
いまんとこそんなに妖しいかんじはしません・・・。
これから妖しくなるのでしょうか?
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いえ… (きし)
2008-05-05 11:16:18
どうかな。
1巻は最後までそう妖しくありませんねぇ。
弐をちょっと読み始めました。
登場人物は少しずつ増えています。
返信する
読みました (koharu)
2008-05-07 06:01:05
珍しくも図書館に3冊揃っていたので…

以前に読んだこの方の作品は、もっと菊池っぽかった(意味、わかります?)印象があるんですが、これは、あまりドロドロした妖しさはありませんね。

『ぐさっ! ぐさっ!』も、なんか妙に間が抜けているような…

読みやすいです。
返信する
読破ですか。 (きし)
2008-05-08 00:32:44
koharuさま、早かったですね~。
読み始めると、さくさく、の感じですものね。
私も2巻までは手元にあったので読了しました。

>もっと菊池っぽかった
イメージ、共有できてると思います、たぶん。
そういう感じはありませんでしたね。

ところで、参で完結しましたか?
返信する
え~と? (koharu)
2008-05-08 22:55:28
きしさまに聞かれるまで、三巻の後も続くものだと思い込んでいたのですが、薫くんの悩み事も一応落ち着くべきところに落ち着いてはいて、ひょっとしたら、この巻で終っているのかも??と思わないでもないです。
どっちなんでしょう?
3巻までが、いわゆる前菜。
4巻から、妖しさを増して、光源氏や六条の御休所や紫の上が抱えていた闇を垣間見る…という展開になったら面白そうなんですけど…。
返信する
ほ~。 (きし)
2008-05-09 07:26:34
一応落ち着きましたか。2巻で弁さん、出ましたしねぇ。
じゃあ、さくっと進みましょうか…。
4巻から先、ほんとにそうなったらおもしろいですよね、どうなのかな。
返信する
二巻! (むぎこ)
2008-05-12 06:55:50
二巻で匂の宮さんがちょっとかっこよかった。
バカじゃないんだ(もともこもない表現ですが・・)と実感。
あ・・・でもちょっとお馬鹿かも、でもいいか許す・・ってかんじでしょうか。
何となく昨年の大河の義元さまをおもいだすのでした。(薫は絶対北条三タイプだ・・・)

でもって、三巻もかりているので分通しでよみます
さくさくよめるのですぐに終わりそう

ところで
話はちがいますが「のぼうの城」っておすすめです
さくさく読めて
でもって三成の忍城攻防戦なのでおもしろいですよ。
映画化の噂もあります
ブログにちょっとコメント書いたのでよんでけろ
きしんさんのブログにのってなかったので「お!きしさんも読んでないかも」とちょっと嬉しかったりして。
返信する
おお。 (きし)
2008-05-12 22:39:42
むぎこさんもさくっと参ですか。
まだ、手元にないのですよね~。ワタシもさくっと…のつもりだったのですけど、勝負強いところをみせた匂宮くんの勇姿で止まっています。
いいですよね~、いざというとき引きが強いって。

「のぼうの城」、すごい人気らしいですね。先を越されちゃいました~。
以前から気になってはいて、bk1のお買い物カゴに入れているのですが、時々品切れになっています。
ベストセラー一直線?もしかしたら、映像化も早かったりして。
では、さっそく記事を拝見しにお邪魔いたします~。
返信する
三おわったのですが (むぎこ)
2008-05-13 06:59:35
参おわりましたです
さくさくと

ネタバレしないようにあまりはなしはしませんが
なんかまだ続きそうな
というかこれからおもしろくなりそうなところで小休止と言う感じです

続き・・・ koharuさまのいわれるような展開でみてみたいです。

匂の宮さんはちょっと南原教授を思い出します。
実は薫よりずっとロマンチストかなあなんて

のぼう・・・映画化の話あるようですがキャストがどうなるのか興味しんしんです
表紙はオノナツメという漫画家さん
でもどうみても細野不二彦さんの絵柄やタッチをおもわせます
というか彼のファンかアシさん上がりのかたかしら?なんて勝手におもってます
返信する
早~い。 (きし)
2008-05-13 23:09:38
ほんとにさくさくでしたね。続きそうなら、う~ん、どうしようかしら。

>表紙はオノナツメという漫画家さん
そうなのですよね~。表紙をみて、なんだか出世したみたいと思ってしまいました。
この方の『リストランテ・パラディーゾ』が好きです。
細野不二彦さんって『ギャラリーフェイク』の方ですよね?作品を読んでいては、連想したことがありませんでした。細野さんがよく分かってないからかもしれませんけど。
返信する

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