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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・真紅の祈祷書

2021-05-13 23:09:38 | 突発お題
 最近教区に赴任していらした老神父様は凝った細工の施された、とても立派な祈祷書をお持ちだ。老神父様にとっては長年のお仕事の相棒のようなものだと仰るが、普段の礼拝には持参されないので不思議に思って尋ねると、実は悪魔祓いの儀式が発生した際の専用にお使いになられるそうだ。
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名探偵の解答その68・愛と真実の旗の下に

2021-05-12 20:35:13 | 名探偵の解答
女性に大人気の探偵であるたかあきに、強欲な婆さんから『あたたかい凶行』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に非凡のようです。

 強欲な婆さんから長年溜め込んだ財産の相続人にしてあげるからアタシの伴侶になりなと無茶を言われた。確かに女性人気には自信があるが、今回は絶対に裏があると踏んで話に乗ったふりをしたら物凄く分かりやすく命を狙われた挙句、最終的には老いらくの果てに花開いた婆さんの真実の愛とやらに巻き込まれて散々な名にあった。
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名探偵の解答その67・旧き神々の呼び声

2021-05-11 22:29:21 | 名探偵の解答
有名な素人探偵であるたかあきに、幼児から『悪夢の幻想』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に非凡のようです。

 おじちゃん名探偵なんでしょと、姪っ子の弟が妙な寝言を言うから何とかして欲しいと依頼を受けた。正直高を括っていたが、実際に聞いてみると、とても人間には発音出来ない神様や眷属の名前を唸っていたのであっさり手に負えないことに気付いた。薄情でも発狂する前に手を引きたいのだが、どうしよう。
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名探偵の解答その66・母の苦悩

2021-05-09 23:39:34 | 名探偵の解答
暇潰しの日曜探偵であるたかあきに、伯母から『冷たい小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に単純のようです。

 もうすぐ母の日だと言うのに家族が冷たいとぼやく小母さんの愚痴を聞いていたら、どんどんエスカレートしてもしかして将来は夫が浮気をして子供にも捨てられるのではないかと言い出した。コレは早急な対応が必要だと感じた僕は小母さんの為に家族が用意したパーティーの前倒し開催を提案する事にした。
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名探偵の解答その65・隠し鬼

2021-05-08 19:20:04 | 名探偵の解答
全く無名の探偵であるたかあきに、伯母から『丸い空白』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に深刻のようです。

 アンタ道楽で探偵やってるんでしょ、ならタダで調査しなさいよ。そう言って伯母が依頼してきたのは自分の家族全員の身上調査だった。姑だけでなく夫も子供も皆で何かを企んでいるという伯母の邪推は確かに当たっていたが、それは度重なる伯母の酷い言動に耐えかねた家族全員が離婚を含む絶縁の準備を進めていただけだったので、とりあえず皆が逃げ切るまで僕は無能な探偵のふりをする事にした。
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骨董品に関する物語・ベルベットの祈祷書

2021-05-07 19:04:56 | 突発お題

 まだ家が裕福だった頃、とても優美な祈祷書が家にあった。曾祖母から祖母へ、祖母から母へと受け継がれ大事にされてきた祈祷書は母の離婚と共に手放すことになったが、やがて古書店で再会して懐かしさから開いて見ると、最後のページに並んで書かれた名前の最後は私のものだった。

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名探偵の解答その64・美しい女性(ひと)

2021-05-06 22:58:44 | 名探偵の解答
街ではよく知られた探偵であるたかあきに、不思議な婦人から『彼方の年代記』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に笑い話のようです。

 この街で発生した事件の謎を解明して以来、少年探偵と呼ばれるようになった僕の前に現れた不思議な雰囲気の婦人は私の正体を当てて御覧なさいと微笑んだ。そして少年だった僕にとって未解決事件となった婦人の正体は、大人になった僕が恋人にプロポーズした日の晩に、ようやく明かされることになった。
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春の創作怪談・階段に座る女

2021-05-04 11:18:00 | 突発お題

 仕事で夜遅くに帰ったら、屋上に通じる内階段半ばに座っている若い女性を見かけた。確か同じ階の住人だと思いつつ無言で通り過ぎ、そのまま忘れていたが、後日、同棲していた男に常日頃から激しい暴行を受けていた女性が、とうとう亡くなった事を知った。
 ただ、私が内階段で見かけた時は、まだ生きていたらしい。
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春の創作怪談・色付く布地

2021-05-03 17:25:43 | 名探偵の解答

 自分で図案を描いたはいいが、あまりの難しさに挫折して刺繍枠にセットしたままだった刺繍が何故か日ごとに進んでいる。ただ、最近の私は殆ど外に出ない生活を送っているので、その刺繍が生きている人間の仕業とは思えなかった。それでも気を取り直してよく観察してみると配色は微妙だが針目は丁寧に揃っている。間違いなく熟練者の手蹟だと判断して実家に電話で心当たりを尋ねると、恐らくは若くして亡くなった色覚異常持ちだが刺繍が趣味だった大叔父だろうと言われた。それなら完成が楽しみだ。
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名探偵の解答その63・崩した足場と崩れる足場

2021-05-03 12:35:10 | 名探偵の解答
稀代の名探偵であるたかあきに、謎の紳士から『動かぬ空白』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

 若い頃に解決した、私にとっては探偵としての名声を確立した事件について謎の紳士から再依頼が入った。引退して久しい身として身軽さと懐かしさから調査を始めたところ、自害した犯人が最後の最後まで明かさなかった空白の時間に関しての新事実が発覚して、もしそれが本当なら推理が根底から覆ると判った。
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