リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

専業主婦は「輝いていない」のではなく,「特権」になるのかも

2018-04-03 | 一般
共働き世帯の増加とともに論じられることも多くなった専業主婦について,新聞記事(朝日新聞2018-4-2)をベースに考えてみたい.
まず,識者コメントによれば,専業主婦を望む若い女性が多いという.そして働かずに専業主婦を選ぶのは(生涯収入の点で)もったいないとの著書に対しては反発の声が多数寄せられたそうだ.

「女性活躍」などのスローガンのもと,女性が働くことを推奨する風潮があるが,それはあくまでも「社会に出て働きたい人が働くことができ,専業主婦(主夫)を希望する人は家のことに専念できる」ことを目標とすべきであって,共働きしなければ家計が成り立たない労働状況を作った政治のしりぬぐいを女性に押し付けることであってはならない.
さらに,専業主婦が「活躍していない」「輝いていない」といったレッテル貼りをしないよう気をつける必要がある.専業主婦に対して「健康なのにのんびり家にいる」という批判があるそうだが(かつての「三食昼寝付き」というやつか),論外だ.(と書いたが,ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の原作者・海野つなみ氏が専業主婦は「輝く女性」でなければいけないはずはなく,ジャージー姿で少し焦げたチャーハンを出すような主婦であっても本人が楽しければいいというコメントを読んで若干修正すると――仮に「健康なのにのんびり家にいる」のであっても,本人がそれでよければいいのであって,はたから批判されるべきことではない.少なくとも,食事の用意などの家事を担っているところを評価しないのは論外.)「外で給料を稼ぐことだけが輝くことじゃない.働く男性はみな輝いているのですか?」との30代女性のコメントは鋭い.専業主婦が家族のためと思ってやっても評価されず,自分のことも封印せざるをえずに,「専業主婦は活躍する女性ではない」との結論に達してしまった40代女性のような例を増やさないためには,専業主婦を見下す風潮を改めるとともに,(今回の記事も含めてよく指摘されることだが)男性の過重労働を改めて,自分のことを何もできない状態に主婦を放置しないことが必須だろう.
結局,「国に働けと言われるのも,働きたいのに子どもがいるために拒まれるのも,おかしい.すべての女性に選択の自由をください」という30代女性の声が私の持論をうまく言い表わしてくれている.

だが,認めたくはないが,実は私も,少子高齢化が進む日本ではそのような理想主義は成り立たないのではないかとの懸念も抱いている.冒頭で挙げた識者は人生100年時代に,夫の年金だけで夫婦の老後を支えるモデルは維持できないと指摘する.私は共働きせざるをえない社会は異常だと思っているが,「共働きで稼ぐのが長寿社会の新しい生き方」と言われれば,反論は難しい.たしかに人生100年のうち60歳(または65歳)以降は年金暮らしと考えたとき,全男女のうちの半数が専業主婦(主夫)という社会には無理がある.このまま少子高齢化が進んだ場合,専業主婦はもはや特権階級になってしまうのかもしれない.

付記:専業主婦世帯と共働き世帯の統計によれば,共働き世帯は1990年代に専業主婦世帯の数に並び,その後も増加し続けて,2017年には専業主婦世帯641万に対して共働き世帯は1188万世帯となっている.


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