リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

認可外保育施設が「無償化」の影響で倒産!?

2019-03-28 | 待機児童
神奈川県川崎市の認可外幼稚園の「A.L.C.貝塚学院」が卒園式の翌日に突然、破産して閉園することを保護者に通知した。そのメールには「認可幼稚園無償化などの影響を受け、本年4月以降の事業継続ができない状況となりました」とあったという。
無償化に際して認可外園の扱いをどうするかの問題はこれまでも指摘されてきた。自公政権の当初案では対象外だったのが、批判を受けて認可外園も対象にしたのだが、それでもA.L.C.貝塚学院は無償化の対象外だったため、園児を集められる見通しが立たなくなったようだ。
教育評論家の石川幸夫氏は無償化は口実ではないかとの見解だが(JCAST)、実際はどうなのだろう。少子化に伴う入園児の減少などで債務超過状態が続いていたという報道(asahi.com)が正しいとすれば、待機児童がこれだけ多い中でも、無償化が実施されていない現時点でも、十分な園児を集められなったということになる。だとしたら無償化が追い打ちをかけた、という園側の説明も納得できる。
認可外園をことごとく無償化の対象にできないのは当然だが、今決まっている線引きが本当に妥当なものなのかどうか、あるいは仮に線引きが合理的なものであったとしても無償化の対象外になったために経営が成り立たない無認可園が続出しないかどうか、早急に見直すべきだ。

だがそもそも、待機児童問題を置き去りにして無償化を進めるのは順序が違うということを待機児童カテゴリーで何度も書いてきた。新年度予算が成立した国会ではこれから無償化問題が議論されるという。野党は待機児童解消、保育士の待遇改善などを柱にした修正案を提案する方向だというから(朝日新聞2019-3-28)期待したい。

関連(?)リンク:
猪熊弘子「「日本の保育無償化は誰も幸せにならない」といえるこれだけの理由」(現代ビジネス

追記:幼保無償化が国会の焦点となっている。最大の関心は、無償化を行なっても2020年度末までに待機児童ゼロの目標を達成できるかどうかだ。無償化を行なえば、潜在需要が掘り起こされて待機児童問題が悪化するとの懸念は広く指摘されており、私も何度も書いた(過去ブログ過去ブログなど)。根本匠厚労相は「32万人分」は保育ニーズの高まりにも対応できる規模だとして「目標達成は可能」と強調しているという(朝日新聞2019-3-29)。はたして「32万人分」が実現できるのか、それで待機児童がゼロになるのか、検証が不可欠だ。
だがそもそも受け皿確保の予定が2020年度末なら、無償化はその後であるべきではないか。無償化の財源を回せば待機児童解消を前倒しできるのではないか。自公政権の優先度はやはりおかしい。

追記2:「A.L.C.貝塚学園」は一転、運営会社が事業を譲渡することで継続されることになった(朝日新聞2019-3-30神奈川版)。記事によれば負債の大半は不動産にからむ借金とのこと。また、入園者数は2015年度は150人台だったのが2016~2018年度は100~120人、2019年度の入園予定者は71人となり、事業継続は困難との判断になったという。無償化云々前から入園者が減っていたようだが、最後の落ち込みはやはり無償化対象外になったことが「追い打ち」になったのではないか。(←と書いてから思い直したが、今の政府の方針では無償化の最初の5年間は質を問わずに無償化の対象にするから、2019年度の入園者は無償化の対象になるのではないか。報道では同学園は無償化の「対象外」とあったが、どういうことだろう?)どちらにしても、他の園への「無償化」の影響について、慎重に見極める必要がある。

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