自衛隊の強化は喫緊の課題だ
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」371/通算802 2025/令和7年3/3 月曜】 カミサンは生まれてから一度も夢を見たことがない、と言うが、小生は昼寝でも就寝でもいつも夢を見る。夢見る老人・・・眠りが浅いのか、頻尿のせいか、その両方かもしれないが、面白い夢の時はガバッと起きてメモをするようにしている。先日はこんな夢を見た。
<「人たらし」は、子供や青年、部下などをほめまくってさらに上を目指すように誘導する行為だ。ほめないで「もっとやれ、ちゃんとやれ」と言われると(小生のように)やる気を喪失する人がいるから、「ほめる」ほうがよさそう。
大学院出身者はピンキリか? さすがだなあという人がいる半面、能動的に課題を処理していくことができない、即ちリーダーシップに欠ける人もいる。穏やかで大人しい人もいるだろう>
調べたら「大学院」には「修士課程」と「博士課程」の2段階があるそうだ。どう違うのか――
◎:「修士課程」は標準修業年限2年以上の在学。30単位以上の修得。
◎:「博士課程」は標準修業年限5年(修士課程の2年を含む)以上の在学で、研究指導を受け、「特定の課題」についての研究成果の審査及び試験の合格が求められる。
小生はマルクス・レーニン病で隔離され大学も除籍に至ったが、外野から見ると「修士課程」「博士課程」出身者は世間ではエリートのようである。8年ほど世話になった出版社に博士課程卒の先輩がいたが、やはり頭脳明晰かつ穏やかで、「切れる人材」として一目を置かれていたものだ。小生は全体で10人ほどいる編集長の一人であり、担当ジャンルの「海外旅行業界」以外は知らないが、日刊紙、週刊紙、年鑑など仕事に追われ、酒と女でストレスを発散するという蛮族みたいな日々で、博士課程卒のエリートとの接触機会はほとんどなかったのは残念だった。
もっとも「エリート」といっても、当時は「過労死」などという言葉もなく、どのような職場もハードで、小生も平社員の時に「Big Holiday」という月刊の海外旅行雑誌をまかされ必死で取り組んだものだ。ところがリクルート社が「エイビーロード」という類似の雑誌を発行したため「Big Holiday」は廃刊に。小生は酒をあおって大泣きしたものだ。
そして「海外旅行業界紙」編集部へ移されたのだが、ふてくされて戦意喪失、自分の仕事が終わったから帰ろうとしたら元空自・自衛官の編集長から「修一!皆が必死で頑張っているんだ、手伝って行け!」と叱咤されたものである。お陰で再起できたが、今思うと自衛隊は個人ではなく同志、集団になって行動する滅私がルールなのだなあと思う・・・いずこの国でも軍隊はそういうのが基本なのだろうが、衣食住足りて戦意喪失のような日本、自衛隊は大丈夫か・・・
産経2025/2/3 岩田清文・元陸上幕僚長の「正論 自衛官の処遇の本質的改革を」から。
<近年、自衛官の募集難が大きな問題となっている。令和5年(2023年)度は2万人の募集に対し1万人しか採用できないという危機的な状態であった。この状態が長く続けば、現場部隊から若い自衛官が大幅に減少し、災害派遣ですら国民の負託に十分に応えられない厳しい状況となることも懸念される。
◎危機的募集難に対し: 危機的募集難に対し、石破茂首相は就任直後から指示を出し、政府としての対策検討を加速させてきた。昨年12月20日までに4回の閣僚会議を開催し、政府として「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」を決定した。
この基本方針において定められた方策は(1)自衛官の処遇改善(2)生活・勤務環境の改善(3)新たな生涯設計の確立―の3点である。
具体的には、過去に例のない30を超える手当等の新設・金額の引き上げ等により現役自衛官の処遇を改善する。また若い世代のライフスタイルに合わせた駐屯地・基地内の勤務環境の改善により、やりがいと働きやすさを向上させることだ。
そして3つ目に、退官後の再就職や再就職後の収入に不安を感じさせないように、再就職後の収入引き上げに関わる施策などにより、自衛官としての生涯設計を充実させることなどが含まれている。
今までに類を見ないほどの総合一体的な改善であり画期的な進化である。3カ月という短い期間で改善の道筋をつけた首相のリーダーシップと関係者の労は称賛に値する。これらの具体策が今後努めて早期に具現化され、安定的な自衛官確保に繫(つな)がることを期待したい。
一方で、これをもって自衛官の募集難が解決されるほど、日本の少子高齢化の波の大きさと募集環境の厳しさは甘くない。若い世代がなぜ自衛隊に入隊することを望まないのか。それは、単なる手当や勤務・生活環境などの処遇の問題だけではないだろう。もちろんそれも重要な要因ではあるが、最も大きな要因は、自衛官という職業が一生を懸けるほどの「誇りと名誉」ある職業なのか、生涯を通じ、社会からも敬意と感謝の念を抱かれる対象であるのかという点である。
◎:命を懸け国を守る地位: 国は自衛隊法において、自衛官に命を懸けて国を守ることを宣誓させるが、命を懸けるに値する地位を自衛官に与えているのかが最大の問題と認識する。自衛官は「特別職国家公務員」との位置付けにあるにもかかわらず、既存の公務員制度(一般職の公務員制度)に引きずられ、抜本的、本質的な改革には踏み込めていない。
そもそも自衛官は国際法的には軍人と位置付けられており、日本防衛のために防衛出動した自衛官は軍人として扱われ、ジュネーブ条約における文民の保護を受けることができない。すなわち国際法上、軍人は戦闘において殺傷されたとしても、誰にも文句を言うことが許されない立場にあり、自己犠牲を前提に国のために命を懸ける存在なのである。だからこそ、各国は軍人を特別扱いし名誉と誇りを与えている。
例えば米軍であれば、20年以上勤続した将兵には、その勤務年数に応じた恩給(20年勤務で除隊時の本俸の5割、30年で7.5割、40年で10割)が他界するまで支払われる。その他、除隊後も多くの厚遇が保証されているが、何よりも重要なのは米国社会全体が、米軍人が名誉と誇りを持って勤務に専念できるよう、あらゆる社会活動の場面において敬意を表していることである。ここまで国民から期待されれば、国のために命を懸けようと思う若者が途絶えることはないだろう。
◎名誉と誇りある立場に: 憲法改正の道筋が見えない中、自衛官を軍人と規定できないのであれば、例えば、自衛官に替えて「防衛官」という国のために命を懸けることを前提とした地位を新設し、各国同様の名誉と誇りある立場に改革することを提唱したい。
併せて精強性維持のため防衛官としての若年定年制は維持するものの、56歳以降、階級に応じて逐次退官した後は、現状のように自衛隊と関わりのない一民間人として再就職させるのではなく、一般の国家公務員・予備防衛官として任用することを提唱したい。
彼らに対し、65歳までの間、自衛隊の管理業務や隊員募集業務など、防衛官でなくともできる業務を担わせることにより、若い現役防衛官たちを、防衛行動に直結する本来の職務や訓練などに専念させることが可能となる。
加えて、有事には彼ら国家公務員・予備防衛官を防衛官に任用し、民間業者を派遣することが困難な戦闘地域近傍において、支援任務に従事させることができれば、有事における問題点をも是正できることとなる。
歴史的な改善の一歩を踏み出した首相には、ここでとどまることなく、ぜひ真の抜本的、本質的改革に取り組んでもらえることを期待したい。(いわた きよふみ)>以上。次号に続く。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」371/通算802 2025/令和7年3/3 月曜】 カミサンは生まれてから一度も夢を見たことがない、と言うが、小生は昼寝でも就寝でもいつも夢を見る。夢見る老人・・・眠りが浅いのか、頻尿のせいか、その両方かもしれないが、面白い夢の時はガバッと起きてメモをするようにしている。先日はこんな夢を見た。
<「人たらし」は、子供や青年、部下などをほめまくってさらに上を目指すように誘導する行為だ。ほめないで「もっとやれ、ちゃんとやれ」と言われると(小生のように)やる気を喪失する人がいるから、「ほめる」ほうがよさそう。
大学院出身者はピンキリか? さすがだなあという人がいる半面、能動的に課題を処理していくことができない、即ちリーダーシップに欠ける人もいる。穏やかで大人しい人もいるだろう>
調べたら「大学院」には「修士課程」と「博士課程」の2段階があるそうだ。どう違うのか――
◎:「修士課程」は標準修業年限2年以上の在学。30単位以上の修得。
◎:「博士課程」は標準修業年限5年(修士課程の2年を含む)以上の在学で、研究指導を受け、「特定の課題」についての研究成果の審査及び試験の合格が求められる。
小生はマルクス・レーニン病で隔離され大学も除籍に至ったが、外野から見ると「修士課程」「博士課程」出身者は世間ではエリートのようである。8年ほど世話になった出版社に博士課程卒の先輩がいたが、やはり頭脳明晰かつ穏やかで、「切れる人材」として一目を置かれていたものだ。小生は全体で10人ほどいる編集長の一人であり、担当ジャンルの「海外旅行業界」以外は知らないが、日刊紙、週刊紙、年鑑など仕事に追われ、酒と女でストレスを発散するという蛮族みたいな日々で、博士課程卒のエリートとの接触機会はほとんどなかったのは残念だった。
もっとも「エリート」といっても、当時は「過労死」などという言葉もなく、どのような職場もハードで、小生も平社員の時に「Big Holiday」という月刊の海外旅行雑誌をまかされ必死で取り組んだものだ。ところがリクルート社が「エイビーロード」という類似の雑誌を発行したため「Big Holiday」は廃刊に。小生は酒をあおって大泣きしたものだ。
そして「海外旅行業界紙」編集部へ移されたのだが、ふてくされて戦意喪失、自分の仕事が終わったから帰ろうとしたら元空自・自衛官の編集長から「修一!皆が必死で頑張っているんだ、手伝って行け!」と叱咤されたものである。お陰で再起できたが、今思うと自衛隊は個人ではなく同志、集団になって行動する滅私がルールなのだなあと思う・・・いずこの国でも軍隊はそういうのが基本なのだろうが、衣食住足りて戦意喪失のような日本、自衛隊は大丈夫か・・・
産経2025/2/3 岩田清文・元陸上幕僚長の「正論 自衛官の処遇の本質的改革を」から。
<近年、自衛官の募集難が大きな問題となっている。令和5年(2023年)度は2万人の募集に対し1万人しか採用できないという危機的な状態であった。この状態が長く続けば、現場部隊から若い自衛官が大幅に減少し、災害派遣ですら国民の負託に十分に応えられない厳しい状況となることも懸念される。
◎危機的募集難に対し: 危機的募集難に対し、石破茂首相は就任直後から指示を出し、政府としての対策検討を加速させてきた。昨年12月20日までに4回の閣僚会議を開催し、政府として「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」を決定した。
この基本方針において定められた方策は(1)自衛官の処遇改善(2)生活・勤務環境の改善(3)新たな生涯設計の確立―の3点である。
具体的には、過去に例のない30を超える手当等の新設・金額の引き上げ等により現役自衛官の処遇を改善する。また若い世代のライフスタイルに合わせた駐屯地・基地内の勤務環境の改善により、やりがいと働きやすさを向上させることだ。
そして3つ目に、退官後の再就職や再就職後の収入に不安を感じさせないように、再就職後の収入引き上げに関わる施策などにより、自衛官としての生涯設計を充実させることなどが含まれている。
今までに類を見ないほどの総合一体的な改善であり画期的な進化である。3カ月という短い期間で改善の道筋をつけた首相のリーダーシップと関係者の労は称賛に値する。これらの具体策が今後努めて早期に具現化され、安定的な自衛官確保に繫(つな)がることを期待したい。
一方で、これをもって自衛官の募集難が解決されるほど、日本の少子高齢化の波の大きさと募集環境の厳しさは甘くない。若い世代がなぜ自衛隊に入隊することを望まないのか。それは、単なる手当や勤務・生活環境などの処遇の問題だけではないだろう。もちろんそれも重要な要因ではあるが、最も大きな要因は、自衛官という職業が一生を懸けるほどの「誇りと名誉」ある職業なのか、生涯を通じ、社会からも敬意と感謝の念を抱かれる対象であるのかという点である。
◎:命を懸け国を守る地位: 国は自衛隊法において、自衛官に命を懸けて国を守ることを宣誓させるが、命を懸けるに値する地位を自衛官に与えているのかが最大の問題と認識する。自衛官は「特別職国家公務員」との位置付けにあるにもかかわらず、既存の公務員制度(一般職の公務員制度)に引きずられ、抜本的、本質的な改革には踏み込めていない。
そもそも自衛官は国際法的には軍人と位置付けられており、日本防衛のために防衛出動した自衛官は軍人として扱われ、ジュネーブ条約における文民の保護を受けることができない。すなわち国際法上、軍人は戦闘において殺傷されたとしても、誰にも文句を言うことが許されない立場にあり、自己犠牲を前提に国のために命を懸ける存在なのである。だからこそ、各国は軍人を特別扱いし名誉と誇りを与えている。
例えば米軍であれば、20年以上勤続した将兵には、その勤務年数に応じた恩給(20年勤務で除隊時の本俸の5割、30年で7.5割、40年で10割)が他界するまで支払われる。その他、除隊後も多くの厚遇が保証されているが、何よりも重要なのは米国社会全体が、米軍人が名誉と誇りを持って勤務に専念できるよう、あらゆる社会活動の場面において敬意を表していることである。ここまで国民から期待されれば、国のために命を懸けようと思う若者が途絶えることはないだろう。
◎名誉と誇りある立場に: 憲法改正の道筋が見えない中、自衛官を軍人と規定できないのであれば、例えば、自衛官に替えて「防衛官」という国のために命を懸けることを前提とした地位を新設し、各国同様の名誉と誇りある立場に改革することを提唱したい。
併せて精強性維持のため防衛官としての若年定年制は維持するものの、56歳以降、階級に応じて逐次退官した後は、現状のように自衛隊と関わりのない一民間人として再就職させるのではなく、一般の国家公務員・予備防衛官として任用することを提唱したい。
彼らに対し、65歳までの間、自衛隊の管理業務や隊員募集業務など、防衛官でなくともできる業務を担わせることにより、若い現役防衛官たちを、防衛行動に直結する本来の職務や訓練などに専念させることが可能となる。
加えて、有事には彼ら国家公務員・予備防衛官を防衛官に任用し、民間業者を派遣することが困難な戦闘地域近傍において、支援任務に従事させることができれば、有事における問題点をも是正できることとなる。
歴史的な改善の一歩を踏み出した首相には、ここでとどまることなく、ぜひ真の抜本的、本質的改革に取り組んでもらえることを期待したい。(いわた きよふみ)>以上。次号に続く。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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