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ウクライナは明日の日本

2022-04-25 14:24:26 | 日記
ウクライナは明日の日本
“シーチン”修一 2.0


【雀庵の「大戦序章」33/通算465 2022/4/25/月】アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」を読むと複雑な気分になる。人間の面白さに笑う反面、醜さに溜息をつくことも多く、特に彼の南北戦争での苛烈な体験が人間への不信感どころか絶望をもたらしたのかと同情を誘う。「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言うけれど、厳しすぎるのは悲劇だ。「空飛ぶ騎手」「アウル・クリーク橋の一事件」などを読むたびに小生は人間不信を覚える。


「悪魔の辞典」は人間不信を苦笑に変えることで成功した著作だ。苦々しさをチョコレートで覆っているから「アハハハ、そういう解釈ってあるよなあ」と楽しめる。小生の「悪魔の辞典」は誰かに貸したら戻ってこなかった(担保を取らずに何かを貸すと返ってこない・・・世界共通か?)のでブログ「coredake!ミステリー」から、今の国際情勢に効き目のある語を拾ってみた。


・愛国者(patriot):部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。政治家に手もなくだまされるお人好し。征服者のお先棒をかつぐ人。
・愛国心(patriotism):自分の名声を明るく輝かしいものにしたいと野心を持つ者が、たいまつを近づけるとすぐに燃え出す可燃性のもの。
・戦争(war):平和の策略が生み出す副産物。
・戦闘(battle):口で言っても言うことを聞こうとしない政治関係の結び目を、歯で解いてみせる方法。
・煽動家(agitator):害虫を振るい落とすのだと言って、他人の所有する果樹をゆさぶる政治家。
・大権(prerogative):一国の元首が非道を行い得る権利。
・大胆不敵(daring):安全無事な立場にある人に見られる最も著しい特質の一つ。
・大砲(cannon):国境を修正するために用いられる道具。


・人間(human):自分の心に描く自分の姿に恍惚として眺め入っているために、当然あるべき自分の姿が目に入らない生き物。
・忍耐(patience):小型の種類の絶望。ただし美徳に偽装している。
・平和(peace):国際関係について、二つの戦争の時期の間に介在するだまし合いの時期を指して言う。
・優柔不断(indecision):成功の最も重要な要素。正しい方法は疑いもなくただ一つと決めて突進していくより、道を誤る危険が少ない。
・友情(friendship):天気のよい時には二人乗せることができるが、天気の悪い時には一人しか乗せることができないくらいの大きさの船。
・隣人(neighbor):私たちの方では、命令に従って「我を愛するように愛そう」としているのに、あらゆる手を尽くしてその命令に背かせようとする人。
・和解(reconciliation):戦争の一時停止。戦死者の死体を掘り出すための間。
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プーチンやロシア人に読ませたいが、ロシアは有史以来、独裁政治だから出版の自由はない。そもそも言論の自由がない。許されるのは独裁政治の称賛、政治と関係ない言論、文学、報道だけである。宗教も政権をヨイショするだけだ。


<2022年4月、ロシア正教は2022年ロシアのウクライナ侵攻において、「あなたはロシアの戦士です。あなたの義務は、ウクライナの民族主義者から祖国を守ることです。あなたの仕事はウクライナ国民を地球上から一掃することです。あなたの敵は人間の魂に罪深いダメージを与えるイデオロギーです」という免罪符を発行した>(WIKI 出典:Euromaidan Press 2022/4/7)


凄まじい国である。将兵が死んでもプーチンは意に介さない。諫言する者は排除される。抹殺されそうなインテリや、徴兵を恐れる若者はロシアからどんどん逃げ出しているようだ。プーチンは勝つか、あるいは引き分けでなければウクライナから撤収できない。負ければ「最後の暗愚なロシア皇帝」として地位を剥奪されるか、拘束されるか、チャウシェスクのように処刑されるだろう。栄耀栄華、名誉、御殿、一族・・・すべては夢のまた夢になる。


明治以降の日本は1945年の敗戦まで戦争が絶えなかった。帝国主義の時代であり、世界の強国はみな富国強兵を国是としていた。強くなければ強者の属国、植民地になり、ひどい時には亡国になった。そういうのが時代の潮流であったことを理解しておかないと、歴史を解釈できないし、「今」も読めないのではないか。


ビアスは「平和とは戦争と戦争の間の時期」だと言う。1945年の第2次世界大戦終結前まではそれが常識で、人類の歴史は戦争の歴史である。戦略家のルトワックは言う。


<国連やNGOや他国による中途半端な「人道介入」、それが戦争を終わらせるのではなく、逆に長引かせている。無理に停戦させても、戦争の原因になっている「火種」を凍結するだけだ。本当の平和は、徹底的に戦った後でなければ訪れない。


第三国が他国/地域での「紛争介入のために戦争を始める」「戦争を止めるために介入する」のは避けるべきだ。介入によって当事国に「法と秩序」を提供しつつ、再建を進め、50年間でも駐留する覚悟があるのか? 介入するのであれば、責任を持ってその国を統治し、平和をもたらすべきである。そのようなことはできはしない。介入することはむしろ「戦争の疲弊による平和の到来を阻害する」ことになってしまう。


戦争を終わらせて平和をもたらすのは唯一、戦争だけである。このメカニズムを無理に止めてしまえば、止めた当事者が平和をもたらさなければならなくなる。そのためには大規模な軍隊の投入が必要となり、地域の治安を確保して住民を安心させ、ならず者は全員撃ち殺し、その地域を50年間にわたって統治しなければならなくなる。そのようなことはできやしない。


私が「戦争にチャンスを与えよ」と言うのは、一見すると極めて非常識なように見えるが、逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)であり、戦争の唯一有益な機能は「平和をもたらすこと」で、それを機能させる必要があるという確かな認識に基づいているのだ>


戦争当事者にはトコトン戦わせて「停戦、休戦、交渉、平和」に持ち込めということだが、そうであっても戦争に負けて領土を奪われた方は複雑な思いだろう。空襲や食糧不足などで限界にあったから「もう勝ち目はない、敗戦やむなし」、とにかくも“終戦”になったことを歓迎するようだ。大昔から世界中で兵士や庶民はそうだったろう。日本も同様だった。今では総力挙げてのガチンコ戦争は兵器の発達で消耗が激しいから双方とも1~2年で疲労困憊するのではないか。


ルトワック氏はプーチンのウクライナ侵略戦争の“落としどころ”についてこう述べている(「戦いの先、考える時期」産経2022/4/22)。


<国際社会は引き続きウクライナを支えていく戦略に加えて、この戦争にどう幕を引くかという戦略についても検討する時期を迎えつつある・・・ドネツク、ルガンスク一帯の帰属に関する住民投票を実施することは選択肢ではある。宇露双方が住民投票で合意すれば、戦闘の即時完全停止が不可欠だ。停戦と引き換えに対露制裁を緩和すれば、ロシアに停戦を遵守させる誘因となる。停戦を破った場合は再び制裁を課せばよい>


ドネツク、ルガンスクはロシア人が多いから住民投票をすればロシアに奪われるのは目に見えている。ウクライナは2014年にロシアにクリミア半島を強奪され、その後はドネツク、ルガンスクまで強奪されつつあるからウクライナは両地で親露派と内戦をしてきた。ルトワック氏はそれを承知で「ウクライナは両地をロシアにくれてやれ」と言う。つまりウクライナは一方的に負けることになる。プーチン・ロシアの完勝だ。「長い物には巻かれよ」って・・・ウクライナは“屈辱的な平和=敗戦”を受け入れるくらいなら、窮鼠猫を嚙む方を選ぶだろう。


アカへの親和性が濃厚な沖縄、北海道で「帰属に関する住民投票を実施」すれば、沖縄は中共を、北海道はロシアを選ぶ可能性はある。ルトワック氏はウクライナに「どうせ勝てやしないのだから矛を収めよ、今が潮時、ドクターストップ」と言っているよう。このパラドキシカル・ロジックでは確かに終戦=平和にはなるだろうが、ウクライナの男は納得しまい。矢尽き刀折れるまで戦うだろう。たとえ負けても臥薪嘗胆、再起三起の根性は生き残る。


ルトワック氏は言う。「私が米国大統領顧問なら、彼にこう提言する。米国はプーチンを侮辱するな、交渉せよ。ウクライナの国土統一は米国の利益ではない。一方で、米国に協力するプーチンは米国の国益である。確かにプーチンは今日の敵に見えるかも知れないが、明日の世界を見据えれば、プーチンを侮辱して追い込み過ぎるのは考えものなのである」(「戦争にチャンスを与えよ」)


米国にとってそれは国益かもしれない。しかし日本(台湾、アジア)にとっては最悪だ。もしウクライナが尻尾を巻いて屈辱に甘んじれば、ロシアと中共は「日本も台湾も同じ手でやればチョロイものだ」とかさにかかって開戦するのは目に見えている。ウクライナは明日の日本、台湾だ。


核兵器で武装しますか、それともニッポン止めますか? ウクライナへの支援と日本の核武装、アジア太平洋版NATO構築は喫緊の課題である。
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