Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

能楽金剛流特別企画、能楽入門

2019-01-28 | Théâtre...kan geki
1月27日日曜日、朝10時半から12時まで、京都御所の西にある、金剛能楽堂で、シテ方能楽師による舞台裏の説明とワークショップがありました。
それから、13時からの定期能、「翁」、「内外詣(伊勢神宮のことです)」。1月らしい、おめでたい演目です。



能楽シテ方には五流派あり、観世、金春、宝生、金剛、喜多。
今回の演目の「内外詣」は金剛流のみの演目とのことで、楽しみにしていたのですが、こどものスイミングスクールの時間で、タイムアウト。。。やむなし。。

シテ方豊島さんの説明はたいへん面白く、演者からの視点が新鮮でした。
*橋掛りは西方にある。(能の演目はあの世からひとが来るので、西方浄土を念頭に)
*目付柱は、面をつけた演者が舞台から落ちないよう、大切な目印(5円玉より小さい孔からしか外が見えないため)
*目付柱は、客席から見たとき演者の身体の傾きをはかる目安になるという声も。。(マニアック!)

◆面(おもて)について
*小面『雪』の写しを拝見。金剛流は名品を多く持っている。『花』は三井財閥蔵だそう。
*面は、賞味期限が長い。室町時代から400年経ったようなもの(=古面)も使用に耐えるので使うことがある。
*金のツノが生えている般若の面も拝見。インパクトは強いが、使う演目は3〜4くらいしかない。金色に輝く目は金属製で、だんだん蛇に近づく…の含みがある。(道成寺を踏まえて)
*孫次郎の面を拝見。これ初めて見ました。フレッシュな色香のあるお顔。
*曲見の面の意味するところは、歳をとったおんなのひとは段々モノの見方が曲がってくる…の意味かという話
*小面は顔の上の方、増女など、歳をとることに下方へセットしていく。
*御髪は馬の毛。黒くてつやつやして美しい毛でした。


◆装束について
*「からおり」「ぬいはく」とあり、からおりをこの度は拝見。
*「ぬいはく」は繻子に刺繍してあるのでからおりよりも軽量。
*「からおり」は紺ー緋ー白のパターンが連続しており、この繰り返し段が多いほど格が高い。織りなのでとても重い。

*装束は25年くらいが耐用年数。50年経つともう紙のようになりビリー、、となりやすく扱いにくい
*西陣で織っているので高価


◆謡(うたい)について
*「高砂」を、ワークショップ参加者全員で挑戦。

観世流と字体が違うので新鮮

*謡は、音程がなく、調子 で出来上がっている。
*速さ、リズムは一定でない「序破急」の論理。(対して、歌舞伎はビートである)


◆舞
…なんと、舞台にあげていただき、「高砂」のお仕舞いを指導いただく。山田先生、豊嶋先生に合わせて扇を使うのですが、これも、観世流と比べて動きが多くて、「え?」「え?」と目が白黒しました。これが舞の金剛というやつかしら!としろうとは思いました。



金剛流の宗家が構える、この能楽堂に入ったのは初めてです。
こどものお師匠様は観世流、わたしがこの10年くらいポツポツながら鑑賞をたのしんできたのも観世会館、
初めての他流派に、前日からワクワクでしたが、雰囲気はだいぶ違いました。
受付がものものしく、見知らぬ人があまりもはや来ないためか、新顔をじろじろ皆で観察するかのような…
これはアットホームな観世会館にはあまり感じたことがなかった。
また1階奥に御簾席があったりすることからも「お高い」印象を受け、2階席といえど子供を連れて入れるような雰囲気ではありませんでした。
(観世会館の2階正面席はうちの子どものお気に入りで、安価だし思う存分型を真似したりできる、気楽なのに得な席)
会場の撮影も全面禁止。
あとわたしの邪推ですが、金剛宗家の御曹司は古典的な美男子だからか、なんだか、ファンが真剣な感じ。会員席も観世会館よりだいぶ多くて、ワキ正面でさえほとんど会員席…

この彼が演じる「内外詣」は結局観られていないので、ほんとに心残り!

翁は、以前の体験から、正面もいいけど、やっぱりワキ正面席が臨場感最高でしょう!という目論見が当たり、嬉しかった。橋掛りから、最高の正装をした演者の皆様がたーくさん出て来られるのをつぶさに見れて、とにかく圧巻です。「翁はワキ正面」。覚えておこう。


和装の方も、皆様雰囲気が高級で、近所だからと自転車で乗りつけたわたしは、ダウンコート着た自分を反省しました。
歌舞伎は小紋で行ったのに、お能はいつも普段着、という意識をあらためるべきかもしれません。




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