Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

堂本印象美術館

2019-01-30 | art... bijutsu
堂本印象の作品の前に立つと、奇妙なことにいつも、
自分はどんな画家が好きだったかな…
と助けを求めるように違う誰かを思い出そうとする心の動きがあり、
要は、堂本印象がそんなに自分の「好き」にはピンと響いてこないのだと思います。
それどころか、ちょっと逃げ出したいような苦手意識が。

主張する抽象化されたフォルム、堂々と豪華絢爛な作風、傲岸不遜な肖像画。
とりわけ金をよく使用した作品により、彼はクリムトを思い起こさせる雰囲気なのですが、クリムトには問答無用に平伏し崇拝してしまうわたしでも、なぜか堂本印象にはそこまで感動することはない。
魂に呼ばれるように描いている、というより、こうしたらウケるかな。という実験を感じるところが大きく、
それはそれで遊び心と評したいのですが、好みではない。
彼の作品群に囲まれていると、三島由紀夫の小説によく出てくる、上流階級のご婦人がたによる、空疎な会話交わされるパアティを連想します。華やかで眼をおどろかす、背徳の香りを放つ、あの排他的な夜。


しかしその会場で、先日、わたしの日本画のお師匠が個展をされているというので、参じました。
先生の何も決めつけないお人柄、孤高の精神世界、を感じる大作がずらりとあり、とても良かった。
そして、いわゆる線のハッキリした日本画ではない、境界を越えたような作品群は、意外と、堂本印象の作品たちによって引き立てられ、会場との相性がすごくいいなと思ったのです。
ほかの画家の作品を引き立てる画家、装飾芸術家としての堂本印象はいいなと、今回初めて思いました。



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