茂木日誌

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茂木の音楽小路 第1回〜邦人作品について

2017-04-07 21:55:01 | 音楽小路
4月30日(日)の「茂木の音楽小路 第1回」まで日が近くなってまいりました
ピアニストとのリハーサルも今日までに順調に進みました
演奏会の準備もそろそろ佳境に差し掛かります

「茂木の音楽小路」では、邦人作品も積極的に演奏する予定です

初回は、山形弦楽四重奏団(山形Q)の活動から出会いが生まれた紺野陽吉(1913~1945)の作品から、弦楽二重奏を再演する事にしました
同時に、山形Qの定期演奏会で演奏した事のある尾崎宗吉(1915~1945)が残したチェロとピアノのための「夜の歌」と、吉田隆子(1910~1956)の「お百度詣」も演奏する事にしました

紺野陽吉の二重奏は、戦争末期にあってまだ見ぬ戦地に赴く直前の紺野が作曲家清瀬保二に委ねていった、現存するたった三つの作品(未完を含む)の一つ
「夜の歌」は、戦地を経験し一度は復員し帰国した尾崎宗吉が、再出征するまでの短い間に作曲した作品のひとつ
お二人とも30代に入ってすぐ戦没されており、今回演奏する作品が彼らの最晩年の作品となっている現実が、戦争の過ちを今に伝えるものでもあります

「お百度詣」は、明治の歌人大塚楠緒子の詩に吉田隆子が作曲をしたもので、作曲者自身の手によりチェロとピアノの二重奏に編曲されています
詩には、日露戦争の戦地に赴いた夫の無事を思う妻の気持ちが切々と刻まれ
それを太平洋戦争の時代を経験した吉田隆子が歌曲に、そして器楽二重奏に創っています

今回演奏する三つの邦人作品それぞれが
異なる視点から捉えた戦争を、現代の我々に伝えてくれます
それらの作品は
厳しい時代に耐えながら創作を続けた作曲家たちの「希望の心」や「生きた証」を今に伝えてくれる、作曲家の「生命」そのものでもあります

しかし遺された「生命」も、演奏をされなければ実に儚く失われてしまうもの
作品を存続させ後の世代に渡してゆく一助になれればと思い、今回演奏する事に致しました

「茂木の音楽小路」では、邦人作品の演奏に今後も継続して取り組んでゆく予定です
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