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名も無きねこに

at 2004 12/02 02:56

2006-07-09 01:11:13 | わたし
内臓の据わりが悪くなる

今日は面接だった。いや、正確には昨日だ。
先日の難しくてわけのわからん特許翻訳のトライアルはなんだかパスしてしまい、
その結果、派遣先まで面談にいった。

いやな感じだった。

年配の男性が二名出てきた。
名刺もくれなかったし、向こうは名乗もしなかったが、おそらく一人は課長クラス、
もう一人は部長かなんかだろう。
メインでお言葉を下賜されたのは薄紫のスーツを着込んだ部長らしき人物。

彼の言うことには、海外向けの特許申請文書を一から十まで独りきりで作製できる人物は、
全国でも数えられるほどしかいない(部分的に翻訳を請け負っているとかそういうケースは除く)。
一朝一夕に身に付く技能ではなく、一人前になるには3~5年かかる。
だからここで働いて技能を修得できれば、あなたにとっても悪い話じゃないだろう。
米大学院卒とかTOEICスコア970オーバーの人材がゴロゴロいて、働いている連中の英語力は
皆すごいレベルで横並びだけど、単なる技術翻訳とは違って、そんなことより原文の日本語の
理解力、それも高度なヤツが求められる仕事だ。
もちろん特許申請という性質から、他国の法制度を調査して、それに適合した文書を作成する
必要があり、そういった背景調査と理解の能力も必要になる。
部としては時間をかけてじっくり人材を育成するつもりだが、本人が努力することが大前提だ。
腰掛とか様子見気分で来られると、お互い時間の損だから遠慮願いたい。
モノになるまで時間のかかる仕事なんで、あなたにそれなりの覚悟があるのか聞かせてもらいたい。
だいたいそんな話だったが、言い方はもう少し高圧的だったか。

言いたいことは理解できるが、正社員の雇用面接でもあるまいし、
業務に入る前から派遣の人間にそんな覚悟なんか求めるのはどうだろう。
だいたい即座に、ハイヤラセテクダサイなんて言うのも信用ならなくないか。
いや、それよりも言いたい。
特許申請の文書程度で高度な読解力とはどうだ。
トライアルの文書は程度を下げたものかなんか出してるんだろうけど、
単に主部と述部が入り組んでいただけ。
専門用語は調べれば済むことだし、論理が入り組んで理解に時間がかかるとか
そんな意味の高度さではない。それで高度とは。
求めるなら、高度な読解力ではなく調査能力だろう。

翻訳にとどまるものではなく、原文の理解に加え、文書提出先国の法制度など背景の理解が
必要ということでそう言っていたんだろうけど、「単なる翻訳ではない」という言いかたは
かなり引っかかった。
「たかが技術翻訳」的ニュアンスも臭わせる言い方に聞こえたので、ちょっと堪えた。
どんな職場でも0からスタートでどんどん仕事を覚えるぞというのが信条だし、
残念ながら、いままで完璧な仕事をしてきたと胸を張って言えはしないけど、
これまでの仕事を全否定される覚えは無い。
仮に面接だけでなく中に入ってもその調子の上司なのだとしたら、わたしは長持ちしそうにない。
だから社会人失格なのか。

追い討ちで派遣元から電話が来た。
どうも派遣先が再度こちらのやる気を確認するよう要求したらしい。
そこまで確認するぐらいなら社員雇用したらどうだ。
一応やらせてくれとはいったものの、実際のところ、やる気はあまりしない。
おそらくそうやって揺さぶりをかけているんだろうけど、いや、実に効果的だ。

こうして愚痴を書いているあいだにも内臓が変に動いている感じがする。
これだけ嫌な気分になった面接も実に数年ぶりだったので、実家によって兄をあいてに
ブツブツ愚痴をこぼし、ついつい時間を忘れて昔話をして現実逃避に耽った。
ダメ人間度に二点加算だ。

ひとつだけ、わたしの提出したトライアルを評してテクニカルライティングに
慣れてそうだと言われた点だけは、内心嬉しかった。
しかし、何をどう評価してなんだろう。
技術用語もネットで調べてやっつけで書いただけだし、スタイルはラテン語の言い回しまで
振り回していたビッグワードユーザーだった昔の上司のお粗末なパクりだったろうし。
もちろんトライアルがひどかったら呼ばれもしなかったんだろうが。
都合のいいところだけは良く解釈しておこう。

それにしても、やっぱり断ろうか。
採用となったら、それはそれで喜ぶべきか。
薄紫のスーツの男がわたしを見るときの、石ころでも見るかのような目つきを思い出すと、
仮に採用でも思いとどまってしまう。
そういう所で耐えてこそなのか。
それとも自分の中の譲れない部分を保つべきか。
本当にこれからの何年かを費やすに値する職場なのか。

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