蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

味の曠野にて

2015-07-16 19:44:40 | 日記
 マクベスは魅入られたように釜の中を見ていた。魔女たちは、つぶやいた。
「良いは悪いで、悪いは良い」。
釜の中には様々なものが投入された。猫の足音、女のひげ、岩の根っこ、熊の足の腱、魚の息、鳥の唾液。バジリスク、冬虫夏草、百年に一度しか咲かず、満月の光を浴びて散っていく花。
 マクベスはそれをすべてメモした。
 馬を走らせた彼は、宮殿に帰り、材料をかき集めてそれを再現してみた。
 何とも言いようのない魅惑的な味だ。
 味の曠野、砂漠とまで言われていたイギリスにおいて初めて本格的なラーメンスープが完成した瞬間だった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿