数日前から掲載しているスラウェシ島タナ・トラジャのトンコナン様式の家。屋根は竹を割って小さな板状にしたものを重ねて作る。竹の板で屋根を葺くのは日本の寺院だったか離宮だったかの建築で見たことがある。
屋根の形は、祖先がインドシナ半島から渡ってきたときのボートを模したものだと言い伝えられている。岐阜県の旧美並村粥川の祭りで、小さな舟を川に流すのがあるが、この屋根を見たときその舟に酷似していると思った。帰国して写真を見たら、それほど似てはいなかったが、やはり共通する雰囲気があるから思い出したのだと思う。
壁や床は木造で、見事な彫刻が施され、それによって住む人の豊かさを誇示しているようだ。
高床式で、普通の2階ぐらいの高さが1階になる。床下は、日差しをよけることができるし風通しもよく、日中過ごすには好適である。
しっかりした木組みで床を支えているのが分かる。
窓がとても小さくて、その窓の向こうにミイラが安置されている確率は低くはないだろう。(一昨日の記事参照)
またこの家の中の床の上にちゃんと炉(台所)が設置されている。インドネシアの古くからの家では煮炊きをする台所が家の外または半外にある場合が多いと思うが、そういう意味でユニークである。台所や炉の煙が幸せな家庭の象徴であるという意味のことが強調されて語られるのは、そのユニークさがあればこそかもしれない。
家の周りに何棟か建てられる穀物倉もよく似た形で、彫刻を持つ。床を下から見たところにも見事な彫刻があるのでびっくりする。穀物倉の彫刻は抽象的な模様よりも水牛や豚をもっと具象的に描いたものが多く、また面白い。
写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2009年)
◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村へ