私自身は完全に筆塗りオンリーのモデラー、という表現になるでしょうか。
ここで言うモデラーはすべてのプラモデル製作者を指すので以降よろしくです。
今すでに塗装技術を身につけている方は、どのようにして勉強されたのかはわかりません。私自身、NOMOKEN1古い方は持ってますが、う~ん、あれを見て学んだわけでもないんです。かなり我流。
で、これまでは塗装しなかったり、マーカー等で塗装していた人も、もうすでに筆塗りなんて余裕だ、とか、私はエアブラシ専門だ、という方、うんぬんかんぬん…。
初心者には基本的なことを、上級者はちょっとした復習&気分転換を目標に書きます。
(この記事は2008年4月2日に書いています。今後もちろんメーカーによる終売や変更も無いとは言い切れないので、その時点での参考にどうぞ。)
また、以下扱うのはタミヤ製塗料とGSIクレオス製塗料のみです。いわゆるガンプラ製作の基本となりそうな塗料中心ですのであしからず。他は知らないので(苦笑)
1.水性塗料(アクリル塗料)
ガンプラにしても、タミヤのバイク・カーモデルにしても、推奨しているのはこの水性塗料です。説明書をちゃんと読んでいる人には馴染みのある名前、かな。
とりあえず公式にリンクっと。
タミヤ:アクリル塗料(下の一覧のTools&Paintsのアクリル塗料を参照)
GSIクレオス(MR-HOBBY):水性ホビーカラー
これらの特徴は、なんと言っても「水で薄めることができ、筆も水洗い出来る」ことですね。
ただし注意点。
「乾燥してしまうと水では落ちないので、専用の薄め液が必要になる(かもしれない)」という話です。数度、水性カラーを使ったことはありますが、私はすぐに洗っていたので体験したことはないですが。
逆に、ちゃんとプラモデルにうまく塗装することが出来れば、簡単には塗装が落ちない、という意味にもつながるわけです。
また、プラスチックは水をよくはじきます。つまり、「水で薄めた水性塗料はプラへの食いつきが良くない」という話です。実際には、それほど気になりませんが、ラッカー塗料なんかを使うと差は歴然ですね。
(注:タミヤアクリルはレジンへの食いつきが良いらしい…ので一概には言えないですけど)
仮にプラモデル塗装にこの水性塗料を主に使う、というのであれば、専用薄め液が必要になると思われます。これについては水と薄め液、両方使ってみると違いがわかるかもですね。溶剤自体のにおいはそれほどないです。
水が使えるので便利…な反面、あくまでも”水”を使っていることを覚えておく必要があるのがこの水性塗料、なのではないでしょうか。
最初に必要なもの
「塗料」 「水もしくは専用薄め液」
水なら筆を洗う容器や小バケツなども。溶剤を使うなら小ビンが必要です。
(もちろん以下の塗料にも言える事ですが、「筆、塗料を薄めるための小皿」はいりますよ;;;;;あれば塗料かき混ぜ棒があると便利です)
2.ラッカー塗料
便宜上ラッカー塗料といわれます。こちらも公式にリンクっと。
MR-HOBBY:Mr.カラー
水性塗料との違いは簡単、水に溶けるか溶けないか。この塗料は水には溶けません。専用の溶剤(薄め液)が必要となります。
そのため、塗料と同時に薄め液をそろえる必要があります。この溶剤はすごくにおいがキツイです。一般的に言うシンナーと同じだと思っていただけると良いかと。
そのため使う際には十分な換気が行えるような状況を作りたいですね。
(注:シンナー等、溶剤を吸い込むという状況は、体に決して良い影響を与えません。極端な例になりますが、脳の萎縮や胃けいれんといった症状にも結びつく可能性があります。冗談抜きで。最低限換気をするとか、あまり長い時間続けないとか、結構重要です。)
この塗料の特徴は「乾燥時間が早い」ことと「塗膜が強い」ことですね。
(なぜそうなのか、理由は触れません。そういう性質だと思ってください)
利点は何より、塗装作業がしやすいのと、完成後もガシガシ動かせることでしょうか。逆に言えば、早く乾燥しすぎるので筆ムラが出やすいことですね。
(筆ムラが出やすい=乾燥が早い、ということで、それを遅らせるためのリターダーというものがありますので、そんなに気にしなくてもOK)
後々説明しますが、乾燥時間が早く、塗膜が強いという性質から、一番使われてるなんて言い方をされることが多いですね。なぜ?それは最後の重ね塗りの話題まで待っててください~☆
水性カラーとの違いを含めてまとめると、このラッカー塗料は「溶剤(薄め液)とうまく付き合えるか」だと思います。塗料の薄めから筆洗いまで、何をするにも溶剤が必要です。「付き合う」というのは、そのにおいとも付き合う必要があるからですよ。
最初にいるもの
「塗料」 「専用薄め液」
リターダーは最初はいらないと思います。ちょっと薄め液を多くしても乾燥は遅くなりますからね。塗料の特性がわかりだしたら使ってみるのもいいかも。
3.エナメル塗料
こちらも便宜上エナメル塗料ですが、とりあえずリンク。
タミヤ:エナメル塗料(こちらも下のTools&Paintsより、エナメル塗料を選択)
これもラッカー塗料と同じく、溶剤が必須です。ただし、ラッカー専用溶剤とエナメル専用溶剤では中身の成分が違うので、使い回しは出来ません。
(注:「エナメルにラッカーの溶剤」は出来なくもない)
こちらはラッカーと性質が逆だと思うとわかりやすいです。
「乾燥するまでとにかく遅い」ことと「塗膜が弱い」ことです。
カバーをして乾燥させようものなら、3日経っても乾燥してないなんてことも(汗)また、塗装完成後に動かすのを前提だと、気がついたら塗装ハゲが…なんてこともあったりなかったり…。
ただ、乾燥が遅いので、うまく塗れれば筆でもムラのない塗装面を作ることが出来ます。正直難しいですが…。
気長にやるなら向いてる…かもしれません。それと、金属系塗料の種類が豊富で、しかもその発色は筆塗りでもかなりのモノ。金属カラーの塗装のためだけにエナメルを使う、なんてのも十分アリです。
ただ、「プラスチックを侵す危険性が一番強い」です。素組みのプラモデルにエナメルでスミ入れすると、後で見たらプラスチックが割れてた、なんてことがあります。
エナメルでスミ入れするならラッカー塗料の練習は必須、ですね。もちろん、下地が完璧でも割れるときは割れますが。
最初に必要なもの
「塗料」 「専用薄め液」
ラッカーのリターダーを入れると一生乾かない塗料の出来上がり(笑)なんてバカなことはしないように。
(タミヤエナメル塗料専用溶剤(薄め液)は、ガンダムマーカーのメタリック系の色を溶かすようです。(JIHさん提供情報))
↓
(ガンダムマーカーの成分表示が”アルコール系”となっているものはエナメル溶剤で薄めることが出来ます。マーカーのインクを出して筆塗りするときには便利ですね。ただ、エナメル溶剤で薄められるということは、プラを割る危険性もある、ということは覚えておかなくてはいけませんね。)
4.塗料の相性
では、なぜこんなにも塗料に種類があるのか。
ひとつしかなかったら迷わなくて済むのに!!!←ごもっとも。
少なくとも水性、ラッカー、エナメルの3種類がある以上しょうがないので、うまくその違いを覚えちゃいましょう。
いろんなとこで見る相関表ですね。
×…ダメ。相性最悪。下地の塗料が溶ける可能性大。
△…出来なくは無いけど…あまりオススメしません。
○…大体この組み合わせなら安全、かな。
注意!
○は必ずしも安全とは言い切れません。なぜか。
ガンプラなどではおなじみ、下地をラッカー塗料で塗装し、スミ入れをエナメルで行う、という方法です。ですが、実際にやってみて体験したことのある方もいるかもしれませんが、エナメル溶剤をしみこませたティッシュや綿棒でラッカー塗膜をこするとハゲてくる場合があります(実体験)。
あくまでも基本的に大丈夫、ということであって、完全完璧重ね塗りOK!!ではないので要注意です。
5.だから、どうすればいいのってば!
あ、えっと、怒られても…(汗)
ここまでまとめたのはあくまでも特性とか性質とか、使う上で気になることです。
ここからは一般論?主観論?ちょっと入り混じりますが、つまりどうするかについて。
この先長期的に塗装するつもりであれば、間違いなくラッカー塗料をオススメします。ただし、シンナー系特有の殺人的においがついて回ります。自分はこのにおい大丈夫でも、たとえば家族がムリ、という場合にはあきらめざるを得ません。(私?ウフフ…)
その場合は水性塗料にしましょう。専用溶剤が使えるかどうか、ここも重要にはなりますが(苦笑)
ですが、より高い完成度を求める、という前提で話を進めると、
>まずラッカー塗料を手に入れて、塗装の仕方を自分なりに勉強する
>次にエナメルの特性を理解する
がいいんじゃないかと思いますね。水性は結局あまりオススメできません。
内容的には広く抑えたつもりなので、筆塗りモデラーでもエアブラシモデラーでも参考にしていただけると思うんですが…。
正直特性ばっかりですからね、実際にどう使うかは別問題でしょうし。
簡単にまとめてみましたが…疲れた;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
ここはおかしいとか、ここはこうじゃないとか、ここはこうしたほうが、とか。
ありましたらこの記事のコメント欄にくださいませ。
あくまでも特性なので、塗装の方法等に関してのコメントはナシです。筆とかエアブラシとか。そういえばスプレー缶はカバー出来てない…かも。今後のカバー予定もないですが。
もちろん、私はこの塗料がオススメ!とかなら大いに結構です。
次回は…筆塗りの実際。正直主観的な内容ばっかりかもですが。参考になりそうなことをおさえる予定。筆塗りで研ぎ出しとか、デカールの上からクリアーとか。あとはスミ入れの話とか。
みたいのを予定。明日もPCとにらめっこだ;;;;;;
p.s. 本文文字数カウンターが5669文字って…原稿用紙で14枚?
参考文献ですが、NOMOKEN改訂してない版。
一応書いておくと、2007年2月21日12刷発行を参照してます。
追記
JIHさんのコメント欄情報提供より、エナメルの項目にマーカーのことを入れました。
成程…やはりラッカーですか。
参考になります。
えーと大変かと思いますが、次もお願いします。
まずは長文、ご苦労様です。
ちょっとした参考程度にボクも実体験を。
まあ、適当に読み流してください。
ガンダムマーカーのメタリック系の色はエナメル溶剤に溶けます。
他の色が大丈夫だったため、ゴールドなどのメタリック系を塗ったところにエナメルでスミ入れを行って綿棒で吹いたら塗装まで消えました(泣)
あと、エナメルのスミ入れによるパーツ破損ですが「運」次第だそうですよ。参考文献は忘れてしまいましたが(汗)
対処法としては溶剤がプラを侵す前に乾燥させるそうですが、それが出来ればみんなやってる気も……
あと、間接などの力がかかるところにエナメルのスミ入れをするとより割れやすいみたいです。
ご存知かもしれませんが、参考までに。
長文の本文に呼応するかのようにコメントまでプチ長文(笑)
まぁ基礎的な部分ばっかりですが…多少は参考になればうれしいですね。
>JIHさん
ガンダムマーカーは油性でしょうか?それだと結構重要な部分だと思うので、本文に追加させていただきます。
スミ入れの話はHM付録DVDでもありましたね。組む前にスミ入れして、しっかり乾燥させてから、ですね。この辺りは次回のに含められると良いなぁと思います。