ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

腹痛です・・・

2006-06-16 16:43:46 | グチ
今日は腹痛です。
なぜかはわからんが2時限目の終わりからおかしくなった。
マジで死にかけた。イタイイタイイタイ!
まあ今は収まってるけどね。
あと睡眠不足でちょっと頭も痛いが気にしない。

・・・と前置きはこのくらいにして。
本題に入らせてもらいます。
やっと第五話公開。これで三部作の中間まで書いたわけですが。
まあ考えてみれば二ヶ月程度でここまで書くのってある意味無謀だった。
何しろこっちは素人だから、プロみたいに数日で数話書けるわけじゃないし。
それにしても、結構書き進められたのはおそらく見てくれる人たちのおかげだと思う。
これから15話+αも書かなきゃいけないのですが、応援してください。

実を言うと+αの件についてはもう考え始めてます。
ストーリー的には本編終了後数ヶ月経過の時点から始まる予定。
もうこっちのほうはオリジナルキャラたくさん(?)出すんでよろしく。
その前に本編を書かなあかんわけですが。
まあそっちは大体の筋を決めたので問題ないと思います。
というわけで今後も「akkiyの小説広場」ともどもよろしくということで。

ではでは。


・・・あの、よかったら押してください。
日記@BlogRanking


Red Sparrow(5)

2006-06-16 16:31:05 | 小説
Red Sparrow -AKASUZUME-

第五話 『運命の出会い』

 さまざまな人が行きかう街の中心、そこのあるネットカフェにドネットはいた。
というのも、彼はaaaにある用事を頼まれていたのだ。
「・・・って何で僕が仮想サーバーにアクセスしなきゃいけないんだ」
ブツブツつぶやきながらもサーバーにアクセスし、レモン屋の送ってきた情報を端末に落としていった。
仮想サーバーは簡単に言えば仮想空間上にパソコンを存在させたものだ。実際には形というものはなく、
ネットワークを使用して普通にデータのやり取りをすることができる。しかも、構築には金がかからない。
そのため、表の世界でも裏の世界でも使用されている情報端末だ。
話を戻すと、ドネットは一通り携帯端末に情報を落とし、注文したコーヒーを飲み干した。
続けてモーニングセットをたいらげながら「ニュースウェブ」にアクセスし、事件についての報道内容を確認した。
どこのサイトでも連続殺人の話題で持ちきりになっている。マスコミはいろんな意味で「祭り好き」なので困る。
ニュースを確認している間にウェイトレスが皿を片づけていった。
ドネットはコーヒーをおかわりし、また確認を続けた。
 確認と情報のダウンロードが完全に終わったのは昼前だった。とりあえず紅さんの家に戻るか、
とドネットは考えつつ外に出た。おそらくいつもだろう、乾ききったダークスーツの一団が通りを歩いている。
しばらく歩いていると、前の方にたくさんの野次馬が集まっていた。
その中心に若い女性と、数人のゴロツキ(ドネットから見て弱そうな)が対峙していた。
「すいません、何かあったんですか?」
ドネットはそばにいた男に声をかけた。男は落ち着きのない声で説明した。
「ゴロツキがこの辺りでタムロしてたらあのネーちゃんがぶつかって、それで喧嘩になってるんだ」
その話が終わらないうちに、ゴロツキが女性に怒鳴った。
「人にぶつかっといて、俺に謝らないっていうのか?あん?」
「あなたみたいな人に謝る気はないわ」
女性はまったくうろたえず、冷静な口調でそう言った。当然のごとくゴロツキが切れた。
「んだとコラァ!?」
「やっちまえ!!」
ゴロツキの一人が女性に殴りかかった。しかし彼女はそれを片手で受け止めると、そのバカを路上にねじ伏せた。
「うがああ!?」
腕を締め付けられ、そいつが悲鳴を上げた。そこへ残りが一気に向かってきた。しかも手にはバットが握られている。
さすがにやばい!ドネットは次の瞬間には飛び出していた。一人をその勢いでとび蹴りし、一撃で気絶させた。
そしてもう一人の攻撃をかわしつつ顔面に右ストレートを入れた。わずか数秒でゴロツキ達は完全にのびていた。
「ふう、怪我はないみたいだな」
「・・・」
野次馬たちがいきなり静まり返った。まあ当然だろう。殴りかかったゴロツキを普通に殴り倒したのだから。
ドネットは女性の方を見た。彼女の足元に片腕が完全に脱臼して気絶したゴロツキが転がっていた。
「怪我は・・・まあもちろんないか」
彼はそれを見つつ苦笑した。野次馬が何事もなかったかのように散っていく。
ドネットも行こうとしたが、不意に腕をつかまれて後ろを振り向いた。そこには彼女の無表情な顔があった。

 その頃、俺はというと、第五の現場にいた。今度はマンションの地下駐車場だった。
乾いてまだ少ししか経っていないらしい、おびただしい血の跡が残っていた。
「また現場に証拠はない、と」
「ええ、まだすべてを詳しく調べたわけではありませんが。おそらく同一犯でしょう」
「また特殊な武器での犯行・・・。まったく奴らは何を考えているんだろうな?」
「それは犯人にきく以外わかりませんよ。もっとも、その犯人自体が何者なのかわかっていないんですが」
俺と鑑識隊長が話をしている間にも、鑑識たちは必死に指紋や髪の毛などの証拠を探していた。
「ところで」
と俺は話を変えた。
「これまでに五人も上の人間が殺されて、代わりは誰がやってるんだ?」
「そこまでは情報が入ってきませんね。おそらく彼らの補佐がそのまま代わりにやっているはずです」
「補佐か・・・。これ以上死人が出たらこっちとしても困るぜ」
「まったくその通りですね。上の命令を聞いている側としては、人がコロコロ代わると厄介ですよ」
「確かにな・・・」
俺はそう言いながら昔の事を思い出した。以前軍に在籍していた俺も、そんなことを考えた時期があった。
とそのとき、鑑識の一人が駆け寄ってきた。
「隊長!被害者の拳銃に数初発砲した形跡がありました!」
「うむ、わかった」
「じゃあ俺はまだ調べるところがあるからこの辺でお暇させてもらうぜ」
鑑識隊長とその鑑識は俺に敬礼した。俺も軽く敬礼を返し、現場を後にした。

 話をドネットに戻す。ドネットはなぜかレストランで食事をしていた。
「あのう、本当にいいんですか?」
ドネットはステーキを食べつつ遠慮して言った。彼女はかすかに微笑み、別にいいんです、と答えた。
「助けていただいたんです。そのぐらい当然ですよ」
「はぁ・・・」
いや、本当にいいのか?別に無理しなくてもいいのに。ドネットはそう思いながら食べた。
しばらくお互いに何かを考えながら黙っていた。
「ところで」
とドネットは彼女に話しかけた。
「君もだいぶ強そうだったけど、どこかで武術を習ったとか?」
「ええ、まあそんな感じです」
「ふーん・・・」
だめだ、ぜんぜん話がつながらない。彼がそう思ったとき、彼女が話を始めた。
「数年前に戦争があったことは知ってますよね?」
「ええ、知ってますけど」
「あの時、私は大切な家族を失ったんです。父は戦死して、母と弟は市街戦で死にました」
「そうだったんですか・・・」
ドネットはそれを聞いて、何かやるせない気持ちになった。
「それから私はずっと一人きりで戦っていたんです。戦わなければ生きられなかった・・・。
 でも、あるとき親切な兵隊さんに助けられて、それから大事にされたんです」
「親切な兵隊さんか・・・。たまにいますよね」
「ええ。間は省きますけど・・・、その人のおかげで私はこれまで生きてこれたんです。
 その人には今でも感謝しています」
「その人ってまだ軍にいるの?」
ドネットがきくと、彼女は首を横に振った。
「いえ、今は軍を辞めて会社を経営してるみたいです」

 紅は刀を打っていた。真っ赤に焼けた鉄をハンマーで叩き、形にしていく。
物を造ること。それは無から有を造り出すこと。炎が彼の顔を赤く照らす。
彼は鉄を継ぎ足し、再び打ち出す。やがて刀らしい形が徐々に現れていく。
果たして刀となるか。それとも鉄屑となるか。彼は気を張り詰め、刀を打ち続けた。

 ドネットと女性は食事を終え、レストランから出た。
「じゃあ、僕はこれからやることがあるので」
彼が言うと、彼女は少し残念そうに答えた。
「そうですか・・・」
「あ、そうだ。名前を一応教えとくね。僕はドネットって名前だから」
「ドネット・・・。私はソフィリアって言うの」
「ソフィリアかー・・・、いい名前だね」
ドネットはじゃあまた、と言って彼女と別れた。普通なら会うことはないのに。
しばらく歩きながら、彼はふと思った。あれ、彼女の顔、以前どっかで見たような・・・。
まあ気のせいか。彼はそう思って紅の家へと向かった。
 一方彼女の方は、すぐに仮面の男と落ち合った。
「休暇は楽しんだか?」
「はい」
彼女は静かに答えた。男は彼女に言った。
「奴らを誘い出す。今度こそあの二人と紅の息の根を止める」
「了解」
互いがうなずいた次の瞬間には、その二人の姿はそこになかった。

 ドネットが歩いていると、後ろから声がした。
「おーいドネットー」
彼が振り返ると、そこには俺がいた。俺はすぐにドネットに追いつくと、預けていた携帯端末を返してもらった。
「で、現場の方はどうでした?」
「相変わらず証拠はなしだ。ただし」
「ただし?」
ドネットが聞き返す。俺は被害者が拳銃を発砲したことを伝えた。
「しかも銃弾は現場に残っていなかった。おそらくヤツらに命中している」
「じゃあわずかでもデータ片が残っていれば、犯人が特定できるってわけですね」
「そういうことだ。ただ、あいつらの傷はすぐにふさがる。だから残っているかどうかはわからないが」
とそのとき、俺の携帯端末が着信を告げた。メールだった。文面は、簡潔に要点のみ書かれていた。
「本日22:00、みなとターミナルビルにて待つ。 死の仮面」
まさかこいつらが呼び出してくるとは。俺がそう思っていると、ドネットが端末を覗き込んだ。
彼の顔は当然のごとく真剣な顔に戻った。
「これって僕たちをおびき出すつもりですよね?どうします?」
「勝てる見込みはあると思うか?」
「あると思いますが・・・、多くはないと思います」
誰が考えてもそう思うだろう。だが、俺たちはそんな悠長な事を言っているわけにはいかない。
「いや、俺たちが死ぬか、ヤツらをとっ捕まえるかのどちらかだ。武器を用意しとけ」
さてと。俺は歩きながら考えた。どういう戦法でいこうか。やつらはある意味不死身だが、
修復に時間がかかるようなダメージを負えば、ヤツらの戦闘能力は一時的に下がる。
それを利用できれば、俺たちは確実に勝てるだろう。だが、破壊力重視の武器では奴らの速さに対応できない。
整形火薬弾でも使うか?しかし万が一外せば、被害は甚大なものになる。
仕方ない。対装甲弾を使うか。本来は軽装甲車両を蜂の巣にするときの弾だが、ヤツらにはこれを使うしかないか。
 ドネットはまた別の事で悩んでいるようだが、俺がとやかく言うことではない。
俺たちはそれぞれ悩みを抱えたまま紅の家に向かった。

 次回予告
ついに「死の仮面」との戦闘再開。
そしてついに明かされる仮面の素顔。
俺の刀は何を切り裂く・・・。
次回『仮面の下の姿』
これもまた運命か・・・。

作者の(勝手な)つぶやき
はい、第五話執筆終了しました!次回からは後半です。
というわけで今回は次回予告の文章について。
NCアナザーの時はガンダムを参考に書きましたが、
今回はBROOD+を参考に書いています。
(いくらガンダムの次にBROOD+やってるからってそこまでやるのかとは言うな)
実は本編よりも次回予告の方が文章に悩んでいたりします。
何しろ数百字で次回をまとめるようなものだからね。(あっそ。
まあ、何はともあれ小説というのは書くのが大変なんですよ。ただの次回予告にしても。
その辺りを頭のどっかにおいてくれれば幸いですね。

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Red Sparrow(4)

2006-06-13 22:32:58 | 小説
Red Sparrow -AKASUZUME-

第四話『紅い眼の男』

 俺たちは二刀流の青年、紅の後を追うようにして街の中を歩いていた。
「で、どこへ向かうつもりなんだ?」
「どこかというのは言えないが、すぐに着く。とりあえずは俺の家にいたほうがいい」
彼はそう言ったきり黙って歩き続けた。まあ彼の言う事ももっともだ。
おそらく奴らは最初から見張っていたのだろう。そうだとすれば、あの部屋にいるよりは彼と共にいたほうが安全だ。
俺とドネットは彼に導かれるまま、街の細い裏道に入っていった。といってもそこもきちんと整備されている。
しばらく路地裏を歩き続け、彼は一つの背の低い建物の前で止まった。おそらく彼の家なのだろう。
そのニ階建ての住居の屋根には煙突がそびえている。話によれば、彼は刀匠だから当然なのだろうが。
彼は扉の前まで行くと、一般的なセキュリティロックを解除した。次の瞬間、扉は自動的に左右に開いた。
「こっちだ」
紅はひとことだけ言うと、建物の中へと入っていった。俺たちもそれに続いて中に入った。
建物の内部は、かなり和風な造りになっていた。和室や違い棚、床の間などが備わっている。
そしてその奥には、明らかに作業場と思われる広い部屋があった。その中央に巨大な窯が置かれている。
「ここがあの紅さんの家なのか・・・」
ドネットがしみじみ言った。別に有名人だからってそんな言い方しなくてもいいだろ。
それにしても、さすがは二大刀匠と呼ばれるだけはある。この世界はプログラムで構成されているが、
俺たちはその中でも自由に物を作り出す事ができる。その上資源はある意味無限にあるので、いくらでも作れるのだ。
話を戻すと、紅は刀を囲炉裏の近くに置き、そのそばに座った。俺たちもその近くに座った。
「ききたい事はたくさんあるが、まず最初にこれだけきこう。なんで俺たちが戦っていた事がわかった?」
「俺の勘だ。俺は昔から戦い続けている。だから戦いの気配を読める」
戦いの気配か。そんな不安定なものを察知して俺たちのところに現れたという事か。
「・・・とりあえずはここにいた方がいい。ゆっくりしていけとまではいかないが」
紅はそう言いながら囲炉裏に火をつけた。
「そうさせてもらう。ところで、俺に刀を作ってくれないか?」
俺がそう言うと、紅は別にいいが、と答えた。
「小太刀で、何か攻撃的な細工をしてくれるとありがたい」
「数日あればできる。それまでここにいるつもりか?」
「さあな。俺もこれから先はわからない。奴らの動きも見ないといけないし」
俺はそこまで言って話を止めた。それからしばらく木の燃える音だけがしていた。

 そのころ、軍の方では、ギコルが新しい兵器についての書類に目を通していた。
そのとき机の上の電話が鳴り、彼は受話器をとった。話を聞くと、どうやらあの二人が行方不明らしい。
「ドネット少尉とaaa氏の行方がわからない?・・・なんてこった」
ギコルは受話器を手にため息をついていた。任務早々いなくなったとはおそらく何かあったに違いない。
「まああの二人がそう簡単に死ぬ事はないだろうが、一応捜索だけはしておけ」
「了解。ところで」
受話器の向こうの相手は、そう言って話を切り替えた。
「最近BAI社の行動に不明瞭な点があるそうですが、そちらはどうしましょう」
「俺に聞くな。そういう事は諜報部に言ってくれ。俺は技術開発部なんだ」
「・・・了解。通信切断」
通話を終えた彼は、机の上の飲みかけのコーヒーを飲み干し、再び資料に目を通し始めた。
果たしてあいつらは無事なのだろうか。気になりつつも、日々のノルマは達成しなければならない。
まったく。軍人ってのは結構忙しいぜ。まったくもって暇人なaaaがうらやましい。

 数時間の後。俺は少しばかり仮眠をとることにした。いつでも応戦できるように拳銃を手元に置き、壁にもたれかかった。
眼をつぶり今日一日の出来事を反芻した。その中でも引っかかるのはあの仮面の殺し屋だった。
あいつらのことは決して好きにはなれないだろう。敵なのだから当然とも言えるのだが、今までの敵とは違った。
銃弾を食らってもびくともしない連中だ。おそらく奴ら自身も特殊な能力があるのだろう。
これからどうするか・・・。俺はその事を考えると居眠りなんてしてる場合じゃないと思ったが、
俺も長旅でかなり疲れていたので、そのうち深い眠りに落ちていった。
 ・・・夢の中で、俺は泉の傍に佇んでいた。どこの泉かはわからない。俺の記憶が勝手に作り上げたものだろうか。
俺のいる位置からちょうど反対に、誰かがいた。そいつは俺とまったく同じ声と口調で俺に話しかけた。
「よう。また迷ってるみたいだな」
「・・・迷ってなんかいない。お前は何者だ?」
ヤツは軽く笑いながら答えた。
「お前自身もうわかってんだろ。それより最近油断してるだろ?」
「油断なんかしてないさ。いつ攻撃を仕掛けられても」
そこで俺はしゃべるのをやめた。ヤツがいきなり斬りかかってきたからだ。
俺はいつの間にか手にしていた刀でそれを受ける。鍔迫り合いの状態でヤツは話し続けた。
「一瞬動きが鈍ったぞ。昔のお前はもっと速かったはずだ」
「お前なんかに何がわかる?」
「わかるさ。俺はおまえ自身で、お前は俺自身だからな。お前は以前より人を信じすぎてるぜ」
「それがどうした」
「仲間がいつでも信頼できるとは限らない。今は仲間でも次の瞬間には敵ってのもあるんだぜ。
 それがどんな理由だろうと、裏切りに違いはない。絶対気を抜くな。抜いた瞬間がお前の死ぬときだ」
ヤツはそう言うと鍔迫り合いをやめ、剣を消した。いつの間にか俺の持っていた刀も消えていた。
「頼むぜ。お前が死んだら俺も消えるんだ」
「わかってる」
そのとき俺はヤツの顔をしっかりと見た。それは俺自身だった。
「・・・それにしても俺が簡単に出現できる状態じゃ、緩みっぱなしだぜ。気ぃ引き締めろよ・・・」
その声が消えたときには、ヤツの姿は既になかった。またか・・・。
そのうち俺の意識は暗闇の中に落ちていった。

 俺が眠っていた頃、二人の刺客は街の中心部に位置する時計台の上にいた。
「なかなか厄介な事になってきたようだ。腕を切り落とされるなどここ数年はなかったが・・・」
「しかし我々はどのような傷であれ、すぐに癒えます」
「それはそうだ。だが神経組織はすぐに治るわけではない。まだ、再びまともに戦える程までは癒えていないのだ」
「・・・」
もう一人が口をつぐんだ。しばらく静寂が流れた。腕を切られたほうの刺客はもう一人に写真を手渡した。
「『あの方』よりこの人物を抹殺せよとの命令が出ている。お前一人で遂行しろ」
「了解」
そう言った次の瞬間には、刺客の姿はなかった。腕を切られたほうの刺客は再生したその腕を見つめた。
「腕を切り落とした奴め。必ずこの俺が殺してやる・・・」
そして拳を硬く握り締めた。

 ・・・。俺が眼を覚ますと、もう夜が明けていた。仮眠のつもりがぐっすり寝てしまったようだ。
「ちょっと寝すぎたか・・・」
そのとき、ドネットが扉を開けて入ってきた。どうやらどこかへ出かけていたらしい。
「おはようございます。aaaさん気持ちよく寝てましたね」
「ほっとけ。で、どこをほっつき歩いてたんだ?」
「別に遊んでたわけじゃないですよ。軍から僕の武器が届いたんで、受け取りに行ってたんです」
彼はそう言って武器を見せた。それは片刃剣にリボルバーを組み合わせたような武器だった。
「・・・これがお前の武器か」
「ええ。『ガンブレード』って言って、最近技術開発部が作ったんですよ」
へぇ。でもそれじゃあどっかのゲームの登場人物みたいだな。まったく最近の技術開発部は何考えてんだか。
俺はそんな事を考えながらその異様な剣を眺めた。
 そのとき、紅が部屋に入ってきた。どうやら顔を洗ってきたらしい。
「・・・ほう、変わった剣だな」
彼はそう言いながら剣を手に取った。その片目には眼帯をつけていなかった。
そのいつも眼帯をつけている方は、普通に目を閉じていた。
「紅さん、その片目どうしてつぶってるんですか?」
ドネットが不思議そうにきくと、紅は剣を彼に返しつつ答えた。
「昔いろいろとあってな。今じゃこの目は開かないんだ」
「ふーん・・・」
ドネットは少しがっかりしたように言った。赤い眼でもあると思ったのだろうか。
「ところでaaa。お前たちの追っている敵についてだが」
と彼は突然話を変えた。昨日の続きか。
「何か知ってるのか?」
「2,3の事柄だけだが。一つ目に、奴らは『死の仮面』と名乗っている。そしてはっきり言うが、奴らは特殊だ」
「特殊?それについて詳しく教えてくれないか?」
「奴らには自動的にキズを修復するプログラムが組み込まれているらしい」
キズを修復だと。なるほど、それなら昨日の疑問も解決する。あいつらは撃たれた次の瞬間には傷が治っていたのだ。
そうだとすると、昨日の切り落とされた腕も既に回復しているだろう。なかなか厄介な敵だ。
「他の事は俺にもわからない。だが何か巨大な存在が背後にいる気がする」
「巨大な存在か・・・」
果たしてそんな奴がどこにいるのだろうか。軍の高官を殺して利益を得るような人間なんているのか?
そう思ったとき、俺の携帯端末~着メロが流れてきた。曲は「Southern Cross」だ。
「なんだ?・・・なに!?また軍の高官が殺されただと!?」
俺は思わず叫んでいた。これで五人の軍人が謎の殺人鬼に殺されたというわけか。
チクショウ。一体何のためにそこまでするんだ・・・。
「これで五人目ですね・・・」
ドネットは静かに言うと、軽く目を閉じ、その軍人の冥福を祈った。
「・・・とにかく俺は現場に行ってくる」
「僕も行きます!」
ドネットはそう言って立ち上がろうとしたが、俺はそれを制した。
「いや、俺一人だけでいい。それよりお前にはやって欲しい事がある」

 次回予告
aaaさんに頼まれて行った先で、僕は彼女に会った。
それはまるで、翼を傷めた小鳥のような人だった・・・。
次回『運命の出会い』
あれ、この人にどこかで会ったような・・・?

 作者のつぶやき
第四話書き終わりました。もうすぐ折り返しですね。
今後はドネット×aaaの最強(?)タッグ対『死の仮面』が中心に。
そしてこれから加速する展開、そして明かされる紅の秘密。
後半にも乞うご期待!(ソンナコトイッテイイノカ?

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日記@BlogRanking




誕生日過ぎました。akkiyです。

2006-06-13 16:53:46 | 日記
いつの間にか俺の誕生日過ぎちゃってたんですね。
まあ一応チャットでは騒いだが。
それにしてもチャットって面白いな。
何しろ別の地方にいる人と普通にしゃべってるんだから。
さすがマルチメディア社会!
でも皆さん荒らし行為はやめておきましょう。
さすがに不愉快だし叩かれるし最近は無視されるから。
別に俺は荒らしてるわけじゃないからなっ。

と、前置きがテラナガス。
言いたいことはこれだけだったりする。
「みんな!俺のHPでイラスト大会やってるよ!」
何じゃそりゃと思った人はブックマークの「akkiyの小説広場」をクリック。
そこから俺のHPに行けます。

ではでは。


「つれづれ日記」って結構多いな・・・

2006-06-11 14:41:49 | 日記
はい、最近小説を書いているakkiyです。
ひとこと言っていいですか?



「つれづれ」のつくブログって多いんやな。



って俺のも「つれづれ日記」なんだけど。
なんでそんな事を突然言い出したのかというと。
検索したんですよ、試しに。ググったんですよ。
そしたらね、なんか「つれづれ」のつくサイトがドヴァッてね。
出てきたわけよ。いやー参った参った。
俺のが出てこーへんやん(怒)。
なるほど。そういうことだったのか。(ナニガ

そんな訳でそういうくだらない事をしてみたりするわけです。
akkiyのくだらない遊びです、正直言って。

まったく、課題がややこしい。フローチャート書けだと?
どう書けって言うんじゃい。ペイントでか?
まあいいや。さっさと仕上げて送信しちまおう。
じゃあまた。

ではでは。


Red Sparrow(3)

2006-06-11 14:19:49 | 小説
  Red Sparrow -Akasuzume-

 第三話『刺客と剣豪』

 第三の現場に到着したのは、昼を少し過ぎた頃だった。俺たちはファーストフードで軽く食事を済ませた。
はっきり言うが、都会の飯というのは大概不味い。俺はあの街の食事の方が美味しかったと考えながら食った。
一方、ドネットの方はこの飯の方がましだというような顔でサンドイッチをほおばっていた。
当然だろう。俺も軍にいたときは軍の食事がうまいとはまったく思えなかった。もちろん今もだが。
何であるにしろ、とりあえず腹ごしらえを済ませた俺たちは現場に入った。今度は立体駐車場だ。
「ご苦労様です」
鑑識は俺たちに気づくとそう言いながら近寄ってきた。説明を聞くが、結局第一の現場と同じような状況だった。
「本当に不思議な事件ですよ・・・いや、失礼」
「まったくだ。何かわかったらこいつ(ドネット)に連絡してくれ」
「・・・ってなんで僕なんですか!?別にaaaさんが連絡受ければいいじゃないですか」
「別にいいだろ。それに俺は『一応』退役してるから、いろいろと問題があるわけだ」
それは事実だ。現に軍の名簿から俺の名前は消えている。その理由はまた別の機会に話す。
話を戻すと、俺は現場に残った血の跡(データの欠片)を観察した。血は被害者の倒れていた場所を中心にして、
1メートル四方にまで広がっていた。おそらく心臓でも貫かれたか。
「それにしても」
とドネットはつぶやく。
「先ほどの怪しい人物もこの事件と何か関係があるんでしょうか・・・?」
「たぶんな。もしかするとそいつが殺したっていう落ちかもな」
とりあえずはこの現場も調べきった。残るはあと三つの現場だ。といっても、あまり期待はできそうにない。
「じゃあ何かあったら連絡してくれ」
「了解。大尉殿と少尉殿も気をつけてください」
俺たちは現場の立体駐車場を後にした。
 外に出てすぐ、俺は携帯端末を取り出した。そしてあの情報屋に電話をかける。
「もしもし、aaaだ」
すぐに情報屋、レモンが電話に出た。
『ああ、お前か。そっちの事件はどんな感じだ?』
なんだ、やっぱりこいつもうこの話を仕入れたのか。そう考えながら、俺はそのまま話を続けた。
「もう知ってるのなら話は早い。被害者が発見されたときの状況についての詳しい情報はあるか?」
『ちょっと待て、・・・あったぞ。で、どの情報が欲しいんだ?』
「被害者の倒れていた位置とその倒れ方、方角、詳しい外傷とかが詳しく知りたい。いくらだ?」
俺とレモンのやり取りを、ドネットは別に気にすることなく周りを警戒していた。
『そうだな・・・現場は四ヶ所だから一ヵ所につき5000、合計25000でどうだ?』
「よし、それで手を打とう。金は後で振り込んでおく。とりあえず俺の仮想サーバに落としといてくれ」
「わかった。あとこれは噂だが、そこら辺には殺し屋がいるらしいぞ。お前も気をつけろよ」
殺し屋か・・・。もしかすると、ヤツがその人物なのかもしれない。俺はそう思いながら通話を切った。
「用事は済みましたか?」
ドネットはそう言いながらも、ずっと辺りを警戒している。
「ああ、もしかするとこれで何かがわかるかも・・・」
そこまで言いかけて、俺はまた背後に殺気を感じた。今度はなにやら武器を持っているようだ。
「関わるのはやめろといったはずだ。聞いてなかったのか?」
おそらく今の状態では、確実に俺はやられるだろう。ドネットの背後にも誰かがいるようだ。
「もう一人増えたんだな。お前の弟子か?」
「話をそらすな。忠告を聞いていればよかったものを」
「やめとけ、ここじゃほかの奴らの迷惑になるぜ。カタギの連中を困らせるわけにはいかないだろ?」
そのとき、俺の背中に鋭く冷たいものが向けられた。さすがに言い過ぎだったかな?
「ふざけるのもいい加減にしたらどうだ?」
声の主はそう言った。俺はドネットの方をチラッと見る。ドネットはこっちに向かってウインクした。
「ああ、そうするよ。この悪ふざけでなっ!」
俺とドネットは同時に言いながら足を払った。後ろの刺客はバランスを崩したようだ。その隙に俺たちは逃げた。
「ドネット!人気のない所へ逃げるぞ!」
「は、はい!」
 背後では刺客二人が立ち上がって、俺たちの方を睨みつけていた。
「逃げられると思っているらしいな。いくぞ」
もう一人はコクリと頷いた。そして次の瞬間には、2人の刺客は姿を消していた。
 そしてざわめく群衆の中に一人、眼帯の青年が何かを考えるように見つめていたが、すぐにいなくなった。

 どこの街でもそうであるように、地下の世界というものは存在する。俺たちは地下の非常用貯蓄倉にいた。
「・・・うまく撒いたか・・・?」
「そうみたいですね・・・」
俺たちは呼吸を落ち着かせながら周りを見回した。そのとき、遠くの暗がりから二つの影が現れた。
「・・・撒けなかったようだな・・・」
俺はそうつぶやきながら、拳銃に手をかけた。二人の刺客が近づいてくる。その顔は不気味なマスクで隠されていた。
そして一人の手には細身の剣、もう一人の手には戦斧が握られていた。
「どこへ逃げようと逃れることはできない。忠告を聞かなかったことを後悔するんだな」
戦斧を持っている刺客-俺たちに忠告(脅し)をしてきた奴-がそう言った。
「後悔?そんなものあるわけないだろ。お前らのほうが後悔するぜ」
俺は奴にそう言い返すと、銃を抜いた。
「戯けた事を。やれ」
奴がそう言った次の瞬間、もう一人が俺に突きを見舞った。俺は危ないところで攻撃をかわし、発砲した。
パン。乾いた発砲音が響き渡った。しかし、標的には当たらなかったようだ。
刺客は再び剣を構えると、俺に向かって突撃した。俺はぎりぎりのところで攻撃をかわし、受け止めた。
やはりなかなかのやり手か。俺はそう思いながら攻撃を受け止めた。
 ドネットの方も、あの男と一戦交えていた。どうやらドネットは軽量型の自動小銃を携帯していたらしい。
連続した発砲音が響く。そして斧の空振る音もそれに混じっている。さすが特務隊という感じか。
「何でそんなに早く攻撃できるのか不思議ですね」
ドネットはそう言いながら、自動小銃を一連射した。そのうちの数発が刺客に命中した。
だが、相手は防弾チョッキでも着ているのか、まったく効いた様子はない。再び戦斧を構えた。
ドネットは再び発砲するが、ついに弾切れになった。そして襲い掛かる斧。
「うわっ!」
ドネットが叫んだとき、斧が下ろされた。しかし、それはドネットに当たってはいなかった。
「・・・なかなか楽しそうじゃないか」
青年らしきその声は、青い刀身の刀で斧を受け止めていた。
「貴様っ、何者だ!?」
刺客は驚いた口調でそう言った。青年は何も答えず、斧を押しやる。
「何者かはわからないが、邪魔をするのなら殺すのみだ」
刺客はそう言って再び戦斧を振り上げた。その青年ももう一振りの刀を抜いた。
その刀身は氷のような青い剣とは対照的に、燃えるような紅い刀身だった。
「二刀流か。あまり攻撃力に違いはないが」
そして次の瞬間には、双方の刃がぶつかり合っていた。激しく散る火花。
だが、俺はそれを見る暇もなく、もう一人と戦っていた。そいつは素早く突きを繰り出す。
俺は攻撃をかわしつつ相手を撃つが、効果はないらしい。じゃああの弾使ってみるか。
俺は拳銃の弾倉を抜くと、別の物と交換した。そして再び発砲した。
そして撃つと同時に俺は距離を置いた。銃弾が刺客の腹部に直撃した。そして閃光が走り、爆発が起こる。
俺が装填したのは炸裂弾だ。しかも特注品で、従来の物とは威力が桁違いに高い。
刺客の攻撃がやんだ。さすがに腹部が破裂したのだから、無事ではないだろう。
「やったか・・・?」
そう思ったのもつかの間、再び斬撃が襲い掛かってきた。それでも効いていないらしい。
「くっ」
そう思ったとき、攻撃がやんだ。見れば、刺客の片腕が吹っ飛んでいた。
「退くぞ」
青年と切り結んでいた刺客がそう言うと、もう一人は黙って頷き、剣を納めた。
「今日のところはこれで退く。だが、次に会った時は必ず殺す!その男もだ!」
「逃げる気か!」
俺が叫んだときには、二人の姿はすでになかった。残っていた腕も、すぐに崩壊を起こして消滅した。
「・・・逃げられたか」
青年はそう言って刃についた血を振り払うと、鞘に納めた。
「ええ。それにしても助けていただいてありがとうございました」
ドネットが奴に言うと、奴は無表情で
「別に助けるつもりはなかった。そこにお前がいただけだ」
といって立ち去ろうとした。そのとき、俺はそいつの正体を思い出した。
「ちょっと待てよ。お前どっかで見た顔だな」
「以前にあった憶えはない」
「そうじゃなくて、お前の名前、『紅』って言うんだろ」
その瞬間、奴は刀に手をかけた。どうやら敵と思ったらしい。
「別に戦おう等とは思ってない。何でお前みたいな奴がここをうろついてるのか気になっただけだ」
俺が付け足すと、紅は刀にかけていた手を戻した。
「どうであるにしろ、ここに長居は無用だ。ついてこい」
紅がそう言って歩き始めたので、俺たちはその後をついていった。

 そのころ、BAI者の会議室では、蒼と役員四名が集まっていた。
「我々の計画についての会議を行う。まず、手元の資料を見てくれ」
役員は資料に一通り目を通す。その表情には驚きと興奮が入り混じっている。
「どうだね、すばらしいとは思わないか?この計画によって新時代が切り開けるのだよ」
「俺もそう思うぜ。で、実行はいつだ?」
フサギコ系のAAがまるで親友に言うかのような口調で答えた。
「必要な設備が完成次第、計画に取り掛かる」
「ところでCEO。近頃軍が我々に疑いを持っているそうだが?」
無表情のフサギコが蒼に問いかける。彼は軽く頷きながら答えた。
「それはまた事実だ。しかし、軍にはこの計画がわからないよう工作はしてある。
 少なくとも計画実行までは情報が漏れないようにはするつもりだ」
「どうであろうと努力する、か」
「そういうことだ。では、計画については社外に漏洩させないよう。失敗は許されない」
「了解」
蒼は彼らを見ながら笑みを浮かべた。

 次回予告
まさかこんなところで伝説の剣豪と会うなんて。
話には聞いていたけどすごい人だ。
そして謎が解け始める。
次回『紅い眼の男』
紅さんってそんな秘密が・・・

・・・あの、よかったら押してください。
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テスト終了して最初の週末に小説を書く・・・

2006-06-10 13:32:48 | 日記
テスト終了しました(木曜日に
できは・・・まあまあでしたが。
これでやっと小説に専念できる・・・。

昨日までの連載状況

一昨日、第一話を連載。
昨日、第二話を連載。
そして今日は、もしかすると第三話を出せるかもしれません。
なおBGMには自分の好きな曲をお選びください。(スピードのあるやつとかがいいかも
ちなみに作者はsilviaの曲(Road to youなんか)を聞きながら執筆してます。
個人的な趣味なので、勧める訳ではないのですが参考までに・・・。

じゃあ今日はこの辺で。また小説でお会いしましょう。

ではでは。

Red Sparrow(2)

2006-06-09 21:03:23 | 小説
  Red Sparrow -Akasuzume-

 第二話『死の仮面』

 ギコルが立ち去っってから少しの時間が経った。
「じゃあ、早速現場でも見に行くか?」
「了解であります!」
だからそれはやめろって言ってんだろ。だが実際にはそんなことは言わずに、
「その口調はやめとけ。軍人だってばれるぞ」
と一言だけ言い、そして
「服も私服に着替えろ。軍服じゃばればれだ」
とも言っておいた。もちろんドネットは出発する前までには私服に着替えた。
 部屋を出ると、そのすぐ目の前にエレベーターがあった。どうやらこの階のほとんどが個人のものらしい。
さすがギコルだ。こんなところは金持ちか上級士官しか買えない。
俺はドネットとともにエレベーターに乗り込んだ。すぐにエレベーターは1階に着いた。
俺がエレベーターを降りたそのとき。俺は誰かに見られている気がして振り返った。
もちろん後ろにはドネットがいる。だがこいつの視線ではなかった。もっと別の、戦い慣れた者の視線。
「どうかしました?」
ドネットは何も気づいていないようだ。不思議そうな顔で俺に聞いてきた。
「いや、なんでもない。誰かがこっちを見張ってる気がしたんだが」
「たぶん気のせいでしょう。自分、じゃなくて僕たちみたいな人間は狙っても意味ないですし」
そのとおりだ。事実殺されているのは少将以上の軍の高官。俺は退役してるし、ドネットは地位が低い。
まず狙う奴はいないだろう。というよりはそう思いたい。
俺たちはそのままエントランスを抜け、俺のボロ車に乗り込んだ。
「まずは第一の事件が起こった場所に行ってみるか」

 第一の事件現場。それは地下鉄の駅の構内だった。軍の資料によればここで軍の少将が殺されたらしい。
少将が倒れていたらしい場所に、まだ彼の血糊が残っていた。犯人の証拠品はなし。
「資料によれば、少将は背後から刺されて即死だったようですね。
 背中から胸部にかけて、貫通した切り傷が残っていたそうです」
ドネットはギコルからもらった調査資料を見ながら言った。貫通するほどの攻撃を正確にできる奴はそういないだろう。
ということは、犯人は軍人だったのかもしれない。少なくとも一般人ではないだろう。
「証拠が何も残ってないってのも変な話だな」
「そうなんですよね。普通なら1つぐらい何か残ってそうなのに・・・」
ドネットとそう話しながら現場を歩いていると、鑑識らしい軍人が近寄ってきた。
「なんだお前たちは?ここは一般人の来るところじゃないぞゴルア!」
どうやらこの鑑識は俺たちを一般人だと思ったらしい。まあこの服装では仕方がないだろう。
そのとき、ドネットがポケットから軍人証明書を取り出して掲示した。
「その手帳は!少尉とはつゆ知らず失礼しました!」
鑑識はあわててドネットに対して敬礼した。俺も見せてやりたいところだが、それはやめておいた。
「で、やっぱり犯人を示す証拠は見つかってないのか?」
「はい、今のところはですが。それどころか他の4箇所でも証拠が残っていないんです」
なるほど。コレは結構骨の折れる仕事のようだ・・・。俺がそんな事を考えているうちに鑑識の話が終わった。
「あまりたいした収穫はなかったですね」
ドネットはそう言ってこっちに戻ってきた。もうここで調べる事はなさそうだ。
俺たちはあちらこちらで鑑識が調べている駅の構内を抜け出し、外に出た。
 地下鉄の外は、ダークスーツを着込んだAAたちでごった返していた。ちょうど昼前だから、昼食にでも行くのだろう。
俺たちはその流れにのって歩き始めた。ここからは車で移動するよりも歩きの方が速い。
ビルにかかった大型のモニターでは、事件についての報道特集番組をやっている。
といっても、俺たちの持っている資料と同じ事を言っているだけだったが。
「次はどの現場に行きます?たぶんどこへ行っても同じでしょうけど」
「一応行って調べてみないとわからないこともある。ここからなら第三の事件現場が一番近いから、そこに行こう」
俺がそう言ったとき、背後に誰かの気配を感じた。少なくとも一般人ではなさそうだ。
「我々を探しているようだな」
背後のヤツはそう言った。声からすると、男か。
「お前たちに忠告しておこう。これ以上の詮索はやめておけ」
「もしやめなかったら?」
俺は背後の男に向かって言い返した。背後からはずっと静かな殺気が感じられる。
「やめない場合は、お前たちの同志のようになる、とだけ言っておこう。
 たとえお前たちが強いとしても、我々には手出ししないほうが身のためだろう」
「その好意だけは受け取っておくよ」
俺がそう言うと、背後の男は一言、
「やめなければ後悔するぞ」
と言った。そして俺がすぐさま振り返ったが、そこにはダークスーツの集団しかいなかった。
「さっきの、いったい何者でしょうか?」
ドネットは少し不安そうに言う。俺もさっきのヤツがちょっと気になった。
「さあな。少なくとも味方ではなさそうだがな」
俺たちはヤツの警告を無視し、次の現場へと向かう事にした。

 現実でも、ネットでも、軍需企業というのは必ず存在する。軍需企業の代表格のひとつに、
「ブルー・アーマーメント・インダストリアル(BAI)」社がある。
軍の武器のほとんどがBAI社製であり、軍は毎年数千億もの金をこの会社の商品につぎ込んでいる。
そしてこの会社の最高経営責任者(CEO)が蒼氏だ。このCEOの下に「四賢人」と呼ばれる役員がいる。
会社の経営は、この「四賢人」と蒼氏たちで行われているという。
 俺たちが第一の現場にいたとき、蒼氏はちょうど自室で書類に目を通していた。
そのとき、電話が鳴った。蒼氏は受話器を取って話を始めた。
「ああ、お前か。奴らの動きは?」
「特務隊の隊員が一人と、一般人が一人動き出した」
「そうか。ではその二人に忠告しろ。『これ以上の捜査をやめろ、さもなくば殺す』と」
「了解。もし忠告をきかない場合はどうする?」
「かまわず殺せ。この計画が軍にばれたらおしまいだ」
「了解。通信を切る」
そして電話は切れた。蒼氏は口元に笑みを浮かべてつぶやいた。
「もうすぐ計画が実行される。そうすれば今の腐った社会は一掃され、新しい秩序ができる・・・」
蒼氏は椅子に座り直し、再び机に向かった。しかしその顔は静かな興奮で満ち溢れていた。

 街の中を、一人の青年が歩いていた。その左目には眼帯を着けている。
しかしそれは決して眼が悪いわけではない。他人にはわからない、別の理由がある。
そして腰のベルトには、二振りの刀が差してあった。片方は赤い鞘に、もう一つは青い鞘に収まっている。
「血の匂いがするな・・・」
彼はそうつぶやいた。人々がすれ違うたびに彼の方を一瞬振り返る。それにはまったく気にせず、彼は歩き続ける。
灰色の髪と暗いグレーの耳が風で少し揺れる。彼は戦いを求める者。そして負ける事は決してない。
「今度の敵は果たして強いだろうか・・・」
彼はそう言いながら雑踏の中に消えていった。果たして彼はどこへと向かうのだろうか・・・。

 そして、街のあるビルの上に二つの影があった。黒衣を着たその影は、手に細身の剣を握っている。
「・・・上からの命令だ。我々を調べる者を殺す」
一人が言うと、もう一人は何も言わずに軽くうなずいた。
「敵は軍の特務隊の一人と、民間人の一人。確実に仕留めるぞ」
「了解」
そのどちらの顔にも、白と黒で彩色された仮面が着けられている。それはあまりにも不気味な仮面だった。
「では、我らが敵に死を」
「我らが敵に死を」
二人の影はお互いに合言葉を言うと、そこからいなくなった。
そして静寂が訪れる。まるで「嵐の前の静けさ」のような静寂が。

  次回予告
ついに奴らが襲ってきやがった。
でもそのとき謎の青年が乱入。
一体何がどうなってんだ?
次回『刺客と剣豪』
なんかやばい事になってきたな・・・。

  作者のひとりごと

ふう。オリジナルって結構大変だ。何しろ参考にするものがないから、
自分の想像力に任せるしかないのだ。
とか何とか言いつつ第四話を書いている俺・・・。

(この作者は結局モノローグの多い人間なんです)

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連載開始!

2006-06-08 11:38:29 | 日記
はい、小説連載開始ー!
皆さんお待たせしました、ついに最新作連載開始です!
(,,゜д゜)ノ・:*;・*ハイスゴイスゴイ
今後はおそらく週末に更新になるんじゃないでしょうか・・・。
学校が忙しいので。
でもちょっとずつ書き溜めていってますんで。
これからもよろしくということで。
じゃあこの辺で切り上げます。

ではでは。

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・:*;・*(゜д゜,,)ハイスゴイスゴイ

Red Sparrow(1)

2006-06-08 11:24:46 | 小説
Red Sparrow -AKASUZUME-

  第一話『事のはじまり』

 俺の名はaaaだ。俺は、ネット空間上に存在する街「Nightmare City」に住んでいる。
あの街では過去にある騒動があったが、現在はいつも通りの静かな街に戻ってきた。
今のところ、表向きは職に就いていない。あの一件で勤め先がなくなったので仕方ないのだが。
まあ本来の職があるので金には困っていない。その報酬が結構な額だからな。
で、裏ではまあいろいろとあるわけだ。昔の付き合いがかかわってるんだが、ここでは言わない。
なぜなら、俺の話を聞いていればそのうちわかるからだ。じゃあ、話を始めるとするか。

 それは、あの事件が解決したすぐ後だった・・・

 街全体を揺るがしたあの事件から数日後、俺は再び旅に出る支度をしていた。
昔の知り合いからある仕事を頼まれたので、別の街に行かなくてはならなくなったからだ。
とりあえず数日分の日用品(その後はあっちで手に入れる)と食料、そして護身用の武器。
武器はあっちでも十分手に入るので、昔使っていた拳銃を整備してケースに詰め込む。
そしてまとまった額の金と携帯端末をアタッシュケースに入れたところで玄関のチャイムが鳴った。
玄関のドアを開けると、そこにはtカラがいた。
「よお。・・・その荷物は?」
tカラはアタッシュケースの存在に気づいて俺にきいた。
「ああ、これか?ちょっと昔の友人とこに行くから準備してたんだ」
「昔の友人か・・・」
tカラはそう言って何かを考え始めた。俺はtカラを中に招き入れ、お茶を煎れた。
「そういえばお前の友人ってどんなヤツなんだ?まったく話を聞いたことがなかったな」
「ごくごく普通の奴さ。大手の商社に勤めてる平社員だ」
もちろんそれはまったくのうそ。友人はそんなところに勤めていない。
「ふーん・・・。で、いきなり友人の家に行くってのはまたどうしてだ?」
「ちょっとこっちに来いって話があったからさ。数週間はあっちにいる予定だ」
「そうか。俺たちとしては街の修復を手伝って欲しかったんだがな」
街は数日前の騒動で至る所に傷跡が残ったままになっていた。tカラたちはその修復を進めていた。
俺としては街の修復も気にかかっていたが、実際それだけを考えていればいいわけではないのだ。
その後しばらく彼と雑談を楽しんだ後、俺は出かけることにした。

 俺はアタッシュケースを持って、家の裏にある倉庫に向かった。そこには俺の自家用車がある。
自家用車(オンボロの)に乗って、修復作業の進む街の中心部を通り、境界線を通り過ぎた。
車の外は真っ暗なトンネルだ。こんなところでエンストを起こしたら精神的にもたないだろう。
しばらく暗闇の中を走っていたが、いつの間にかまた別の街の道路に出ていた。
ミニチュアにしたら近代美術的なオブジェになりそうなくらい美しいビルディングが建ち並び、
その隙間を縫うようにして、いくつもの幹線道路とモノレールのレールが伸びている。
その景色はまるで映画のワンシーンのようでもあった。だが見とれることもなく俺はそのまま車を走らせた。
そして目的地の近くで幹線道路を降り、パーキングに滑り込んだ。周りには擬人化したAAばかりが歩いていた。
もちろん俺自身も街に入ったときに擬人化状態になっていた。何しろこの街は擬人化の街なのだ。
 車を降り、目の前のばかでかいビルディングに入る。フロントには定番の受付嬢が待っていた。
「ギコル氏と会う約束をしているaaaですが」
と俺はその受付嬢に言った。おそらくしぃ系のAAだろう。ピンクがかった耳が髪の間から出ている。
「少々お待ちください・・・、場所は57階ですね」
「ありがとう」
俺はエレベーターに向かった。扉が開くと、たくさんのAAたちが降りていく。お仕事ごくろーさん。
俺は偶然だが、がら空きの状態で乗ることができた。わずか数十秒で目的階までたどり着いた。
「久しぶりだなaaa。君の顔を見るのは半年振りだな」
「久しぶりだギコル大尉、いや、今はギコル少佐だったな。軍のほうはどんな感じだ?」
ギコル少佐。この世界のサイバーテロを防止する軍事組織「仮想空間治安維持軍(VPMF)」に所属する
人物であり、俺の古くからの友人だ。彼は右手を差し出して笑みを浮かべた。それは表面だけだったが。
俺も手を差し出し、手を握る。そして次の瞬間、俺とギコルはほぼ同時に銃を相手に向けていた。
「さすがは元軍人だな。抜き撃ちの速さは衰えてないようだ」
「そりゃどうも」
俺たちは笑いながら銃を収めた。タイミングを見計らったように秘書風のAAが入ってくる。
そいつは俺とギコルの前にコーヒーカップを置くと、そのまま立ち去った。
「で、単刀直入にきくが、その依頼ってのは?」
俺が椅子に座ってそうきくと、彼はひとつの書類を俺に手渡した。
「まずはその書類を読んでくれ」
俺はページをペラペラとめくり、重要なところだけを読んだ。
「・・・なるほど。謎の襲撃者ってわけか」
「今のところ被害者は4人。その誰もが一撃でやられてる。犯人はかなり戦闘に長けているようだ」
コーヒーを差し出されたので、俺は毒見してからゆっくり飲み始めた。
なるほど。写真を見た限りでは、犯人は刃物で殺しているらしい。しかも死体にAA崩壊が
起こらないということは、そういった特殊な武器を使用しているということだ。何かの意図があるのだろう。
「この犯人、見せつけのために死体を残してるわけじゃないよな?」
「さあな。そんな事は犯人に直接きけよ」
きけたらこんな苦労はしないっての。俺はつっこみを入れた。
「お前にはこの事件について調べてほしい。報酬はいつもと同じだそうだ」
「・・・。満足じゃないが不足でもないな」
俺は書類をテーブルに置き、コーヒーを飲み干した。ああ苦い。甘いものはないのか?
俺は甘党なので、こういう苦い物はあまり好きではないのだ。
「あ、それと今回は軍の人間を一人助っ人に就けているから、そいつを呼んでくるよ」
あっそ。まあ勝手にしてくれ。俺はそう思いながらカップを置く。少佐は「入っていいぞ」と声をかけた。
すぐに軍服を着たフサギコ系のAAが入ってきた。胸には少尉を示す階級章をつけている。
「こいつがその助っ人か?」
俺がそう言うと、ギコルはうなずいた。
「我が軍の特務隊に先月付けで入った奴だ。名前はドネット・フッサール。階級は少尉だ」
ギコルがそう言うと、そのAA―ドネット・フッサール少尉―は俺に向かって敬礼した。
「ドネットであります!今回の任務において、協力させていただきます」
ああ、勝手にしやがれ。でも簡単に死ぬような奴じゃなさそうなので、足を引っ張る事はないだろう。
「別に軍隊口調じゃなくていいぜ。俺は『一応』退役してんだからよ」
俺がそう言うと、ドネットは「はっ!」と答えた。だからそれをやめろって言ったんだが。
しばらくしてギコルが立ち上がった。
「じゃあ俺はほかの任務があるから後はよろしく頼む。あと、この部屋は自由に使ってくれ」
「わかった。お互い健闘を祈るぜ」
ギコルは俺に向かってグッドラックのサインをして部屋を出て行った。

  次回予告
俺とドネットは調査を始めたが、怪しい仮面に忠告された。
一体こいつら何のつもりだ?
そして街をさすらうもう一つの影が・・・。
果たして何が待ち受けているのか?
次回『死の仮面』
証拠がまったくないって・・・。

  作者のひとこと

やっと連載開始だよ、俺の新作!¥(゜∀゜)¥
今度は完全オリジナル。これから十話完結予定で執筆していきます。
ちなみにドネット君は完全オリジナルキャラです。フサとつーの雑種です。
毛並みは灰色という設定です(頭髪が赤ですが)。今後主人公aaaとともに活躍する予定!
このあとも前作でも登場した人物が出たりするので乞うご期待!(奴のこと→(´・ω・`)

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