シリウスの環

時事問題を弄るblogと化してしまいましたw
初めの主旨から大変革・・・。

経済産業省の航空機事故防止に関する取り組み

2007-03-10 20:33:50 | お勉強会
さて、今回は趣向を変えて、日本の航空産業への取り組みについて書こうと思います。
絶対に報道されない事柄ですからね。

経済産業省を中心にH14年から航空機用先進システム基盤技術の研究・開発が行われています。
これは、航空機の故障診断から故障時の機体の制御、自動誘導までを複合的に研究しているものです。
H14~15年度で基礎的な調査を行い、H17~19年度で開発を行うこととしています。

内容については、リンク先の資料を読めばわかる・・・かな^^;
将来型航空機運航自律制御 支援システム技術研究調査
耐故障飛行制御システムの基盤技術開発


この研究の中で出てくるPCA(Propulsion Controlled Aircraft)について軽くお勉強♪

現在の航空機は油圧にて舵面制御を行っています。
舵面制御を行う油圧は、万が一に備えて複数系統にて構築されています。
しかし、過去の事故(※1)において複数の油圧系統全ての機能が失われるケースが発生しました。

舵面制御ができない=エレベーター・ラダー等による機体制御不能

で、対策として米国NASAが1990年代に開発したのがPCAです。
PCAは舵で機体コントロールできないなら、エンジン推力を調整することにより機体の制御を行おうと言うものです。
簡単に説明すると・・・

(1) 加速したい=推力を落とすことにより機首が下がり加速
(2) 減速したい=推力を上げることにより機首が上がり減速
(3) 右へ曲がりたい=左エンジンの推力をあげる
(4) 左へ曲がりたい=右エンジンの推力をあげる

舵面制御不能な状態+推力一定だと、フゴイド運動が発生します。
これは・・・
   機体の下降に伴い揚力がが増し上昇
       ↓       ↑
上昇に伴い推力及び揚力不足  ↑
       ↓       ↑
   失速気味となり機首が下がり下降

と、機体が上下運動をしてしまうことです。
先に述べた推力調整により、フゴイド運動をある程度抑制することは可能です。

PCAは推力調整を自動で行うことにより機体の安定を保ち制御を行います。
米国連邦航空局も義務づけを検討しましたが、全油圧系統が損傷する可能性は低いとして義務付けを見送りました。

経済産業省が義務付けを行うかわかりませんが、万が一のことを考えるとあった方が良いことは明白です。
それにしても、これらの取り組みって殆ど知られることはありません。
私だってPCAを調べてて初めて知ったくらいですからね。

※1
・御巣鷹山の日航機(JAL123便 B747)
 圧力隔壁の破損により、垂直尾翼及び油圧系統全てが破損。
 制御不能状態で30分以上迷走した後、墜落(500名以上が死亡)
・スーシティーの航空機(DC-10)事故
 第2エンジン(機体上部後方にある)のファンディスク脱落により、機体後部が破損し油圧系統が切断。
 推力調整により空港まで戻ることに成功したが、着陸直前で墜落(100名以上が死亡)
その他いっぱい

唯一の帰還成功例
2003年のバクダッドでテロ組織のSAM(短距離対空ミサイル)により、BHL機(A-300)が攻撃を受け左翼に被弾。
3系統あった油圧の全てが失われたが、推力調整によりバクダッド空港に引き返し、着陸に成功。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (日航ジャンボ墜落につきまして。空峠付近で中性子爆弾を被弾、垂直落下したものです。)
2007-03-14 00:46:30
日航ジャンボ墜落につきまして。空峠付近で中性子爆弾を被弾、垂直落下したものです。
返信する