(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第12歌(カッコ内は筆子、その12)
◯眉まで沈んでるものたちが見えた、巨(おお)きなチェンタロウが言つた、「これは他人の血と財産を強奪した暴君どもで、
ここでは無慈悲な加害が後悔されてゐるのだ、ここにはアレッサンドロと、多年シチリアを悲嘆に暮れさせた、残忍なディオニシオがゐる。
あの髪の毛の黒い額はアッツォリノ、もう一つの金髪の額はたしかに上の世界で、継子に殺されたオピッツオ・ダ・エスティだ。」
(ここまで前回)
◯そのときわたしが詩人の方を振向くと、かう言つた、「いまはこのものを第一とせよ、わたしは第二だ。」
もう少し先でチェンタロウは立止まつた、真下のものたちは咽まで沸騰する血から出てゐるやうだつた。
片隅に一人きりでゐる霊を指し示して、ネッソは言つた、「こいつは神の懐の中で、いまでもタミチ河の上で血を滴らせている心臓を突き刺したのだ。」(つづく)
◯2016年2月14日は第七主日。日聖協「聖書愛読こよみ」は「キリスト者の自由」という主題である。ヨハネ8章31~38節その32節、「真理はあなたたちを自由にする」とイエスはおっしゃっている。何よりもその人自身が自由。これをルターは「何人にも従属しない」そして「何人にも従属する」自由という(Ⅰコリ9・19)。
◯写真は、2月2~4日の三日間札幌北一条教会で開催された大会伝道局理事会の理事たち、右端の顔が筆者、南茂昭夫。