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トランプ大統領と「決別」するのは容易ではない

2017-06-11 11:17:15 | 政治


米国では、弾劾の手続きは議会で行われる。弾劾によって大統領を罷免するには、下院の過半数に加え、上院で3分の2の賛成が必要だ。共和党は上下両院で多数を占めている。党としての団結を保つことができさえすれば、弾劾は阻止できる。

議会のスケジュールを決めるのが、多数党の役割であることも見逃せない。ポール・ライアン下院議長などの共和党指導部は、党内から多少の造反が出たとしても、弾劾手続きの開始を妨害できる立場にある。

実際に、過去に米国議会が弾劾の審議に進んだ際には、最初に手続きを始める下院において、いずれも大統領とは異なる政党が多数党の座にあった。

トランプ大統領が公約を実現できるかどうかも、最後は共和党議員の判断に左右される。懸案である減税やオバマケアの廃止・修正に関する法律は、多数党に許された特権を最大限に利用すれば、共和党議員の賛成だけで可決できる。

上院で60票の賛成がなければ少数党による議事進行妨害を阻止できない通常の法律と違い、税制や医療保険に関する法律は上院の過半数で審議を進められる特例があるからだ。

選挙の観点では、共和党議員はトランプ大統領と一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある。いくら状況が悪化しても、トランプ大統領と決別する決断を下すのは容易ではない。

米国では、支持政党の二分化が進んでいる。大統領選挙で共和党の候補を支持する有権者は、議会選挙でも共和党の支持者に投票するのが一般的である。

実際に、2016年の下院議員選挙では、全米で435ある選挙区のうち、大統領選挙で多数を獲得した政党の候補が落選した選挙区は、わずかに35を数えるだけだった。

かつての米国は、こうではなかった。1970年代や1980年代には、200近い下院の選挙区で、大統領選挙とは異なる政党の候補者が、議会選挙の勝者となることもあった。

「米国の有権者は、大統領選挙と議会選挙で支持政党を変えて、バランスを取っている」とも言われていたが、その面影はすっかり消え去った。

東洋経済新聞社からの引用記事
 


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