北朝鮮は、もともと金日成時代には普通の社会主義国家のように、内閣主導の計画経済だった。それを金正日が政権を掌握する過程で、内閣の上に君臨して、内閣を指揮する党中央専門部署をつくったのだ。
中国などの国でも、党中央傘下に専門部署がないわけではない。中国共産党と他の国の共産党との「外交」事務を取り仕切る「対外連絡部」がそれに相当する。
しかし、北朝鮮の場合はすべての内閣の部門の上に「○○部」と称する党の専門部署がある。党には外務省とは別途に外交政策を立案、決定し、首領様に決済をあおぐ国際部、内閣の工業や軍需産業部門を統括、指導する機械工業部などがあり、巨大な権力機関が党と内閣(行政部門)とで構成されている。
そしてこれらすべての部門が、いまでは独自の外貨稼ぎに走っている。党費や税収などの財源があるわけではないので、自力で、自分の面倒を見なければならない状況にあるからだ。
例えば、外務省の場合、外交特権を利用して金塊密輸をはかったり(2015年3月、北朝鮮外交官が金塊27キログムを密輸しようとしてシンガポール税関で摘発される)、タバコの密輸にかかわったり(2016年、北朝鮮外交官がバングラデシュにタバコ8万箱を密輸しようとして摘発)
麻薬取引に関わったり(2004年、北朝鮮外交官2名が麻薬所持でトルコにおいて摘発、追放処分に)、多くの不祥事を起こしている。
最近では、中古車の輸入販売にも外交特権を利用しているとの証言もある。このような体質は、金正恩時代に至っても、そのまま残っている。
金正恩は、首領経済システムから吸い上げる統治資金をもってロイヤルファミリーと金日成と一緒に抗日ゲリラ戦を戦った革命第1世代の家族を含む約2000人と、中央から地方にいたる党・軍・政部門の幹部など2万人の面倒を見る。
さらには、170万人あまりの平壌市民(2011年には220万人だったが、5年あまりでなぜ50万人近くが減ったかは不明)に、平壌に住む特権と最低限の生活を営むことのできる配給を行えば、外見上、国として成り立つ。
週刊ダイヤモンドからの引用記事
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