お散歩猫のキキとヒゲおじさんの日常

ヒゲおじさんは元遊園地の園長で家庭料理人、今は新聞の料理コラムニスト、猫のキキと前橋な毎日と家庭料理をお届けします。

イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える(その7) 市民を惑わす前橋街づくり協議会の「駅周辺再生」提案

2010-05-12 17:16:30 | イトーヨーカドーが消える前橋を考える

Photo 5月9日の上毛新聞1面にこの記事が掲載されました。

前橋市内の経営者たちでつくる前橋街づくり協議会が、イトーヨーカドー前橋店が8月に閉店し、前橋駅前が衰退することを危惧して前橋市に提案書を出したという記事です。

早速ネットで「前橋街づくり協議会」を探したら、ここに協議会のアドレスhttp://www.opti.ne.jp/maebashiが公表されているのですが、なぜか接続できません。

この協議会は、「『市民の視点』に立ち、(中略)県都前橋にふさわしい魅力ある街づくりのための総合的な計画(マスタープラン)を作成する」って設立の目的をうたっています。

でもHPは接続不能、これじゃ市民は報告書を読むことも、意見を言うこともできません。

仕方なく、不本意ですが、新聞の記事を頼りにします。

   

Dscf8193 上毛新聞によると、提案書は駅周辺に「人が集うための核機能を持たせることが重要」と指摘しているそうです。

何で、「前橋駅周辺に人が集わなければいけないのか?」、記事からは分かりません。

Dscf0453 高崎市では、高崎駅周辺に都市機能が集積したために、かつての中心市街地は完全に空洞化し、「廃墟」に近い状態にまでなっています。

前橋市は違います。3月24日に「地価公示」にふれて書いたとおり、前橋の都市の中心はスズラン百貨店辺りにあって、前橋駅は昔も今も場末なのです。

その場末に、どうして人が集わなくてはいけないのか、そのことを明らかにして欲しいです。

そして、「核機能」って用語は何を意味するのか、まったく不明です。

   

記事によると、具体的には、次の三つの機能を集積することを提案しているらしい。

① 医療モール、かかりつけ医となる診療所の集積

② カルチャースクールなどの教育機能の集積

③ 食に関する「物販」機能の充実・飲食店も欠かせない…

  

まずは、診療所の集積ですが、知り合いの診療所経営者たちに聞いたら、「駅周辺はまったく魅力がない」と言っています。「魅力があれば、言われなくても立地してます、空き地はたくさんあるから」って言ってました。

どうやって、医者に診療所を開設してもらうのでしょうか?

それに、大手町(大手町は誤り、本町1丁目が正)の旧前橋消防署跡は穴吹工務店がマンションを分譲してますけど、あそこの低層階は「医療モ-ル」にする約束でしたけど、まだ診療所は一軒も出てないですよね…

協議会の皆さんはちゃんとマーケッティング・リサーチしたのかしら…

   

カルチャースクールって、なんかすごく魅力的な感じ…

だけど、うちの糸駒さん、前橋のNHK文化センターと、伊勢崎のISカルチャーセンターで、教室やってるけど、すごく大変みたいです。

例えば月3回で3000円/月の教室やるとしますよね、20人集まっても6万円、講師の取り分は40~50%、3万円にもならないのですよ。

つまり、前橋のカルチャースクールの現状、とっても厳しいんです。

協議会の皆さん、まずはカルチャーセンターの実態をよく研究してくださいな。どういう経営形態ならば、受講者も講師も安心してやっていけるのか…

   

Dscf7492三つ目は飲食店も欠かせないとおっしゃいますが、このブログの1月6日の記事を見てください。前橋駅北口と駅前通りに面している飲食店は、この写真の1軒しかないのです。

あとは、イトーヨーカドーの中にファミレスとミスドが1軒ずつ、駅の構内に、吉野家、立ち食いソバ、マクドそしてパン屋、これがすべてです。これが現状です。

これしかないということは、それで十分な需要しないということです。

こういう場所で、飲食店の経営を成り立たせるのにはどうしたらよいのでしょうか。

   

今朝早くに家を出て、自転車で伊勢崎駅前まで行きました。

Dscf2064

朝7時40分の伊勢崎駅前です。駅まで人を送ってきた車で交通渋滞が発生していました。

歩いているのは、近くの駐輪場に自転車をおいて歩いている通勤通学者です。

JR両毛線は、7時49分に高崎行きが、7時56分に小山行きが、東武伊勢崎線は7時52分に太田行きが出ます。朝この駅から電車に乗る人たちが一番多い時間です。

私の目には、朝、前橋駅から電車に乗る人たちよりも、伊勢崎駅から乗る人たちのほうがずっとずっと多く見えます。

Dscf2070 駅の西200mほどのところにある巨大な駐輪場です。前橋駅周辺の駐輪場よりも絶対に広いです。警察官が出て、交通整理をしていました。その必要があるからです。

       

実は、今朝、伊勢崎駅周辺で、ヒゲクマは朝食を食べることができませんでした。

探したのですが、喫茶店なし、マクドもミスドもなし、コンビニもなしだったのです。

今伊勢崎では、両毛線と東武線の鉄道高架化のための工事が進められています。

それが終わると、少し様子が変わるかもしれません。

でも、聞いてみると、今伊勢崎駅を利用している人たちが望んでいるのは、駐輪場と駐車場、そして朝の交通渋滞の解消だということでした。

  

実は、伊勢崎駅の乗車人員は4,931人/日、前橋駅のそれは9,853人/日、高崎駅のそれは28,749人/日なのです。2008年のデータ、降車人員は含まない数値です。

伊勢崎駅の倍あるとはいえ、前橋駅の数値は田舎駅の水準です。県都とはいえ、鉄道を利用して前橋に来る人は少ないのです。

これが現実なのですから、乗降客は少ないけれど、素敵な魅力的な駅周辺ってのを考えるほうが良いと思いませんか。

たくさんの乗降客のある駅の真似をすることはない、駅前に無理やり人集めすることもないと思います。

イトーヨーカドーの建物の所有者である曽我製粉のために無理をすることはないと思います。

   

協議会の提案は上毛新聞で読む限り、「あれば良い」「欲しい」というプランです。

「これならできる、可能だ!」というプランではなさそうです。

協議会の皆さんはこの街で企業を経営している皆さんです。

駅前で、自ら事業を起し経営をする視点で、もう一度プランを練り直していただけないでしょうか。

そうでないと、「市民の視点」でなく、「ないものねだり」になってしまいます。

それは、結局、「市民を惑わす」ことになると思います。

   

「イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える」

第1回は3月21日「百貨店の消えた街」、

「第2回は3月24日「前橋の中心はスズラン百貨店」、

第3回は3月28日「大手流通業者に食い荒らされた街」、

第4回は4月9日「たった23年のヨーカドー、まちには50年以上続く店がたくさんあるぞ」、

第5回は4月18日「前橋サティーの閉店」、

第6回は4月27日「熱血店舗開店支援事業をイトーヨーカドーが撤退した曽我のビルに適用するの?」です。

第7回は5月12日「市民を惑わす前橋街づくり協議会の「駅周辺再生」提案」

全部をお読みになりたい方はコチラからどうぞ

 

   


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2 コメント

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話題から外れてすいません。 (ノブとツナ)
2010-05-13 07:47:07
話題から外れてすいません。
県庁前通のサーパスマンションは『診療所付き』(?)というふれこみで売り出されたかと思います。住人の中には『騙された』と思っているかたもいるかもしれませんねぇ・・・。
重箱の隅をつつくようで、すいません、あそこは大手町ではなく、本町1丁目だったような???
それから、5/11の円猫のキキさんの画像が見られないのですが・・・。(ページが見つかりません表示されちゃいます)
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ノブとツナさん (ヒゲクマ)
2010-05-13 09:50:00
ノブとツナさん
ご指摘どおり、旧消防署跡は本町1丁目でした。
旧消防所跡地は、前橋市が企画提案付競争入札で市有地の処分を行いました。穴吹工務店が、「医療モール付き分譲マンション」を提案し、市の審査の結果、落札者になりました。
穴吹工務店は、診療所の募集を継続していますが、引き合いはほとんどないという噂です。
審査した市役所の皆さんも、診療所が進出すると考えていたはずで、責任の一端があります。
5月11日の写真は修繕しました。すみません。
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