goo blog サービス終了のお知らせ 

お散歩猫のキキとヒゲおじさんの日常

ヒゲおじさんは元遊園地の園長で家庭料理人、今は新聞の料理コラムニスト、猫のキキと前橋な毎日と家庭料理をお届けします。

イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える(その2) 前橋の中心はスズラン百貨店 

2010-03-24 18:59:11 | イトーヨーカドーが消える前橋を考える

「イトーヨーカドー前橋店閉店を考える」の第二回は、18日に公表された地価公示を見て思ったことです。

   

地価公示制度では、群馬県内で標準地として選定されている423地点について、毎年1月1日現在の価格を公示します。

これにより、地価の変動が分かり、公示価格は土地の取引価格の指標として使われています。

今年の地価公示では、「4年ぶり、全地点下落」(上毛新聞見出し)というのが特徴です。

標準地のすべてが、前年の公示価格を下回る公示価格になったわけです。

  

Photo写真は、上毛新聞の記事の一部、県内の公示価格の高い地点とその価格の一覧が表示されています。クリックして、ポップアップ画面で見てください。  

この表で、気のつくことをいくつか書いておきます。

    

その一つは、前橋市と高崎市の最高価格の開きと最高価格を示している場所の違いです。

   

高崎市の最高価格は、「ハ島町63-1外」(商業地)で409.9千円/㎡です。

この地点は、高崎駅の西口前、ワシントンホテルのあるあたりです。

前橋市の最高価格は、「本町2-2-12」(商業地)で200.0千円/㎡です。

Photo_2 この地点は、本町通りの大気堂の近く、八百屋のあるあたりです。

土地の価格というのは、その利用価値で決まります。

高崎で一番利用価値の高いところは高崎駅前で、前橋の本町通りの倍の地価負担をしても利用価値があるということになります。

ちなみに、前橋駅近くの「表町1-21」(商業地)は86.0千円/㎡で、高崎駅前の1/5ほどでしかありません。前橋の中心商業地の半値にもなりません。

高崎は、高崎駅周辺に土地の利用価値が最も高い地域があり、そこを中心に地価形成されているのです。

これに対し前橋は、前橋駅周辺は土地の利用価値が低く、中心商業地に最も利用価値の高い地点があるのです。

前橋駅の周辺は、住宅地並みの地価しか形成されていないのです。

   

Photo_4 写真は、前橋の「千代田町4-7」(商業地)スズラン百貨店の近くです。この地点の公示価格は、160.0千円/㎡です。

高崎でこの地点と比較できるのは「連雀町85」(商業地)で、237.0千円/㎡です。

高崎市連雀町と前橋市千代田町4丁目の価格は1.5倍弱です。

高崎駅前と本町通りほどの大きな価格差はないのです。

これは、高崎駅周辺の地価が突出して利用価値が高いことを示しています。

    

このことからは、次のようなことがいえると思います。 

高崎は、高崎駅を中心に町が形成されています。かつては違っていたのですが、新幹線駅ができてから高崎市は計画的に駅中心のまちづくりをすすめてきました。その結果が、地価にもはっきりでています。

前橋は、昔のまま、中心商業地に最高価格の地点があります。今でも、まちの中心は中心商業地にあるのです。前橋駅を第二の商業核にしようとしたけれど失敗していることが地価にもあらわれています。

   

今度は、住宅地を見て見ましょう。

Photo_5 写真は、前橋の住宅地で一番価格の高かった「大手町1-10」です。価格は、90.8千円/㎡です。

高崎でこの土地に比較できるのは「柳川町147」です。価格は107.0千円/㎡です。

価格差はそんなに大きくありません。価格の変動にも大きな差は見られません。

Photo_7 写真は前橋市「南町4-21」で前橋商業高校の北の地点、価格は83.6千円/㎡です。

これに比較できる高崎の地点は高崎駅東の「岩押町16」で、価格は90.4千円/㎡です。

大きな価格差はありません。

  

このことからは、次のようなことがいえると思います。

前橋も、高崎も、住宅地の地価に大きな差がないということは、「住む」「暮らす」という点では同じ程度の評価を得ていると考えられます。

ただし、高崎は商業地と住宅地の価格差が大きいのに対して、前橋のそれは小さいです。商業地の評価には大きな差が出ているわけです。

   

前橋の地価の変動を見て見ましょう。

商業地は、「本町2-2」は前年に比べて6.1%下がっています。「千代田町4-7」は7.5%も下がっています。

これに対して、住宅地は「南町4-21」が2.6%の下落です。

Photo_8 写真の「日吉町2-31」も2.7%の下落、住宅地の下落幅はおおむね3%以下なのです。

商業地の地価の下落幅が大きく、今年もまた商業地と住宅地の価格差が縮まってしまいました。

高崎はというと、商業地と住宅地の下落幅に大きな差はなく、同じような比率で価格が下がっています。

前橋の商業地の価格の下落が目立つのです。

     

このことから次のようなことがいえると思います。

前橋市の中心商業地に対する施策の効果が出ていないということです。8番街の再開発も進まず、空き店舗対策も前進していません。こういう施策がうまく進んでいないことが地価にも良くあらわれています。

   

地価公示のデータを見て、ヒゲクマはこんなことを考えています。

前橋のまちは、もともと前橋駅中心のまちではありませんでした。

そして、まちの中から歯の抜けたようにいろいろなものが失われはしましたけれど、今でも中心商業地中心にまちが出来上がっているのです。

そのまち中心に「スズラン百貨店」があります。

前橋のまちは、明らかに「スズラン百貨店」を核にしたまちなのだと思います。

    

だから、やっぱり中心商業地をしっかりさせ、中心商業地の利用価値高めてゆくことが大切だと思います。

そのことが、地価の低下を防ぐために絶対に必要なことだと思います。

イトーヨーカドー前橋店が消える前橋駅周辺は、住宅地並みの地価形成しかできていないのが事実です。利用価値が低いのです。

このまちに、二つの中心を作ろうとすることは、どちらも殺してしまうことになるような気がします。

   

「イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える」

第1回は3月21日「百貨店の消えた街」、

「第2回は3月24日「前橋の中心はスズラン百貨店」、

第3回は3月28日「大手流通業者に食い荒らされた街」、

第4回は4月9日「たった23年のヨーカドー、まちには50年以上続く店がたくさんあるぞ」、

第5回は4月18日「前橋サティーの閉店」、

第6回は4月27日「熱血店舗開店支援事業をイトーヨーカドーが撤退した曽我のビルに適用するの?」です。

第7回は5月12日「市民を惑わす前橋街づくり協議会の「駅周辺再生」提案」

全部をお読みになりたい方はコチラからどうぞ


イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える(その1) 百貨店の消えた街 

2010-03-21 20:41:25 | イトーヨーカドーが消える前橋を考える

今日から、「イトウヨーカドー前橋店弊店を考える」というシリーズを少し書き続けることにしました。

少々、お固くなりますんで、通常の日記とは別立てにします。

毎日はかけないかもしれませんが、お付きあいください。

     

第一回は、「百貨店の消えた街」です。

3月15日の朝日新聞「ルポにっぽん 百貨店 消えた街」を読みました。

ルポは、東京吉祥寺駅前の伊勢丹の閉店に始まります。

いま、大都市でも地方都市でも百貨店の閉店が続いています。

そして、一流企業であった百貨店は店舗の整理とリストラに追われています。

 

北海道室蘭でも「丸井今井」が閉店、その室蘭では地元商店街の新しい取り組みが始まり、百貨店で働いていた人による移動販売も始まっています。

 

Photo そして、ルポは岡山市へ飛びます。岡山高島屋と天満屋という二つの百貨店の生き残りをかけた挑戦です。

写真の記事をクリックしてポップアップ画面で是非読んでください。

岡山市の百貨店が地元の企業や商店街と連携して新しい試みを始めている姿です。

  

Photo_2 ルポには、2010年に閉店する全国の百貨店のリストが掲載されています。11の百貨店が姿を消します。

この中には、金沢市に本拠を置く百貨店・「大和」も含まれています。

新潟、上越、長岡、小松(石川県)の4店舗が閉店します。

   

コチラのブログをのぞいてください、「大和小松店」が閉店する小松の街をルポした記事が載っています。

このブログの記事は、数年後の前橋の街を見ているような気がしてなりません。

  

「私はイトーヨーカドー前橋店が閉店しても誰も困らない」と主張してきました。

その一方で、イトーヨーカドー前橋店の閉店が意味していることを、とても怖ろしく受け止めています。

それは、前橋の中心市街地では、大型商業施設がもう成立しなくなってきている可能性を感じているからです。

  

Dscf9562_2 イトーヨーカドー前橋店は間もなく閉店します。イトーヨーカドーを経営するセブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブン、イトーヨーカドーのほかにそごう、西武、ロビンソンという三つの百貨店28店舗を傘下におさめる流通最大手です。

180店あるイトーヨーカドーのうち、前橋店を含む30店を今後3年間で閉店予定です。

百貨店も、西武百貨店の有楽町店、札幌店の閉店を相次いで発表しています。

まるで、コンビニの閉店みたいな感覚で、大型商業施設の閉鎖を続けています。

この会社には、コンビに以外の商業施設を経営する能力がないかのようです。

  

そして何よりも、こういうやり方が、地域社会と大型商業施設のつながりを絶ち、ますます大型商業施設に対する不信を拡大して行くことになりそうです。

朝日新聞のルポに出てきた、岡山市の高島屋と天満屋の話とは、大きな隔たりを感じます。

  

イトーヨーカドー閉店を前に、前橋のまちは、もう一度、地域社会と大型商業施設の望ましい関係を考えるよい機会を迎えている気がしています。

今ならまだ間に合うかもしれません。

小松市や室蘭市のような事態になる前に…。

  

「イトーヨーカドーが閉店する前橋を考える」

第1回は3月21日「百貨店の消えた街」、

「第2回は3月24日「前橋の中心はスズラン百貨店」、

第3回は3月28日「大手流通業者に食い荒らされた街」、

第4回は4月9日「たった23年のヨーカドー、まちには50年以上続く店がたくさんあるぞ」、

第5回は4月18日「前橋サティーの閉店」、

第6回は4月27日「熱血店舗開店支援事業をイトーヨーカドーが撤退した曽我のビルに適用するの?」です。

第7回は5月12日「市民を惑わす前橋街づくり協議会の「駅周辺再生」提案」

全部をお読みになりたい方はコチラからどうぞ