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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 女王陛下のお気に入り

2019年02月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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数々の映画賞に輝き、本年度アカデミー賞主演女優賞を獲得した「女王陛下のお気に入り」を鑑賞

本作は、ヨルゴス・ランティモス監督による18世紀のルイ14世のフランスと戦時下にあったアン王女のイギリスが舞台です。そして、女王と女王の側近のレイチェル・ワイズ演じる公爵夫人レディ・サラと彼女に近づきやがて敵対サラの敵対関係となるエマ・ストーン演じるアビゲイルの宮廷内の愛憎劇が繰り広げられます。

アン王女を演じたのはイギリス人俳優のオリヴィア・コールマン。今回のアカデミー賞で主演女優として初ノミネート、そしてオスカー獲得の栄誉に輝きました。とは、言ってもヴェネチアで前哨戦とも言われるゴールデングローブで主演女優賞を獲得してますから、順当な受賞だとは思います。

ここでアン王女と時代背景をおさらいすると、この映画に対して興味をそそります。アン王女は勉強よりも運動が好きで乗馬を好んだそうです。デンマーク王子と後に結婚しますが17回も妊娠しますが、世継ぎには恵まれませんでした。その原因は甘いものとお酒好きともまた難病とも。そんな彼女は姉により嫌疑をかけられ投獄。後に即位する際に、チャーチル首相やダイアナ妃の祖先であるジョン・チャーチルをイギリス軍総司令官に抜擢、その夫人が今回のサラになります。このような背景を、今回の作品は忠実に再現しながら様々な脚色を加え、見事な人間ドラマに昇華していました。

そして、女王を演じた彼女の圧倒的な演技に呼応するように、レイチェルとエマの異なる演技も見事です。イギリス版大奥のふれこみの作品ですが、国のトップが女王であるイギリスにおいて繰り広げられる愛憎劇は、日本の文化と異なる豪華を背景に、三人に女たちに翻弄される男たちという関係と18世紀のイギリスとフランスの対立関係においては、スケールの大きさにおいて大奥と比較するのは恐れ多いと思いました。

この歴史ドラマ、男も女もスクリーンにくぎ付けになる魅力を持っています。本年度絶対観るべき一本としておすすめします。

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DVD モリーズ・ゲーム

2019年02月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はジェシカ・チャステイン主演の実話に基づく映画「モリーズ・ゲーム」です。

昨夜はアカデミ―賞が発表されました。下馬評通りの各賞受賞者になりましたが、日本でも現在公開または公開予定の作品が目白押しです。

さて今回の作品は、モーグルのオリンピック候補が主人公、モリー・ブルームという女性が主人公。言ってもオリンピックを目指すアスリートの話ではありません。

オリンピック予選で大怪我をし選手生命を失なったモリ―が、勤め先のボスから、ポーカーゲームのアシスタントを頼まれることで成功を手にし、その後一つのトラブルをめぐりFBIに逮捕されこととなる転落の人生とその後を描いています。

ジェシカの他にも父親役にケヴィン・コスナー、モリ―を弁護する黒人弁護士にイドリス・エルバ、彼女を成功と破滅に導く男にマイケル・セラと新旧実力派の俳優陣が脇を固めています。特にケヴィンの父親役は、彼のイメージを覆すものでした。

そして、この作品のキーワードとなるのが、アメリカではよくある司法取引。モリ―の決断にも注目です。

秘密裏に行われるシンプルなポーカーゲームによる賭博。オリンピック選手の道をあきらめ、ハーバード大学進学を目指していた彼女に突然巻き起こる成功と転落。ジェシカ・チャスティンがアスリートからセクシーなゲームオーナーという役どころを魅力的に演じています。ジェシカは今とても好きな女優ですが、多彩な役どころを演じている彼女が、なぜかオスカーを手にすることが出来ないのも、その器用さかも知れません。

いつか、主演でも助演でもいいからジェシカ・チャスティンがオスカーに輝くをことを祈ってます。

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DVD ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

2019年02月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、二人の天才プロテニスプレーヤーの死闘と知られざる姿を描いた「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」です。

僕が大学生だった頃、ポパイによりもたらされた空前のテニスブームが起こりました。誰もがテニスに夢中になり、各地でテニスコートは予約でいっぱいに、コンクリートの壁に向かって一人テニスを楽しむ姿が見向けられました。

高価なデカラケが流行り、持っているだけでもてた時代、お金がなかった僕は木製のラケットで、デカラケを持つ友人のお伴で付き合う程度でしたが、そんな僕も1980年、ボルグとマッケンローのウインブルドン決勝での死闘は記憶に残っています。

当時のボルグは、テニス界の帝王として君臨し、誰もが憧れた存在、その帝王に当時、彗星のごとく現れたマッケンロー。しかも、彼は感情を露わにし、審判の判定に食ってかかる悪童。当然、そんな彼に批判が集まります。当時の僕はというとアンチなところがあってマッケンローを応援していました。

今回の作品、そんな二人の姿とは異なる一面と二人の持つ不思議な絆があふれる作品です。あの伝説の死闘に至る二人の生い立ちが相互に描かれとっても面白いです。それは、ボルグ役を演じたスベリル・グドナソンとマッケンロー役を演じたシャイア・ラブーフが当時の雰囲気にクリソツです。そして、当時はやったヘアバンドにも注目、二人がヘアバンドの意味が何気なく感じました。

スポーツ、テニスファンならずとも、この作品生い立ちや性格など人間ドラマとしての一面もとても素晴らしい作品です。ドキュメントの死闘も組み合わさって、当時の迫力も感じます。ぜひ見てほしい作品です。

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DVD アニー・イン・ザ・ターミナル

2019年02月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はマーゴット・ロビー主演のリベンジスリラー「アニー・イン・ザ・ターミナル」です。

スーサイド・スクワットやアイ・トーニャなど悪女役で一躍スターダムにのし上がったマーゴット・ロビー。今回は、さらにセクシーさとクールさを持ちわせバージョンアップした悪女を演じています。

イギリスロンドンのとある終着駅のダイナ―で働くアニーは、教会で懺悔に訪れながら厄介事の後始末をする裏の顔を持つ謎の美女。実は、彼女には、ある男の復讐をする目的があった。

スーサイド・スクワットでは、おバカなセクシー、ハーレイ・クイーン役が演じていましたが、今回は、色付けはどこか似ていますが、今回のアニーはクールでエロな女役で、悪女のお色気が爆発してます。

リミット・オブ・アサシンでは、イーサンホークが、どこかB級アクションが漂う作品の主人公を演じていましたが、今回のマーゴとも、アメリカン・コミックとホラーをかけあわせた何とも言えない世界で大活躍してます。そして、ラストの何ともB級的な結末にも納得しちゃいました。

今回の作品もマーゴットファンには欠かせない作品となっています。観るか観ないかは、あなた次第です。

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DVD リミット・オブ・アサシン

2019年02月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はイーサンホーク主演でジョン・ウイックの製作陣によるアクション作品「リミット・オブ・アサシン」です。

イーサン・ホーク主演で、キアヌが演じたジョン・ウイックが、やたらカッコ良かったこともあり、その製作スタッフによる作品とあって期待して観賞しました。

内容は、家族を失い、任務中に命を失ったイーサン演じる暗殺者トラヴィス。組織の蘇生手術により蘇ったトラヴィスでしたが、結局は情報を手に入れるための捨て駒で、24時間のタイムリミットで再び命を失うことに。組織の陰謀を知ったトラヴィスは、一人で全面戦争を起こすというものです。

24時間と言えば、ドラマ「24」を思い起こすますが、派手なアクションだけが目につくだけの薄い内容で、期待した分ガッカリな作品でした。渋いイーサン・ホークが演じてこそ、復讐に燃える男の悲哀をもっと描いてほしかったなと思いました。

次回も、期待倒れ作品なので、レンタルショップに乗せられないようにしてほしいということで、興味のある方だけが観賞してみてください。

 


DVD 焼肉ドラゴン

2019年02月20日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。数々の演劇賞を受賞した舞台作品の映画化作品「焼肉ドラゴン」です。

今回の映画は映画の脚本を数多く手掛ける劇作家の鄭義信の映画初監督作品です。鄭義信と言えば、在日コリアンの境遇を基に描かれる人情劇に定評がありますが、今回の作品は、初監督作品にふさわしい脚本と多彩な日韓の俳優陣によるホームドラマです。

物語は、関西のある一角の町の焼肉屋が舞台。日本兵として戦い片腕を失い一人娘を持つ父親と夫を亡くし、故郷の韓国を離れ二人の娘を連れて日本に来た妻、そして再婚同士の間に生まれた息子の6人家族、戦後の混乱期に土地を買い住む家族に、立ち退きの命令が来ますが、家族や町の人々は拒み続けます。家族の織りなす様々な人間模様が濃密に描かれ、家族の歴史と共に、高度成長期の日本で、追いやられた市井の人々の思いが綴られます。

父親役には、キム・サンホ、母親役には、イ・ジョンウンの韓国の名バイプレイヤーが、娘には、真木よう子、井上真央、桜庭ななみが、家族と密接な関係にある役を大泉洋や大谷亮平が演じています。

鄭義信は、今回の作品を三丁目の夕日のアンチテーゼとして描いたようで、確かにこの時代の日本人の陽の部分を片隅に追いやられ時代に取り残された在日家族と対比する陰の部分として描いているように感じました。ただ、僕には、今回の作品の方が、慈愛と生きるエネルギーが感じられ、決して悲劇のドラマには思えませんでした。

日韓関係が、両国にとって最悪な状況にある今、日本、韓国、そして在日コリアンのトライアングルの関係が今回の作品で改めて認識でき、この作品に鍵があるのではと思います。

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ウイリアム・モリスと英国の壁紙展 松坂屋美術館

2019年02月18日 | 【美術鑑賞・イベント】

昨日に松坂屋美術館で開催されていた「ウイリアム・モリスと英国の壁紙展」の最終日を観賞しました。

北欧デザインのブームにより様々なインテリアが日本でも広がっている中で、貼ってはがせる壁紙やホームセンターなどで多種彩々の壁紙が目につくようになりました。日本では、壁紙と言えばサンゲツが有名で住宅で用いられる壁紙はサンゲツがリードしてきましたが、今回の展覧会は、そうした壁紙文化の先駆者であるウイリアム・モリスデザインの壁紙やモリス以前からアーツ&クラフト運動により19世紀以前の英国壁紙デザインの変遷史となる展覧会です。

英国王室の宮殿を彩った美しい壁紙や木版を使った手仕事のモリスデザインの壁紙など貴重な壁紙が展示されています。一片のデザイン化された草花や鳥の文様は、幾重にも組み合わされ計算された文様の連続をなし、壁一面に広がっていきます。まさにデザインと緻密な技術だからこその技です。

今回の展覧会では、モリスの壁紙を用いた住宅が国内外を問わず紹介されていましたが、モリス自身もジャポニズムの影響を受けていたこともあって、和の空間にも見事にマッチしていました。

イギリスやフランスなど歴史と伝統を重んじてきた国は、北欧のデザインと違い、日本を含めオリエンタルな文化を取り入れながら、独自の文化に昇華させていく強さを持っっています。今の時代において、このような展覧会は、インテリアの幅を広げるのには最適な展覧会です。

こうした展覧会に触れることで、自身のセンスを磨く材料としてみてはどうでしょうか。

 

映画 未来を乗り換えた男

2019年02月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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2018ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作のミステリー「未来を乗り換えた男」を観賞

物語は、祖国ドイツからパリに逃れた青年ゲオルクが、ドイツ軍に占拠されたパリから南部のマルセイユにたどり着き、そこで手に入れた自殺した男のパスポートで逃亡を図ろうとしますが、そこに男の妻が捜していることを知ります。偽のパスポートと男の妻に正体がばれないよう苦心する道程が描かれたミステリーです。

最初は、僕の欠かせないテーマのナチスのユダヤ人迫害をベースにその時代が描かれていると思っていましたが、鑑賞が進むと風景や兵士の姿などから舞台が近未来的なSFミステリーになっていることに気が付きました。

ゲオルクの出会うアフリカ系難民の少年も加わり、手に入れたパスポートの男の妻が捜している理由が徐々に明らかになると事態は一変、ゲオルクは、ラストに思いもしない決断を下します。さらに、その決断が想像を超える結末へと発展していきます。

監督は「東ベルリンから来た女」で知られるドイツの名匠クリスティアン・ペッツォルトですが、2015年のあの日のように抱きしめても、ナチスの強制収容所をテーマにしたサスペンス作品であったことを思い出して、同様のテーマでありながら異なるシチュエーションで展開する監督の手法に改めて感心しました。

ファシズムと難民問題というドイツが世界が抱えるテーマをベースに極上のミステリーをあなたも味わってみてください。

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映画 フロントランナー

2019年02月15日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ケネディーの再来と言われた大統領候補をヒュー・ジャックマンが演じた「フロントランナー」を観賞。

アメリカ大統領。いつの時代にも、世界に影響を与える最も大きな存在であることは誰もが認めるところだと思います。

今回の映画は、ケネディーの再来と言われた民主党の最有力候補のゲイリー・ハートが、スキャンダルにより転落していく事件を描いた実話です。

1988年アメリカ大統領選挙。史上最年少46才で大統領候補として躍り出たゲイリー・ハート。知性と若さを兼ね備えていた彼は、ケネディーの再来と言われ、大統領選のトップを走るフロントランナーでしたが、ある夜、大衆紙により不倫疑惑をかけられます。ハート陣営は、もみ消しに奔走しますが、ハート本人は、臆することなくマスコミと対立し、そのことが火に油を注ぐ形となり転落していきます。

女性スキャンダルにより候補戦から離脱するケースはよくあることですが、ハートには致命的な二面性があり、そのことが仇となるのですが、この事件が、その後の大統領選に、また世界に動向に大きく影響したことが、スキャンダルの裏でうまく描かれていて、地味な作品ですが政治ドラマとしては、よくできた作品でした。

アメリカにおける実話に基づいた作品は、実際の人物のその後をエンドロールで詳細に示していますが、ひとつの事件から離れ、人間として赦す土壌があるように感じます。人生とは決して、成功だけでは語れない、挫折後にその生き様も含めて評価されるべきだと感じる映画でもありました。

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映画 斬、

2019年02月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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池松壮亮&蒼井優出演の塚本晋也監督初の時代劇作品「斬、」を観賞

ヴェネティア国際映画祭、コンペティション部門出品作で、塚本晋也監督が初の時代劇に挑んだ作品ということで興味深く観賞しました。2015年には野火で2位に、今回の2018年でも7位にランクインしてます。

舞台は江戸時代末期の農村。池松演じる才気あふれる若き浪人都築は、村の若者に武道を教えながら農作業に勤しんでいます。そこに塚本演じる澤村という浪人が現れ、京都の動乱を収めるべく都築と村の若者を幕府側で戦わないかと誘います。武道に優れながら、その誘いにためらいを持つ都筑。出立の日、熱病で倒れた都筑に、思いもしない惨劇が待ち受けます。

都築に惹かれる村娘を蒼井優が演じ、都築と澤村に関わることで重要な役どころとして登場。主役の池松や塚本を超える存在感を放っています。また、都築を演じた池松も、現代劇とは異なる重厚感があり、また、その柔らかい表情から剣の持つ冷たさを持ちました。また、野盗の棟梁役として野火でも塚本作品に出演した中村達也も悪役としての強烈な個性を放っていました。

90分少々と作品としては短い上映時間ですが、幕末の混乱期に、なぜ刀を通じて、なぜ人を斬らなけらばならいか、生と死が向かい合わせてなる若き武士の姿を通して、人生の苦悩が集約された息を呑む力感あふれる作品でした。

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映画 七つの会議

2019年02月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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野村萬斎主演、池井戸潤原作の企業ミステリー作品「七つの会議」を観賞

ドラマ、映画と引っ張りだこの池井戸作品。今回は、ダメ社員役の主人公に野村萬斎が扮し、豪華な俳優陣のキャスティングで派手やかな作品のイメージがありましたが、最初はどこか、コミックを見ているような軽いイメージで笑いのある序盤でした。

物語は、かつては敏腕営業マンで今はグウタラ係長となったの野村演じる八角が、企業の闇を明らかにしていくという筋立て。組織内の縦社会の在り様を個性的な社員を数多く登場させながら、複雑な組織の網をほどき、真実にたどりつくミステリーな展開が徐々に惹きつけられました。

下町ロケットに見られる日本の技術者によるヒューマニティーな内容とは真逆の現在も続く組織の隠蔽体質を背景に正義とは何かを問う作品でもあります。

雰囲気は、半沢直樹に似た感じを持ちましたが、野村萬斎の独得な空気がおもしろく魅力的でした。改めて池井戸潤原作の映画、ドラマは外れ無し、誰もが楽しめる作品だと思います。

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日展の行方

2019年02月10日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日愛知県美術館ギャラリーで開催中の日展を鑑賞しました。

かつての日展は、華やかな制服に身を包んだ日展ガールと言われる女性が、各部屋に監視員として配置され、会場内のあちらこちらで作家と鑑賞者が語り合う姿が見られ、国内随一の集客力を誇ってました。

そんな日展もバブル崩壊と共に下降線をたどり現在に至ってます。目にとまった作品は、かつての日展を支えてきた重鎮で、目にとまる次世代の作家もなく、光を放っていた中堅作家の姿もなく新鮮さを欠く内容でした。

こうした要因は、世代交代の失敗と書道界や工芸界に見られる徒弟制度的な組織の衰退と作品レベルの低下等によりその規模が縮小に至ったのではと考えます。

今回の展覧会から写真撮影ができ、さらにQRコードによる作家自らの作品解説など、新しい試みに挑んでますが、焼け石に水の感がいなめません。

今回の展覧会を観て感じたのは、かつての芸術作品の様々なジャンルが鑑賞できる。日展そのものの使命は終わったと感じています。

趣味嗜好が細分化される現在、作家が生き残り発表する場は、日展だけではないと感じます。


培広庵コレクション展 一宮三岸節子記念美術館

2019年02月03日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日、一宮市三岸節子記念美術館で開催中の「美人画 培広庵コレクション展」を観賞しました。

今回の展覧会は、当館開館20周年記念特別展として開催中で、美人画のコレクションとして名高い培広庵コレクション70点が展示されています。

美人画というジャンルの歴史は意外と浅く、明治時代に端を発し、現在ではその系譜は途絶えようとしています。その要因は、鏑木清方から始まる美人画の旧き良き師弟的なつながりが無くなりつつあることです。

今の若い人たちには、美人画と言ってもチンプンカンプンだと思います。おそらくは、50代までが辛うじて記念切手の図柄などで知っている程度でしょう。たとえば、女流美人画の巨匠、上村松園の序の舞や伊藤深水や竹久夢二などが思い浮かぶでしょう。

今回の作品は、明治から大正、昭和にかけての美人画の系譜がつぶさにわかる展覧会で、江戸時代の浮世絵や西洋画の女性像などを巧みに取り入れ、日本画独特の「美人画」の世界を作り上げられた姿が如実にわかります。

着物という日本文化に舞妓や芸妓などの風俗に彩られる優美な世界を知る人も知らざる人も、この展覧会で確認してほしいなと思います。