日本人建築家による日本の美術館は、数多く存在します。その中でも美術館と言う空間を理解している建築家は、個人的には数少ないと感じています。有名な建築家イコール良い美術館建築とは言えないと考える僕にとって、美術館をよく理化している建築家を個人的に挙げると、安藤忠雄氏や谷口吉生氏、そして、SANAAです。
SANAA、妹島和世と西沢立衛による建築は、美術館としての快適さと公共性を兼ね備えた優れた建築家だと感じます。
今日も、テレビでSANAAの特集番組が再放送されていましたが、そのことを強く再認識されました。
代表作品として、金沢21世紀美術館、フランスのルーブル美術館ランス分館、ニューヨークのニューミュージアムなどがありますが、ガラスやアルミなどの無機質な素材を使いながら、光を十二分に取り入れ、自然や街と溶け込んだ空間です。
SANAAは、バブル後の厳しい状況下で事務所を立ち上げ、コンペにより、その実績を築き上げ世界に注目される存在になっています。その建築は日本のわびさびの美を現代的に再生させた感覚があります。
世の中は、アベノミクスによりバブルの再燃を願う人もいるようですが、日本が真に誇ることができるのは、決してバブルから学ばず、日本文化の再考による新しい経済の再生にあるように思います。
そうしたことも、日本の優れた建築家による優れた美術館建築から学ぶことができるように思います。