今回は、伊藤小坡の世界展と分館の為三郎記念館で同時開催されている高北幸矢・インスタレーション「落花の夢」をご紹介します。12月16日まで開催中ですので、ぜひおすすめの展覧会です。
先ずは、インスタレーションとは何か、現代美術でよく試まれる空間演出のことで、聴覚や視覚などに訴える芸術手法です。
高北幸矢氏は、グラフィックデザイナーとして活躍され、都市空間をたけた芸術家です。名古屋造形芸術大学教授、学長を経て、現在は清須町のはるひ美術館の館長をされています。
今回の試みは、数奇屋造りの佇まいと美しい庭に落花の美しさの象徴として高北氏が創作した椿の花を空間演出の道具として用いられています。
庭先や置かれた造形の椿は、バルサ材で花びら一枚一枚を彫って作られ花びらを重ねて椿の形を作り着色、芯の部分は模型用の用いて花粉の色の黄色を着色しています。
その椿花が各所の部屋や庭に置かれ、作者が朝の朦朧とし夢の中で見た世界を再現されています。
椿の造形とインスタレーションによる革新が、為三郎記念館の自然の造形と数奇屋造りの伝統の中に調和された不思議な世界が魅力的でした。
そして、インスタレーションの道具として用いられた「落花の椿」でなければ、日本の独特な佇まいの中で必要不可欠な存在であると感じました。