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65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

ミロ展 愛知県美術館7月3日まで

2022年06月20日 | 【美術鑑賞・イベント】

ミロ展―日本を夢みて | Bunkamura ザ・ミュージアム | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ

今回の美術展レビューは、愛知県美術館で7月3日まで開催中の「日本を夢みてミロ展」です。

先日アート好きな友人たちと人込みをさけ金曜日の夜間延長を利用して鑑賞しました。美術館の金曜日は大半の美術館が夜8時まで開館延長してますので、週末の美術鑑賞には最適ですぜ。ぜひご利用してみください。

さて、ジョアン・ミロはピカソやダリと並ぶスペインを代表する画家の一人で、一般的にはその画風から抽象画のイメージがあると思いますが日本で初めて紹介した美術評論家で詩人の瀧口修造氏によるとダリの属するシュールレアリスムの画家と言われています。しかしながら、その画風は多岐にわたり、抽象画のような作品も暗号的な記号や数字、線描による人物か静物の表現の中にシュールレアリスムの表現が隠されています。

また、今回の展覧会のテーマである日本文化への憧れが少年時代からあり、スペインで行われた万博にがその憧れの発端となっています。また、そのテーマからか日本全国でコレクションされている美術館や個人により収集された作品や日本文化に影響された作品やミロ自らがコレクションした民藝作品が展示されています。

会場に入ると先ず目を惹くのはニューヨーク近代美術館の「アンリク・クリストフル・リカルの肖像」黒く太い描線で描かれた肖像画の横にはコラージュされた錦絵が張り込まれ平面的な画面とぼかしを加えたカラフルな人物と相まって浮世絵の描法を意識しているように思えます。また、シュールレアリスムの表現が色濃く残る「花と蝶」や線描とカラフルな色彩にフォービズムの技法を感じる「シウラナ村」など初期の作品にはミロのイメージとは異なる表現の多彩に魅了されます。

ミロ展―日本を夢みて | Bunkamura ザ・ミュージアム | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ

晩年に向かうとミロの多彩さはジャンルを広げ、絵画の枠を越え、彫刻や陶芸、書など日本文化への影響が色濃くあらわれます。ミロ作品には黒や灰などの色彩や筆使いに書の表現はその代表格をいえます。

ミロ展 ―日本を夢みて | ザ・ミュージアム | Bunkamura

先日のメディアで、ミロ展を記念したレストランメニューや展覧会グッズが紹介されていました。品ぞろえも過去最大の種類で楽しいグッズが豊富です。過去最大規模ともいえるミロの展覧会。愛知での開催後は、7月16日から富山県美術館での開催が予定されています。富山は瀧口修造の出身地で、氏のコレクションも常設されており風光明媚でモダンな美術館でミロ展のイメージに一番合う美術館ではないでしょうか。ぜひこちらにも訪れてみてはどうでしょう。


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七宝の美展 横山美術館

2022年05月19日 | 【美術鑑賞・イベント】

美術展レビュー二回目は、横山美術館で開催中の「細密の世界で魅了した 七宝の美」展です。

明治の超絶技巧で注目された七宝焼き。東京の涛川惣助、京都の並河靖之の「両ナミカワ」により広く七宝焼きの技法が知られるようになりました。今回の展覧会は名古屋や海部郡七宝町で作られた尾張七宝を紹介する展覧会です。

尾張七宝では現在のあま市を拠点とする七宝焼きや現在を老舗七宝店として存在する安藤七宝がここ東海地区ではよく知られています。しかしながら「銘を入れなくとも作品の出来栄えを見れば誰が作ったかは明らかに判る」との職人気質が強くあまり日本では注目されませんでした。しかしながら海外では有銘、無銘にかかわらず質の良い日本の七宝焼きは高く評価されているそうです。

今回の展覧会は、日本では正当な評価を得られていないかった無銘の七宝焼きにスポットを当て、七宝焼の制作過程や様々な明治から大正期に華ひらいた細密で美しい七宝焼の超絶技巧の作品180点以上の作品が一堂に介する圧巻の展覧会です。

なお、横山美術館は1階から4階まで展示スペースがあり、4階が企画展の展示になっています。1階から2階は明治から大正の時代に輸出陶磁器のコレクションが、3階にはオールドノリタケのコレクションが常設展示され、すべてのコレクションが撮影可能です。特にオールドノリタケのコレクションは目を見張るものがあります。新栄にある二つの私立美術館をこの機会に巡ってみてはどうでしょう。

 



新野洋/西澤伊智朗展 ヤマザキマザック美術館

2022年05月18日 | 【美術鑑賞・イベント】
 


 

先日、新栄にあるヤマザキマザック美術館と横山美術館を訪れましたので、現在開催中の二館の企画展をご紹介します。

先ずは、ヤマザキマザック美術館で開催中の新野洋と西澤伊智朗の現代工芸作家による展覧会レビューです。新野洋は京都在住の現代美術作家でシリコーンゴムで型どりして合成樹脂を流し込み作られた部品を組み合わせて未知なる生物を作り出し、会場全体に設置された透明感のある結晶体のような造形物は今までに見たことのない不思議な生命体を感じます。

一方で制作活動の基礎となっている草木や昆虫はリアリティあふれる水彩画作品も展示され、原画と立体造形物が同居することで未開の森を訪れたような感覚になります。

西澤伊智朗の土肌の風合いを生かした現代陶芸作品で、草木や冬虫夏草など年月を重ねて朽ち果てながら大地と同居する古代の遺産物のようなオブジェで、薄暗く木を生かした室内区間に根をはるように存在しています。アールヌーボ期の調度品や家具が常設されている室内に展示された西澤の作品は、風化する自然物と人の手によって組み込まれ生まれ変わる木々のコントラストが目を惹きます。

ヤマザキマザック美術館のひとつ上の階ではロココから20世紀に至る西洋絵画のコレクションが常設展示されていますので、異空間を楽しんだ後の安らぎの時間を味わえることと思います。

会期は8月28日まで、落ち着きのある都会の美術館にぜひ足を運んでみてください。


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上村松園と伊藤小坡 名都美術館

2022年05月12日 | 【美術鑑賞・イベント】

上村松園と伊藤小坡-二人のハンサムウーマン- | 【公式】名古屋市観光情報「名古屋コンシェルジュ」

今回は名都美術館で階差中の「上村松園と伊藤小坡ー二人のハンサムウーマン」展の美術展レビューをお届けします。

ここのところ、福富太郎氏のコレクション展や現在没後50年を記念する鏑木清方展が東京で開催され明治から大正期の美人画を代表する日本画家の展覧会が注目を浴びています。

今回の展覧会は女流日本画家として文化勲章を受章するなど、美人画の世界で最も人気の高い上村松園と三重県出身で京都画壇で活躍した伊藤小坡の二人の女流画家にスポットをあて、日本画のコレクションで知られる名都美術館所蔵の作品を中心に展示されています。

上村松園は代表作「序の舞」で知られ美人画を描くことに生涯をささげた画家で、鈴木松年に師事、その後幸野楳嶺に師事し、楳嶺死後は竹内栖鳳に師事しています。伊藤小坡も後に栖鳳に師事していますが、二人の人生はまったく異なるものでした。松園は花鳥画の大家である上村松篁の一児をもうけますが、今で言う未婚の母(一説では松年が父)として生涯画業に専念します。小坡は、画塾の同門だった伊藤鷺城と結婚し三女をもうけます。今回の展覧会を観て、美人画の中にその人生が現れているように感じました。

今回の展覧会には松園4点、小坡3点の新収蔵品が展示されていますが、特に三十数年ぶりに存在が確認された松園の「汐公くみ」や小坡の「山内一豊」に二人が画風の特徴が表れています。松園の美人画は華麗さの中に色香が漂う格調高い美人画で人生を美人画に捧げた覚悟が感じられます。一方で小坡は日本画としての夫と共に画業に励み、家族にも恵まれたどこか優し気で穏やかな美人画に感じます。

浪漫でメローな日々

まさに女性として美人画の世界に身を投じながらも、好対照な画風の共演でした。副題にもある二人のハンサムウーマン。会期は5月29日まで、ハンサムという言葉をなかにある異なる女性像がうかがわれる展覧会をぜひ鑑賞してみてください。


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塔本シスコ展 シスコ・パラダイス 岐阜県美術館

2022年04月26日 | 【美術鑑賞・イベント】

日本にもグランマがいた!岐阜県美術館で開催中の素朴派の画家「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」を紹介します。

最初に僕の率直な感想が日本にもグランマがいた!です。グランマとは絵画ファンならご存知の通り、アメリカを代表する素朴派(ナイーブ派)の画家グランマ・モーゼスです。岐阜県美術館から送られる展覧会案内で知り、塔本シスコさんの半生がモーゼスの半生を重なり観たいなと思い先日鑑賞してきました。

塔本シスコさんは、1913(大正2)年熊本県八代市に生まれます。シスコの由来は養父の夢であるサンフランシスコからきてるそうです。46歳の時に夫の急逝で心身ともに衰弱する日々から立ち直るために息子が残した絵画材料とキャンバスを使い絵を描き始め、2005年に91歳で亡くなるまで描き続けました。

53歳の時に大きなキャンバスの絵を描き始め、その作品は身近な花や植物や地元の公園や子供や孫たちとの旅行、故郷の思い出などを描き、そのモチーフは多種彩々です。風景画はグランマ・モーゼスに、植物や動物を描いた作品はルソーに相通ずるものがあり、さらに明るさが満ち溢れる色彩や大胆な構図には彼女の独自の世界を感じます。そして何よりモチーフに対する深い愛情を感じます。

素朴派の画家たちは、絵画の技術を学ぶ環境になく、不遇な人生を経験しながらも絵を描く情熱に満ち溢れた人々です。素朴派を代表するルソーやグランマ・モーゼスに引けを取らない独自の観察眼と色彩感覚をシスコから感じます。そのことは今回の展覧会のスタートとなった数多くの素朴派の画家をコレクションする世田谷美術館からも証明していると思います。

200点以上の大作が並ぶ会場は、まさにパラダイス!すべての作品が撮影可能ですのでお気に入りの作品をカメラに収めとどめてみてはどうでしょうか。岐阜県美術館での会期は6月26日まで、その後7月9日からの滋賀県立美術館での展覧会が最終となります。

絵を描くことに半生を捧げた人生絵日記をぜひ、あなたの手でめくってみてください。


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印象派・光の系譜展 あべのハルカス美術館

2022年03月25日 | 【美術鑑賞・イベント】

あべのハルカス美術館 (阿倍野区(大阪市)・あべのハルカス・昭和町・西田辺 美術館)の「あべのハルカス美術館 「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」前売券」の画像

20日のゴッホ展鑑賞の翌日21日アート一人旅で大阪に出かけました。アート旅の行き先は中之島美術館と今回のあべのハルカス美術館で開催中の「印象派・光の系譜」展です。今回はこの展覧会をレビューします。

今回の展覧会は、三菱一号館美術館からの巡回展で、4月3日まで開催されます。アート好き仲間からも評価が高い美術展で中之島美術館のコレクション展最終日と重ねて急遽出かけることにしました。印象派・光の系譜と題した今回の展覧会はイスラエル博物館所蔵のバルビゾン派、印象派とポスト印象派の作品を中心に展示されています。

作品としては、さほど大きな作品ではなく大作でも50号くらいの作品で10号ほどの作品が中心なっています。しかしながら時代を彩った巨匠の油彩画69点がずらりと並び一部作品は撮影OKとなっています。特に印象派の画家の作品は初来日の作品が多く、とりわけモネの睡蓮は、僕が観たモネの睡蓮の中でも細密な描写と光がもたらす陰影がはっきりとし、今までにない作品でした。全般的に言えるのですが、印象派の持つダイナミックな光の表現より緻密に描かれているように思います。

また、今回特筆できる作品として、ドイツの印象派画家レッサー・ユリィの作品が4点初公開された点です。当初は日本に馴染みのない彼は作品リストから外されていたのですがイスラエル側の強い意向で実現し、返ってユリィの存在は強く印象付ける結果となりました。4点は、窓からほのかに伝わる光を浴びた女性であったり、暮れなずむ湖畔と森、雨の輝く街灯の光や寒空にかすかに輝く街並みと光の対象はまったく異なる、他の印象派とは違う趣きで迫ってきます。彼はユダヤ人画家でナチスのユダヤ人弾圧下の大戦中に作品が散逸消失となっておりイスラエル博物館だからこそ可能な展示と言えるでしょう。彼の画家としての不遇の生涯に再び光を当てる情熱を感じます。





その他の作品は、動画でわかりやすく解説されているので、参考にしながら足を運んでみてはどうでしょう。印象派の画家たちの新しい発見があると思います。

【徹底解説】初来日の傑作が勢ぞろい!「印象派・光の系譜」を担当学芸員とハルちゃんがご案内します!!@あべのハルカス美術館


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ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント 名古屋市美術館

2022年03月23日 | 【美術鑑賞・イベント】

ゴッホ展」展覧会公式サイトのご案内 – 名古屋市美術館

映画と共に僕の日常となっているアート鑑賞、今回は名古屋市美術館で開催中の「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」をアートレビューします。

4月10日まで開催中の本展、日本でも人気の高い画家の展覧会とあって当日券を買うのにも困難な状況で僕も、アート好き仲間と一緒に予約して鑑賞しました。

今回の美術展は、世界一のゴッホ収集家である創立者故ヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人によりクレラー=ミュラー美術館の所蔵品による展覧会です。クレラー=ミュラー氏はまださほどゴッホの評価が高くない頃から美術収集を始めた方で、もっともゴッホ愛が高く、夫人なくして今日のゴッホは語れない方です。

その収集は、初期のデッサン画や油彩、パリやアルルでの画家生活に晩年のサンレミ療養院時代とゴッホの生涯を追うように収集され、またゴッホが影響を受けたミレーやピサロ、ルドンなどの作品やアンソールやブラック、モンドリアンなど彼女が愛した画家の作品も加えて展示されています。特に注目は象徴主義の巨匠ルドンの代表作「キュクロプス」が今回出品されています。

特筆すべきは、ゴッホのデッサン画の数々、独学で画家の道を目指したゴッホですが、初期のデッサン画から次第にデッサン力を高めていく過程が作品から感じ取れます。また、オランダ時代の油彩画にはバルビゾン派の写実的な要素が強く初公開となる「森のはずれ」にはその特徴が色濃く残っていました。まさにゴッホの基礎はここから育まれたと言えます。

印象派から始まり、新印象派やジャポネスクなど様々な画家の影響を受けたゴッホ、独特な色彩感覚の中に新印象派の点描画の特色あり、ゴッホの手にかかると大胆で力強く、そして色鮮やかに表現され影響を受けながらもゴッホでしか描けない世界が広がっていました。

名古屋市美術館では、過去に度々ゴッホ展が開かれていますが、今回の展覧会は美術館の歴史の中で類を見ないものでしょう。それだけに、展示空間が狭い本館にはハンデがあります。また、臨時動員されたスタッフの対応にもいささか問題があると感じました。僕自身、東京展開催の東京都美術館を知っているだけに、少しここでは魅力に欠けると考えます。炎の画家ゴッホと彼に情熱をかけたヘレーネ=ミュラー夫人には物足りないかもしれません。

ともあれ、4月10日の最終日で最後の巡回展となる名古屋展、ゴッホとヘレーネの響きあう魂の世界をぜひ目撃してみてください。


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アート紀行・美術館を巡る旅 無言館

2022年02月07日 | 【美術鑑賞・イベント】

アート紀行・美術館を巡る旅は昨年の6月に富山から長野県の長野市、上田市の美術館を巡った旅での美術館を紹介します。今回は上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」です。

今回の美術館を巡る旅で最も行ってみたかった美術館が、ここ無言館です。1997年の5月2日に開館され、先の第二次大戦で戦死した名も無き画学生130余名の作品が展示されています。森の中に佇むコンクリート作りの教会のような美術館は、鳥のさえずりが聞こえ訪れる人々を静かに出迎えてくれます。館正面横には「記憶のパレット」と題したパレットの形をした御影石があり遺作のない戦没画学生489名の名前が刻まれています。正面の扉を開けると画学生の作品が壁に掛けられ、中央のガラス展示には、画学生たちの遺品や家族や恋人にあてた手紙などが展示されています。

画学生たちは、主に東京美術学校在学中に戦地に赴いた学生で、将来を嘱望されたエリート美大生です。その作品の多くは館主の窪島誠一郎氏と画家で出征経験を持つ画家の野見山暁治氏と共に全国の遺族の元を訪ね作品を収集展示、氏と家族の思いが詰まった空間です。どの作品も、将来を夢にみて励み学んだエネルギーが満ち溢れ、清新な心と生きるエネルギーを感じます。

無言館から下ると、戦没画学生が使用した筆が埋め込まれた碑がある第二展示室の読書館があり、館内では窪島氏が収集した美術書などあり、天井には傷ついた画布と題した画学生の展示困難な作品が張り込まれています。

近くには閉館となった信濃デッサン館がありましたが、村山槐多をはじめとする夭逝の画家のコレクションは、隣接する残照館に一部を残し長野県立美術館に寄贈されています。

時の流れと共に記憶から薄れ消え行こうとする戦争の傷跡、ことあるごとにマスコミに取り上げられ注目をされても一時の流行りもののようにとられられるのは、氏の考えとは相反するものではないかと僕は思います。画学生の作品が、未来の子供たちや若者たちの心に静かに受け継がれ、平和であることの幸福を享受できる空間として残り続けてほしいなと思います。


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アート紀行・美術館を巡る旅 富山県美術館

2022年01月31日 | 【美術鑑賞・イベント】
 
アート紀行・美術館を巡る旅は昨年の6月に富山から長野県の長野市、上田市の美術館を巡った旅での美術館を紹介します。今回は富山県美術館です。
富山県美術館は、建築家・前川國男設計の富山県立近代美術館の老朽化により移転建築された新しい美術館で、前身の近代美術館のコレクションを引き継ぎ2017年にオープンしました。
向かいには市民の憩いの場のひとつの環水公園がありガラス張りの美しい景観の美術館です。
 
僕が訪れた時には、ちょうど企画展としてポーラ美術館コレクション展が開催され鑑賞者で賑わっていました。ポーラ美術館は後日紹介するとして、常設展とコレクション、施設について紹介したいと思います。
先ず目を惹いたのは三沢厚彦氏の動物彫刻が美術館を囲むように配置されており、美術館の屋上にも擬声語の意味の「オノマトペ」をテーマにした、オブジェが並び親子で楽しめる広場となっています。
館内の各部屋は、コレクションがテーマごとに展示され、コレクションの核となる20世紀美術の作品が並びます。そのコレクションは、ロートレック、ピカソ、ミロに始まり、現代美術の巨匠のポロックやベーコン、世界的な注目を浴びている三沢厚彦に船越桂の現代彫刻に、美術館のロゴマークをデザインした永井一正や、昭和時代の東京オリンピックのポスターを手掛けた亀倉雄策などのデザインポスターに20世紀の椅子コレクションなど多岐にわたります。また、美術評論家、作家として活躍した瀧口修三のコレクションも一つの部屋として展示され、近代美術館のコレクションをしっかりと継承しています。
 
今回は当館のみの富山訪問でしたが、他にも富山市ガラス美術館富山県水墨美術館など特徴的な美術館もありますので、お時間のある方は訪れてみてはどうでしょう。


コレクションの中核をなす三沢厚彦氏の現代彫刻

日本の彫刻家・船越保武の子息で世界的な現代彫刻家の船越桂氏の作品

環水公園の一角にある世界一美しいスターバックスといわれる富山環水公園店


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アート紀行・美術館を巡る旅 佐川美術館

2022年01月22日 | 【美術鑑賞・イベント】

京都での旅の帰りに琵琶湖畔で車中泊、朝訪れたのが佐川美術館です。
 
佐川美術館は、佐川急便の創業40年を記念し1998年に開館しました。佐川美術館の特色は琵琶湖畔にある美術館らしい水辺の中に佇む建築です。竹中工務店による建築は地下2階、地上1階で構成されその優れた建築は、数々の建築賞を受賞しています。
 
地上1階は現代日本画を代表する巨匠、平山郁夫画伯のシルクロードシリーズを中心に常設され、エントランスを水辺に通路には日本の現代彫刻を代表する佐藤忠良の作品が並びます。エントランスホールから向かって右手に進むと、佐川美術館の目玉である樂吉左衛門館があります。
 
樂吉左衛門は、千利休の流れを組む茶碗を作る茶碗師で樂茶碗として知られています。現在は16代が襲名し、佐川美術館の樂吉左衛門館は15代が自らの作品と茶の湯空間を設計演出し、水庭に埋設された地下空間と水庭に浮かぶ茶室で構成されています。茶室は予約制となっており、僕が訪れた時はコロナ禍により使用不可となっていました。しかしながら、地下の展示室は幽玄な雰囲気が漂う独特な空間で必見の価値があります。
 
琵琶湖観光の際には、ぜひ訪れてほしい美術館です。


水辺に浮かぶように佇むブロンズ彫刻

浮島のような茶室
 


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アート紀行・美術館を巡る旅 京都府立堂本印象美術館

2022年01月19日 | 【美術鑑賞・イベント】


近代日本画の巨匠として、また京都画壇を代表する日本画家・堂本印象が自らがデザインし設立した美術館「京都府立堂本印象美術館」が龍安寺や金閣寺の近くにあります。僕が訪れた時には春の日差しが強く差し込み白い壁面いっぱいに抽象的なデザインが施された異彩を放つ美術館です。現在は京都府が管理していますが、1966年開館当初の趣を今なお残し内部にも印象自らがデザインされヨーロッパの宮殿や邸宅をモチーフした空間は京都の伝統とはまったく異なる空間となっています。
 
 
堂本印象の作品は、日本画の伝統を継承した作品からデザイン的な書画など革新的な一面を持ち、館内に展示されている作品からもその多才ぶりが伺えます。
また、隣接する庭園には、印象がデザインした椅子の数々が設置され散策を楽しむことができます。
 
絢爛豪華な金閣寺や龍安寺の枯山水の石庭を眺められた後にでも、ぜひ斬新で奇抜な美術館を訪れてみてください。


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アート紀行・美術館を巡る旅 福田美術館

2022年01月18日 | 【美術鑑賞・イベント】
一昨年の12月に車を車中泊仕様のエブリイバンに替えました。この車に替えた目的は、仕事柄もあり美術館を訪れる機会が多く人生の後半の車が運転できるときに車中泊で全国の美術館を休日を利用して回りたいと思っていたからです。ちょうどその時に出会ったのがネキストキャンパーと言う軽キャンピングカーでした。
まだまだ仕事が忙しく年に一、ニ回ほどしか回れてないですが、僕が車中泊アート旅で訪れた美術館を紹介したいと思います。
 
今回は、京都、滋賀のアート旅で訪れた美術館を紹介します。一回目は、嵐山にたたずむ個人美術館の福田美術館です。
 


 
福田美術館は、2019年10月にオープンした新しい美術館です。京都の実業家で福田義孝氏が20年にわたり収集した江戸時代から近代にかけての日本画のコレクション約1500点を持つ美術館です。福田氏はアイフルの創業者で現在娘さんの川畑光佐氏が館長を務められています。
 
コレクションの中心は江戸時代の琳派や円山派から近代日本画の巨匠たちの作品で江戸時代の中、後期の深江芦舟、渡辺崋山作の重要文化財の屏風に俵屋宗達、円山応挙、与謝蕪村、伊藤若冲、葛飾北斎、横山大観、竹内栖鳳、上村松園、速水御舟、竹久夢二などの作家などを所有しています。
 
特に伊藤若冲、竹内栖鳳、上村松園、竹久夢二などが人気が高く、美術ファンにも羨望の的の美術館です。渡月橋から望む現代建築の美術館はすぐに目に留まることと思います。館内も蔵をモチーフにした館内は、自動扉が開くと暗室のお部屋に作品がスポットにより照らされ一点、一点集中して鑑賞できます。
 
また館内あるカフェ「パンとエスプレッソと」では、ガラス張りに窓の向こうにはモダンな水辺の中庭があり、嵐山に大堰川と渡月橋を一望できます。観光客でにぎわう嵐山ですが、天龍寺をはじめ古刹を訪れる旅のひとつに一味違うくつろぎの場として福田美術館を訪れてみてはどうでしょう。
 








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杉浦非水展 三重県立美術館

2021年12月03日 | 【美術鑑賞・イベント】
 
 


 
杉浦非水は、1876年(明治9年)に愛媛県松山市に生まれ、日本画家を目指し状況しますが東京美術学校(現東京藝大)で近代洋画の巨匠、黒田清輝との出会いデザインの道に進んだ日本におけるデザインのパイオニアとして知られています。しかし、その存在は一般的には知られていないのですが、黒田清輝により紹介されたアールヌーボやその後のアールデコ様式の図案を取り入れたデザインは非水により広く広まれたといっても過言ではありません。
 
本展は、非水の故郷、愛媛県立美術館収蔵の作品を中心に、彼の初期日本画作品にデザイン図案、三越百貨店勤務時代のポスターデザイン、書籍の装丁デザインなど多種彩々の非水作品がずらりと並んでいます。それらのデザインは、現在にも通用するモダンなデザインばかりです。
 
当然のことながら、現在のようなパソコンによるデザイン作業ではなく全てが手作業で行われていた時代、非水の傑出したデッサン力や写実力があってこその作業であることは、展示作品ひとつひとつから見て取れ、豊かな色彩表現と創作的な構図に魅了されます。
 
明治、大正、昭和にわたり戦前、戦中、戦後の変化する時代を軽やかに走り続けたデザインの革新者、杉浦非水の世界をぜひ楽しんでみてください。
 


3時のティーブレイクは併設のビググルマン、レストラン「ミュゼ・ボンヴィヴァン」のケーキの盛り合わせグランデセールはいかがですか。

フランソワ・ポンポン展 名古屋市美術館11月14日まで

2021年11月06日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日の金曜日に名古屋市美術館の夜間鑑賞で「フランソア・ポンポン展」に出かけてきました。

フランソア・ポンポンはフランスを代表する彫刻家の一人で、24才でユゴーの「レ・ミゼラブル」のコゼット像がサロンで好評を得ますが、10年後の35歳頃からエジプト美術や日本美術の影響を得て単純化された動物彫刻で自身の作風を確立していきます。また、その頃に巨匠オーギュスト・ロダンの工房で下働きをしながら様々な彫刻作品に触れることできたことも大きかったようです。

さて、今回の展覧会は、パリのオルセー美術館や出身地のディジョン美術館、群馬県立館林美術館から初期作品のコゼット像などの人物作品から最晩年の動物作品など約90点の大理石やブロンズ鋳造作品などが鑑賞できます。特に晩年のアールデコ期の作品は単純化された動物たちの特徴をやわらかな曲線で表現され愛らしくもあります。

展示作品の大半は、ポンポンの動物でいっぱい。鶏や豚、ハトなどの身近な動物から代表作のシロクマにフクロウやペリカン、キリン、ヒョウなど子供連れの方にも動物園気分で気軽に鑑賞できます。

名古屋での会期は11月14日まで、群馬展が群馬県立館林美術館で11月23日から、その後千葉展が開催予定です。めずらしい彫刻作品展をぜひ鑑賞してみてください。


ミレーから印象派への流れ 岐阜県美術館

2021年10月15日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日改装後の岐阜県美術館に「ミレーから印象派への流れ」展を鑑賞してきました。今回の展覧会は英仏海峡沿いに位置するフランスのドゥエ美術館、トマ=アンリ美術館、カンベール美術館に加えイギリスのウェールズ国立美術館から集められたバルビゾン派から印象派、新印象派、ナビ派からなるフランス近代絵画の歴史をたどる展覧会となっています。
 
展覧会の特徴としては、フランス中心部のコレクションとは異なる作風の作品が並んでいることです。もちろんバルビゾン派のカミーユ・コローやバルビゾン派のジャン・フランソワ・ミレー、印象派に影響を与えたブーダンに印象派のモネ、ルノワール、セザンヌ、ナビ派のドニにフォービスム派のアンドレ・ドランなの代表画家はもちろんのこと今回の展示の特徴として周辺画家や師匠の作品と普段馴染みのない画家の秀作が鑑賞できます。
 
会期は10月21日まで、印象派の企画の中でも一味違う展覧会ですのでお近くの方や興味のある方は是非ご鑑賞ください。