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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 BAD LANDS バッド・ランズ

2024年01月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をサブスクで観るシリーズ。今回はネットフリックスから安藤サクラ&山田涼介共演の原田眞人監督作品「バッド・ランズ」です。

 

今回の作品は原田眞人監督による現代アクション作品ですが、2022年に公開された岡田准一と坂口健太郎が共演した「ヘルドッグス」がとても面白かったので期待して視聴しました。

物語は大阪で特殊詐欺グループに所属する安藤サクラ演じるネリと山田涼介演じる弟のジョーがある3億円の闇の金を手に入れたことから様々な組織に狙われるというシンプルな内容です。しかしながら、そのシンプルさは大阪と言う町とそこに暮らす人間たちの個性がぶつかり合ってディープな人間模様が展開されます。

ネリとジョーに関わる一癖も二癖もある人間が、例えば詐欺グループの頭、高城を生瀬勝久、頭のビジネスパートナーに天童よしみ、元やくざでジャブ中の男、曼荼羅を宇崎竜童などが演じ、他にも個性的な面々が名を連ねます。ちょっと気が付かないかもですが、最近、役者としても注目を浴びているまえだまえだの兄、航基君がいたりします。

安藤サクラの板についた関西弁に山田涼介の可愛いさのある悪童ぶりも面白く最後まで楽しめる作品でした。ただ、ラストは黒川博行の原作に基づくものか少し物足りなさを感じ、似通った作品としては前作の「ヘルドッグス」に軍配を挙げたいと思います。

原田監督作品は一様に好みですが、最近はエンターテーメント色が強くかつての「クライマーズハイ」や「突入せよ!あさま山荘事件」などの骨太の社会派作品も観てみたいと思っています。前述しましたが、ネトフリ視聴可能なヘルドッグスとセットで鑑賞してみると今回の作品はもっと楽しめるのではと感じます。

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映画 PERFECT DAYS

2024年01月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本年最初の映画レビューは、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演のPERFECT DAYS-パーフェクトデイズです。

今年から少し映画鑑賞のペースを緩めようと思います。僕にとって映画はライフスタイルのひとつで決してすべてではないのですが、何か追われるように新作映画を観てきましたが、65歳を迎える年を機に本当に観たいなと思う作品だけを映画館で観ようと思います。今はサブスクでも見逃していた作品をありゆったりと楽しんでいきます。

そんな今の僕の気分にぴったりの作品をヴィム・ヴェンダーズ監督が届けてくれました。

パーフェクトデイズの主人公・平山は、都内の公共トイレの清掃人。浅草の旧いアパートに住み隣人の掃き掃除の音で目を覚まし長年にわたり身に付いた習慣の中で日常を送ります。僕にとってはそうしたありふれたに日常が美しくおしゃれに見えます。また、平山に所作から彼の過去が想像されます。劇中の平山はほとんで語ることはなく、彼と関わる人々とも話すことは少ない。でも決して人間関係に距離を置いてはいないのが彼の素敵な一面です。彼のはにかむような笑みがそれを物語っています。

予告編を観れば、単なる一人の清掃員の日常を描いた、人によってはつまらない内容に思えるかもしれません。そこは名匠監督、日常の中で起こる些細な事件の中で彼の過去が徐々に浮き彫りになってきます。その衒いのなさが心地よいです。その心地よさが、木洩れ日なんだなと感じました。

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映画 #マンホール

2023年12月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVD(改サブスク)で観るシリーズ。今回は中島裕翔主演の「#マンホール」です。

今やジャニーズ問題もあってか、あまり出演がない中島裕翔君ですが、役者としての演技力はかってる私。今回はネットフリックスで視聴しました。数々の若手俳優を起用してきた熊切和嘉監督とライアーゲームやマスカレードシリーズなどエンターテーメント作品の脚本で知られる岡田道尚氏がタッグを組んだ作品です。ハッシュタグ・マンホールがこの作品の肝です。

物語はエリート営業マンの川村俊介が社長令嬢との結婚式の前夜、会社のお祝い会の帰りにマンホールに落ちてしまいます。スマホのGPS機能で警察に場所を知らせるも場所が不明。月明かりの中のかすかな地上の映像を頼りにマンホール女のアカウントでSNSでの協力を仰ぎます。そしてマンホールの場所を突き止めますが、そこには予想だにしない展開が待ち受けています。主演の中島裕翔もかなりの迫真の演技です。ちなみに永山絢斗に奈緒、黒木華が共演してますが、どこで出てくるか注目して観てください。

当初はスマホの機能を駆使してマンホールから脱出を試みる俊介のパニック劇と彼を取り巻く人間との群像劇が展開されるサバイバル作品に思えますが、なな何とそこには巧妙に作られたサスペンスホラーの結末が。99分間ほぼ俊介ひとりの登場人物でありながら、一気に過去がめくり取られ斬新さがなかなか面白い内容でした。今年の2月公開から年末にこんな面白い作品を観れるとはネットフリックさん感謝です。ただし、ネットフリックスさんには苦言を呈しますが、新作映画の質と量では今やアマゾンプライムが群を抜いてます。

と言うわけで次回は映画館で観た作品の中から年末年始おすすめの映画をご紹介したいと思います。

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映画 首

2023年12月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、北野武監督作品の「首」です。

ここのところ忙しさにかまけて、映画レビューもできずにいました。と言うか映画館に行く時間もなかったのが事実ですが、たまたま仕事でのトラブルが円満解決したので帰りに映画でも観ようと賛否両論の「首」を観ることに。北野作品はヨーロッパでは無条件に高評価で意外と日本では賛否が分かれるところ。ただ個人的には好き嫌いの単純なところではないかと思っています。

今回の作品はアウトレイジシリーズの時代劇版のイメージかなと予測しながら鑑賞しましたが、ところが随所に時代劇に対するアンチテーゼ的な意味合いの強い作品でした。

物語の主題は明智光秀による謀反、本能寺の変前後を描いていますが、タイトルの首にあるように次々に首が飛びます。また歴史の闇の部分である武将同士の性愛を中心に描き戦国武将のヒーロー像を真っ向から否定しています。それは秀吉や尾張武将が使う尾張弁が信長だけに誇張されている部分も信長の傍若無人ぶり際立たせています。また、女性の登場がほとんどない点も特徴的です。

登場人物として面白かったのは元甲賀忍者の芸人として登場する木村祐一や忍者の郷の奇々怪々な棟梁多羅尾光源坊役でホーキング青山のなど芸人の生かし方が強く印象に残る演出でした。

北野ファンなら、ラストはらしい演出だと納得されたかと思いますが、僕が一番は信長の首の行方。ネタバレになるので控えますがひとつの説に監督らしい演出を残し、きれいごとでは済まない乱世をテーマに最後までぶれずに通したことはあっぱれでした。反面、戦国武将を敬愛し歴史ロマンに胸を打つ人々の反感を買うことは一目瞭然ではあります。

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映画 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

2023年11月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、スコセッシ監督最新作でディカプリオ主演、デ・ニーロ共演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」です。

3時間28分に及ぶ長編作品は1920年代の西部劇サスペンスで、ベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作を基に制作されていますが当初は、事件を捜査したFBI捜査官を主人公に制作予定でしたがディカプリオの助言により主犯格の共犯者で甥のアーネストを主人公に替えて再構築された映画になったというエピソードがあります。

石油発掘により巨額の富を得た先住民のオーセージ族とその利権を奪おうとするロバート・デ・ニーロ演じる主犯格のウイリアムスとレオナルド・ディカプリオ演じるアーネストを中心に犯行の過程と事件解決にいたった二人の苦悩と確執を描いた作品です。

その苦悩の大きな要因となっているのが、巨万の富を得た女系家族の娘モーリーの存在。ネイティブアメリカンであるリリー・グラッドストーンは新しい家族を得た夫への愛情と彼女に徐々に魅了されるアーネストとの関係が強く印象付ける演技を持っていました。

僕自身も決して長いとは感じずデ・ニーロとディカプリオの現在地での演技を生かしたスコセッシの手腕を感じましたし、あえて犯行側から描いたことで監督作品の特色であるマイノリティーへの偏見と弾圧のアメリカ黒歴史を今の時代にあった視点にアレンジしていると感じています。

どうも原作を読んでる方の批評は辛口のようで逆に大作としてではなく、原作に忠実なミステリー色の強い作品を観てみたいなと思うので違う監督で再構築してほしいなと思います。

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映画 月

2023年11月01日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、石井裕也監督、宮沢りえ主演の映画「月」です。

今回の作品は、実際に起きた障がい者施設殺傷事件を基にした辺見庸の同名小説を原作に舟を編むの石井裕也監督が脚本によりもので、新聞記者で知られる河村光庸氏の突然の死により実現が難しくなりましたがようやく実現にこぎついたものです。

物語は、宮沢りえが演じる元人気小説家の堂島洋子が、定職につけない夫との生活を支えるために重度障がい者施設に働き、作家志望の陽子やさとくんと呼ばれる青年と共に働く中で入所者たちへの同僚のイジメや隔離された入所者や寝たきりの入所者などとの出会いを通じて、正義とは何か使命感とは何かを問う内容となっています。

と、書けばとても清々しい内容のように思いますが、見たくないものにふたをしてしまう人間の偽善的な心根を突き付けられ重苦しさだけが残る感覚を与えます。そして実際に起きた傷害事件の中で語られる加害者の言葉に対して、どう立ち向かい進んでいくかを問われるのです。

主人公洋子や二階堂ふみが演じた同僚の陽子、後に加害者と磯村優斗演じるさとくんが抱えるものの重さも相まって、それぞれの迫真の演技も見事で映画での救いは夫演じるオダギリジョーとの家族の決断が突き付けられた刃からふと胸をなでおろす瞬間を感じました。

しかしながら、この映画を通じて心の中にあるわだかまりだけは持ち続けていかなければいけないと思い、こうした映画の存在価値を強く持ちました。

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映画 バーナデット ママは行方不明

2023年10月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、ケイト・ブランシェット主演でリチャード・リンクレイター監督の「バーナデット ママは行方不明」です。

TARでの孤高の女性指揮者の演技が今も強く残るケイト・ブランシェットですが、今回の役どころは打って変わって元天才建築士で今は主婦で周囲になじめない女性を好演しています。

バーナデットはIT企業に勤める夫と親友のような娘ビーとシアトルに暮らす主婦。彼女は極度の人間嫌いで娘の学校への送り迎え以外は古い城のような邸宅に引きこもっています。そんな彼女もかつては天才建築士と名をはせ仕事に意欲的に取り組んでいた。そんなある日、娘の同級生とのトラブルが重なりある事件をきっかけに突然行方不明に。彼女の向かった先はなんと南極だった。

前半は彼女の人間嫌いの行動がコミカルに描かれ、やがて天才建築士として華々しい活躍から一転、夫の出会い機に主婦となった経緯が徐々に明かされていきます。そして引きこもりだった彼女が事件をきっかけに南極へ。そして再び生きがいと家族との絆を掴むヒューマンドラマになっています。ストーリー展開も緻密でありながらテンポもよく明快で演者の絡みも楽しいです。

セクシーさと優美さを兼ね備えた女性を演じたら抜きんでる演技力を持つケイト・ブランシェットからは想像できないくらいな感傷的でキュートな彼女がとても新鮮でした。また、娘ビーを演じたオフブロードウエーで子役時代から腕を磨いたエマ・ネルソンもケイトに匹敵するくらいの名演でした。

笑いの中で育まれる愛情と離れたことでわかる家族愛にほろりと涙する秀作です。

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映画 ふたりのマエストロ

2023年09月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、マエストロ親子の確執と愛を描いたフランス映画「ふたりのマエストロ」です。

フランス映画は人間愛を描いた作品が多く、また音楽をテーマにした作品を数多く存在します。今回の映画も名指揮者として名を馳せた二人の親子に突如起こった事件をきっかけに、ライバル関係でもある親子の確執から家族愛へと進むヒューマンドラマです。監督は俳優としても知られるブリュノ・シッシュ、プロデューサーに「コーダあいのうた」のフリップ・ルースロが担当しています。

パリのクラシック界で指揮者として地位も名声も得た父フランソワと息子ドニ。二人は性格も異なり、とりわけ父は息子に対してライバル心を強く持ち、ぎくしゃくした関係が続いてます。そんなある日、父フランソワに夢であったミラノ・スカラ座での音楽監督の依頼が飛び込んできます。しかし、その依頼は息子のドニへの依頼でスカラ座総裁は、父への間違いを、なんとドニから伝えてほしいと頼みます。

今回の映画は2011年のイスラエル作品「フットノート」のリメイクでフットノートでは学者親子の有名な賞の受賞間違いの設定ですが、設定を変えたことでフランス映画らしい仕上がりになっています。また、一度は耳にしたであろうクラシックの名曲が流れ、また作中でドニが参考にするスカラ座での小澤征爾の映像が流れるなど、誰もが親しみを持つ演出になっています。

ストーリー展開もシンプルで上映時間も短いですが、ラストでのスカラ座での演奏がこの映画の全ても物語っているようでした。観る価値は大いにある映画です。

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映画 福田村事件

2023年09月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、関東大震災から100年、森達也監督初の劇映画作品「福田村事件」です。

FAKEやA2など数々のドキュメンタリ作品を手掛けてきた森達也監督が9月1日の関東大震災100年を機に公開された監督初の劇映画が今回の福田村事件。震災直後に起こった官憲や自警団による朝鮮人やや中国人、共産主義者への虐殺事件が起こったことは当時の報道で明らかとなっていましたが、千葉県で起こった薬の行商人15名が自警団に朝鮮人と間違えられ子供や妊婦を含め9名が虐殺された福田村事件はあまり知られてないように思います。

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物語は日本統治下の京城ソウルを離れ故郷の福田村に戻った井浦新と田中麗奈演じる澤田智一と静子。澤田夫妻は日本軍が犯した朝鮮人虐殺を目撃していたが口をつぐんでいた。9月1日関東地方に大震災が起こり、朝鮮人が暴動化、戒厳令がしかれ村でも自警団が結成される。そんな中で永山瑛多演じる沼部率いる行商団一行が福田村を訪れるが。

森監督は、事件が起こるまでの過程を詳細に描き事件から目を背けることなく描いています。また映画製作にあたり誰も出演してくれないかと危惧していたそうですが、井浦新、田中麗奈、永山瑛多、東出昌大などが主要なキャストを快諾したように、難しいテーマに挑んでします。

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また制作スタッフには井浦も参加していた若松組の面々が顔を揃え、思いを同じくして森監督をバックアップ。主要キャストの他にも事件団の中心人物に水道橋博士やピエール瀧、水曜日のカンパネラのメンバーであったコムアイなど個性的な俳優陣の演技も注目です。

今回の映画は事件の背景から朝鮮人差別の問題だけがクローズアップされ論議が偏りがちですが、パニック化に起こる人間の憎悪や戒厳令による権力統治のあり方、また日本人の根底にある過去の身分制度による差別意識など様々な問題を浮き彫りにしながら展開された深みを感じました。そこにはドキュメンタリーの世界で培われた森達也監督の客観的な視野が劇映画の中に生かされているように思います。

ぜひそうした目線でこの映画を鑑賞し、闇に葬られ知られることがなかった事件の真実に目を向けてほしいものです。

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映画 アステロイド・シティ

2023年09月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日のレビューは、ウエス・アンダーソン監督の最新作「アステロイド・シティ」です。

 

ウエス・アンダーソン最高傑作のひとつとの呼び込みの本作。そもそも最高傑作のひとつって最高傑作は一つだけでしょうと突っ込みを入れたくなりますが、そもそも僕も含めて好きな監督の最高傑作って、それぞれに違うし、特にこの監督の場合は何が最高傑作の要因なのか不明だと思いますが、ファンの皆様はどう思いますか。

で、本題に。舞台は1950年代の隕石が落下して巨大なクレーターが観光名所の砂漠の町アステロイドシティ。この町に5人の少年少女の化学発明家の授賞式に家族と共に招待されます。授賞式の当日に突如宇宙人が舞い降りて大混乱に。町は封鎖され軍が事実を隠蔽、宇宙人が敵でないことを外部に伝えようとします。

この事態を監督らしいカラフルな映像とコミカルな内容で進めていきますが、今回は冒頭にモノクロームで実は物語は戯曲によるものだと伝え、表と裏の関係で進んでいきます。今回の主人公は妻を亡くしたジェイソン・シュワルツマン演じる報道カメラマンが発明家の息子と三人の娘、そしてトム・ハンクス演じる妻の父親とのやり取りで進みますが、宇宙人出現からスカーレット・ヨハンソン演じるシングルマザーとカメラマンとのやり取りに変わり、これまた監督得意の観る人を意味不明の混乱に陥れる状況に展開していきます。

まあ、その意味で言えばウエス・アンダーソンらしい作品で最高傑作のひとつでしょうが、あらかじめフィクションだと宣言してポップなカラーとモノクロームの両面世界を描いたところは今までにない新鮮さがありました。内容は決して深くはありませんが、出演者の喜怒哀楽のない演技や作り物とリアルな風景を融合した映像は観てるだけも十二分に楽しめます。僕にとっては、そんなアート的な要素がたまらない映画でもあります。

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映画 ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

2023年08月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、みんな大好きのトム・クルーズの「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」です。

ちょっとレビューが遅れましたが、今回はトム・クルーズ主演のミッションインポッシブルシリーズ最新作「デッドレコニングの前編」です。レビューと言ってもトム・クルーズ大好きな僕にとって無条件に絶賛です。

内容は恒例のミッションを遂行するのですが、今回は今が旬のAIとの戦いです。時を同じくして全米俳優協会がAIに危機感を持つ大規模なデモが行われましたが、今回の作品はトム自らがデモの先頭にたって戦っているような作品です。

過去の映画のオマージュを物語の中に組み込んだ、カーチェイスや断崖からのバイク飛行、列車の上での格闘技など、今ならCGを駆使すれば難なくできるシーンも実在の場所で実在のものでそしてトム自らがスタントに挑む完全無欠の還暦オヤジぶりが十二分に発揮されています。今やトム以外に、いくつものスタントを実行できる俳優はいないと断言します。それほどに彼の日ごろからの鍛錬が壮絶なのかがわかります。前編だけで164分の超大作。いまから秋公開の後編が楽しみです。

スピルバーグはトップガン・マーヴェリックの大ヒットに「君がハリウッドを救った」と賛辞を贈るのも納得です。映画の持つ楽しさや劇場での非日常の楽しみを与えてくれる唯一無二の存在トム・クルーズをみんなで応援しましょう。

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映画 CLOSE/クロース

2023年08月11日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、ルーカル・ドン監督の最新作でカンヌコペティション部門でグランプリを受賞した「CLOSE/クロース」です。

前作のガールではトランスジェンダーの青年がバレリーナを目指す姿が感動的でしたが、今回は打って変わりフランスの農村地域を舞台に幼なじみで13歳の二人の男の子が、入学先で起こる些細な言動がをきっかけに起こる悲劇からの再生を描いた人間ドラマが展開されます。

主人公のレオとレミは演技経験が少ないながら、幼き頃から親密な関係を揶揄されたことで起こる少年の心を揺れを見事に演じていて、美しい田園地帯を舞台に濃密なドラマが展開されていて感動的です。また家族の関係や教師や生徒などの関係が成熟した社会を感じながら物語のテーマを明確にしており好感を持ちました。

今回の作品では前作の印象が強いのか、ある評論家は同時期に公開されカンヌでも評価が高かった是枝監督の「怪物」と重ね合わせ歪曲した評論をしていて少し不愉快な思いを持ちました。今回の「クロース」は誰もが感じる少年の親密さがもたらす誤解が一因しています。誰の目にも、怪物は日本に根差している社会問題がテーマでクロースは思春期に起こる子供たちをテーマにしていることは明白です。社会問題で比較するなら日本とフランスの教育の違いを感じます。

ルーカス・ドン監督は、誰もが起こるであろう悲劇からの再生を美しい情景と絡めながら、心の奥底に染み入るような青春ドラマを描き出しました。新しいカタチの青春劇をぜひ鑑賞してみてください。

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映画 リバー、流れないでよ

2023年07月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、京都で活躍する劇団ヨーロッパ企画による2分間のタイムループで話題の映画「リバー、流れないでよ」です。

カメラを止めるなに代表される小規模上映からSNSによる口コミで人気ヒットとなる作品が生まれるケースが増えてきました。今回の作品も京都で活動する劇団ヨーロッパ企画による映画作品で、僕は観てなかったのですが、前作の「ドロステのはてで僕ら」に続く二作目の映画になります。

舞台は京都の奥座敷貴船に佇む老舗旅館ふじや。旅館の女将と従業員、宿泊客が2分間のタイムループ(繰り返される再生)に翻弄され抜け出そうと奮闘する群像劇です。出演者は主人公の仲居ミコトをはじめヨーロッパ企画メンバーに加え、女将に本上まなみ、小説家に近藤芳正などの中堅俳優に事件のカギを握る女性に乃木坂48の久保史緒里と多彩な顔ぶれと冬の貴船神社周辺だけのロケで展開されます。

繰り返す2分間のタイムループは、コミカルかつ斬新なアイデアで観る人にほんわかな笑いを誘い、老舗旅館と言う非日常と京都との情緒があいまった飽きることのない演出がヒットの要因ではと思います。最後の落ちも賛否はありますが、誰も傷つけないコメディに落とし込んだ作品としてはありかなと思います。

コロナにより、ミニシアターが閉館に陥る中で老舗旅館の全面協力により低予算で作られた本作。映画から配信で収益をもたらすメジャー作品と比べ、終了と共に忘れ去られる存在となるのが常です。これからも映画館が持つ文化的な役割として地域に根差すように長期的に上映されることを願ってやみません。

先ずは上映館をチェックして鑑賞してみてください。きっと映画の持つ楽しさが発見できると思います。

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映画 エゴイスト

2023年06月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、鈴木亮平&宮沢氷魚共演、松永大司監督の「エゴイスト」です。

今回の映画は2月に公開されロングランヒットを続けている作品で、先日岐阜のミニシアターで鑑賞しました。高山真氏の自伝的小説を原作としてゲイのカップルと家族、その周辺の人々との関係を描いており、ヨーロッパでは近年同性愛をテーマにした作品が数々紹介される中で日本でもここまで描き切ることがことが出来た力作です。

14歳で母を亡くしゲイであることを隠して学生時代を過ごし上京して編集者として成功を収めている鈴木亮平演じる浩輔とシングルマザーで病弱の母(阿川佐和子が演じてますがこれもいい)を支えながらパーソナルトレーナを目指している宮沢氷魚演じる龍太と出会い、二人の愛を育んでいく過程を描いています。と、ここまでしか書くことが出来ないほど衝撃的で濃密な愛のかたちがあり涙を誘う内容でした。

こうした作品はゲイカップルを演じた二人の熱演だけがクローズアップされ、好奇心が先行しがちですが、ゲイであることを隠しながら思春期を過ごし富を得てオープンにして人生を楽しんでいる浩輔と母のために人生を捧げながらも浩輔との出会いにより心の奥底にある性と葛藤する龍太、陽と陰が重なりあったときに生まれた新たな愛のかたちに心揺さぶられる人はいないと思います。

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映画 怪物

2023年06月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、是枝裕和監督、坂元裕二脚本による話題の映画「怪物」です。

はじめに率直な感想として凄いもの見せてもらいました。個人的には是枝作品の中ではベスト1です。

物語は大きな湖のある小学校。安藤サクラ演じるシングルマザーの麦野早織は帰宅した息子の湊の姿を見ていじめにあっているのではないかと学校に抗議をします。子供同士のけんかに思われたいじめは、クラスの星川依里の証言で担任教師の保利によることとなり、保利は責任をとり辞職。事態は収まったかのように思われた矢先、湊と依里が忽然と姿を消してしまいます。

物語は前段での一連の流れから、二人の蒸発を境に流れの中にある真実の事象が明かされていきクライマックスを迎えます。こうした手法はミステリー映画の中ではよく使われる手法ですが、是枝と坂元がタッグを組むとここまで繊細に濃密な展開になかるのかと感嘆します。しかも、子供たちのみならず、教師や親までそれぞれが抱えていた問題が白日の元に晒されていくのですが、誰一人として悪人として描かれておらず、すべての事象が美しい線で繋がっていきます。その線を繋いでいくだけでも十二分に楽しめる作品ですが、主役を演じた湊役の黒川想矢君と依里役の柊陽太君がまばゆいほどに光り輝いていました。さらに言えば音楽を担当し遺作となった坂本龍一の美しい旋律が映画の見えない演出に深く関わっています。

子役を使い社会の問題に鋭くメスを入れる是枝監督と若者たちの心の機微に深く入り込む坂元脚本による見事な化学反応を起こし珠玉のヒューマンミステリーが出来上がりました。映画ファンのみならずすべての人に見てほしい映画です。

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