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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 初恋:新しい初恋の行方

2024年10月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、ネットフリックスで配信の2020年公開作品で三池崇史監督、窪田正孝主演のバイオレンス恋愛ドラマ「初恋」です。

今回の作品2019年にカンヌやトロントなどの数多くの映画祭で絶賛され、2020年に逆輸入のかたちで公開されたのですが、見逃していたことを今頃になって思い出しました。ネットフリックスさん感謝です。三池監督作品は好きな方ですが、バイオレンスが先行していて、おそらくは恋愛ものの記憶はありません。で、タイトルが初恋。主演が窪田正孝。どんな作品に仕上がっているのか興味津々でしたが、期待以上の三池流恋愛ドラマでした。

物語は、天涯孤独の天才ボクサー葛城レオ。格下相手にダウン負けを屈し更に脳腫瘍が見つかり余命宣告を受けます。失意の中で路上で助けを求める少女モニカを助けたことから、刑事とヤクザ、チャイニーズマフィアが絡む抗争に巻き込まれてしまいます。

レオとモニカの逃走劇が、大森演じる刑事と組織を裏切るヤクザ演じる染谷、さらに裏切りの犠牲となった恋人の恨みを晴らすベッキー演じるジュリ、さらにマフィアとの抗争で服役、出所した内野聖陽演じるヤクザ幹部とそれぞれの思惑が複雑に絡んで随所にワクワク感が持続、さらに三池監督オリジナルのバイオレンスが爆発します。染谷のコミカルかつ残忍な演技とベッキーのイメージを180度転換させる獰猛で狂気に満ちた姿は圧巻です。他にも滝藤賢一、ベンガルなどチョイ役的存在ながら、物語の鍵を握る配役で監督らしい空気感が漂ってました。

こんなにヤバイ映画を作るなんて、さすが三池監督。そして体を張って挑んだ俳優陣たちに拍手喝采です。観て損なしの作品ですので是非鑑賞ください。

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映画 Cloud クラウド:ノンストップバイオレンスホラー

2024年10月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは黒沢清監督、菅田将暉主演の「Cloud クラウド」です。

菅田将暉を主演に迎え、初っ端から転売屋吉井として叩いて買った商品を高額で売り飛ばす悪い菅田が登場。表向きは工場で働く無欲な青年を演じながら、転売屋として己の欲望を昇華していく青年の本当の姿がむき出しになっていきます。

そして、彼を成敗しようとする男たちは、かつての被害者たち。人生を狂わされた市井の良い人。銃やライフルで吉井を狙います。そして吉井と共に男たちに立ち向かうのは吉井がクビにしたスタッフの青年佐野。佐野を演じるのは、長澤まさみ主演の映画マザーでデビューを果たした奥平大兼で謎めいた過去を持つクールな青年の裏の顔が出ることで物語はノンストップバイオレンスへと進みます。

端正な顔立ちの菅田と奥平は、どこか共通の雰囲気を醸し出していて二人の演技に惹かれます。また、彼を狙う人物たちも、岡山天音、荒川良々、窪田正孝など、およそ悪人とはかけ離れていて、そこも魅力的でした。よくよく考えてみると裏稼業で成立する構成で、裏の世界に足を踏み入れた人々の転落が描かれているようです。

黒沢清監督と言えばサスペンスホラー作品のイメージが強いのか、今回の作品も予告編から、かなり期待値が高くなったと思います。そのことで評価を低くしてしまった感を否めません。個人的は個性豊かな旬の俳優陣を起用したノンストップバイオレンスの実験的な作品ではなかったかと思います。果たして黒沢監督の真意の程は。

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映画 赦し:重い問題に取り組んだ力作

2024年10月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは2022年作品で彩プロ配給の「赦し」です。

最近Amazonプライムでいち早く日本映画の秀作が観れるようになりました。今回の作品も劇場公開が限られ時期を逃した作品で、未成年の殺人事件で20年の量刑を課せられ服役中の女性囚の再審裁判による被害者家族のその後の人生と再審による生まれる葛藤と救済を描いた裁判劇です。

主演の松浦りょうは、中島哲也監督の映画「渇き。」でデビュー。今回はいじめにより同級生を殺害した女囚役、福田夏奈として、その冷めた瞳とは裏腹に自らの罪を認めながらも、新たな弁護士の思惑と憎悪に満ちた被害者の父と対峙する難しい感情を見事に演じています。また被害者の母親にはMEGUMIが新しいパートナー役に藤森慎吾が担っています。

裁判の過程でわかる様々な現実事象が詳細に描かれ、殺人の罪は赦されないものの、そこに至るきっかけが最後まで明かされることなくす進む手法が、今回の裁判劇を客観的に見る要因につながっていき、赦しの持つ意味を強く印象付けるものとなりました。

見る側が被害者の立場となって考えた時に、あなたはどんな結論を導き出すでしょうか。

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映画 ラストマイル:時代を先取りしたパニックサスペンス

2024年10月01日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回はロングランヒットを続けている映画「ラストマイル」のレビューです。

満島ひかりと岡田将生主演の本作。ドラマ「MIU404」と「アンナチュラル」のキャストを加えた爆破テロによる4日間を描いたパニックムービーとして展開されます。

巨大ショッピングサイトのブラックフライデーの前夜。段ボールが爆発する事件が起きます。犯人は12個の爆弾を仕掛けたと予告。巨大物流センターのセンター長に着信したばかりの満島演じるエレナと岡田演じるチーム長の梨元は事件の収拾に奮闘します。

物流の2024年問題をベースにした内容は、ネットショッピングに直接かかわる自分としても深刻な問題で、爆破テロが細微に紐づけされたパニックと労働環境を通じた人間ドラマはなかなかの出来栄えです。

爆弾収拾に奮闘する当事者や二つのドラマを作り上げた事件解決も良く出来てると感じました。とは言っても、ドラマの内容を知らずとも十二分に楽しめる内容になっています。ラストまで目が離せない展開と当事者たちの人間ドラマも素敵です。

ぜひ、まだ観てない方も劇場で楽しんでください。

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映画 愛に乱暴 :繰り返す性

2024年09月11日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、江口のりこ主演、吉田修一原作の「愛に乱暴」です。

無表情さの中に独特な存在感が光る女優、江口のりこ。ドラマではユーモラスな配役が多い彼女ですが、今回はじわじわと来る恐ろしさを持つ主婦を演じています。一方、共演の小泉孝太郎は真面目で冷静な役柄が多いですが、今回は優柔不断で妻に無関心で愛人と二重生活を送る夫を演じています。さんかく窓の外側は夜の森ガキ侑大が監督を担当しています。

母と別世帯で暮らす元キャリアウーマンの妻、桃子は、口数が少なく無関心を装う夫の真守との間で子供を授かることを願いながら日々の料理や趣味の石鹸教室の講師として生活を送ってます。そんな中でゴミ捨て場の不審火や愛猫が行方不明になるなどの事件が起こり、夫の告白により日常が崩れていきます。

吉田修一原作の映画「悪人」や「怒り」などの犯罪小説をベースにしたヒューマンドラマは衝撃的で今も記憶に深く残っているのですが、今回の作品はまったく異なる日常を舞台にした主人公の乱暴さが描かれています。作品の全般は桃子の日常だけが描かれているだけで表面には退屈です。しかし、夫の告白から、桃子の感情がむき出しになっていきます。

そのキーワードとなるのが、産婦人科の通院、現れることのない猫、そして桃子がスマホで見る不倫アカウントです。そのキーワードが結びつくことで彼女と夫との間にある隠された過去による性が現れてきます。実は二人の愛憎劇が隠されていることに気付き繰り返す性にこの映画の面白さを感じます。そして江口のりこだから更にその面白さが増すのです。

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映画 キングダム 大将軍の帰還 圧倒する存在感が光る

2024年09月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、シリーズ最終章「キングダム 大将軍の帰還」です。

公開から一か月を過ぎて、そろそろ余裕で鑑賞できるかと思っていたのですが、台風一過の状況にも関わらす結構鑑賞者で賑わってました。キングダムの人気を伺えます。

さて今回の大将軍の帰還は、みなさん知っての通り、山崎賢人演じる飛信隊の信が中心ではなく、信が尊敬崇拝する秦国の大将軍、大沢たかお演じる王騎が主役です。前作で突如現れた趙軍の総大将、吉川晃司演じるほうけんとの因縁を中心に描かれ、壮絶な戦いがくり広がられていきます。

王騎とほうけん、二人のキャラクターは正に原作から飛び出したようなキャラクターで、まさに総大将にふさわしい存在感です。二人は正に陽と陰。さらに二人の因縁が徐々に浮き彫りになると否応なしにヒートアップしていきます。また、その戦い方も相反しお互いの持つ動の部分が全く異なり魅力的です。しかしながら、やはり王騎の力量と人心掌握術、更にリーダーとしての言葉の魅力とすべての面で大将軍としての要素を備え、その姿を見事に大沢たかおは演じています。

巷では原作の王騎を越えたと称賛されてますが、原作の持つ圧倒的な存在感あってこその演技であると感じます。原作を読み観ているファンには、今回の作品がひとつの区切りとなるのは確かですが、春秋戦国時代の壮大な歴史ロマンを知るにつけ、まだまだ魅力的なキャラクターをいかに実写に結び付けてくれるか期待するところです。

最近では、東京リベンジャーズやゴールデンカムイなど人気コミックの実写化が進んでいますが、僕は少し違和感を持ちました。キングダムシリーズはコミック原作の実写版史上、この作品を超えるものは当分の間出てこないと思います。最終章として区切りをつけても僕は新章へと続くことを信じて待ちたいと思います。

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Netflix ドラマ 地面師たち 時代を映すバイオレンスミステリー

2024年08月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

Netflixシリーズ「地面師たち」キャスト・あらすじ【まとめ】|シネマトゥデイ

ここのところ、Netflixの新作を鑑賞し結構自分の中でバズってます。今回は世間的にもバズってた「地面師たち」です。

 

地面師の説明は動画でおわかりかと思います。内容は新庄耕の原作を基に大根仁監督、脚本で構成されています。事件のモデルは2018年に大手住宅メーカー積水ハウスが50億円をだまし取られた詐欺事件。

地面師たちの中心人物でフィクサーでもある豊川悦司演じるハリソン山中を中心に実行犯である辻本匠海(綾野剛)竹下(北村一輝)麗子(小池栄子)後藤(ピエール瀧)の事件にある背景を詳細に描きながら、犯人像に加え事件を追う人、騙される人も個性的で、とても魅力的です。

また、過去の詐欺師事件をモデルにした作品に関連し、一部では実際の事件からの膨らませ方に疑問を持つ方もいるようですが、例えば最近話題となっていたルフィ強盗事件も絡めながらも、あくまでも都市伝説的な手法でエンターテーメント性においても秀逸な出来栄えです。

ハリソン山中の存在は地面師の枠を越えた存在でダークヒーローの要素も兼ね備えています。ひょっとしたら原作を越えて新しい犯罪映画が生まれる予感がします。僕としては大根仁オリジナル作品として期待感が大です。

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映画 お隣さんはヒトラー? 新感覚のナチス映画

2024年08月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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夏休み期間の映画館は、親子で賑わいますね。今も昔も変わらない光景に、映画館は娯楽文化として根強い人気があることに映画ファンとしては嬉しいです。この時期は混みあうので、ゆったり鑑賞したい僕としては、コアな作品を鑑賞するのですが、僕の映画のライフワークであるホロコーストをテーマにした作品「お隣さんはヒトラー?」が公開されています。

 

舞台は南米コロンビアの田舎町。ホロコーストを生き延びた初老の男が一人住んでいます。そこに空き家になっていた家に一人の男が引っ越して来ます。土地の境界線トラブルで亡き妻の愛したバラを奪われた男は、隣人の風貌を観てアドルフ・ヒトラーであることを確信します。男は証拠を集め、そして決定的な証拠となる自作の絵を入手するのですが。果たして彼は本物のヒトラーでしょうか。

今回の映画はヒトラー南米逃亡説に基づいて描かれているのですが、身体的な特徴から趣味嗜好にいたるまで詳細に描くことで家族を奪われた男の執念をコミカルに描いています。残酷な過去を忘れたい自分と突如現れた敵に立ち向かう自分のなかで、ラストに語られなかった事実が向けられる。過去の作品にはない特徴が今の時代にピタリとはまる作品です。

戦争による敵と味方、勝者と敗者、そして犠牲となった個々人。映画のラストはそれを明らかにしています。

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映画 メイ・ディセンバー ゆれる真実:の行方

2024年07月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ノンフィクションをフィクションに昇華したサスペンス映画「メイ・ディセンバー」は二人の女優により更にメタモルフォーゼされた。

 

1990年代に実際にアメリカで起こったメイ・ディセンバー事件。日本でも36才の女性教師と13才の生徒が性犯罪事件としてスキャンダラスに報じられたが、その後、獄中出産と出所後に結婚し家庭を築いていた。今回の作品は、事件を基にフィクションされた原作を基にキャロルのトッド・ヘインズ監督に主演のナタリー・ポートマンが制作に加わりジュリアンムーアが妻役として映画化されたもの。

映画は、妻グレイシーと夫ジョンは、結婚20年後に家庭が舞台。二人を取り上げる映画が製作されることになり、妻役を演じることになったナタリー・ポートマン演じるエリザベスが周辺を取材し二人と関わることで起こる心理サスペンス。

実際の事件でも犯罪か純愛かで意見が分れたが、嫌がらせを受けながらも平穏な家庭を築いていたところに、演技への執念を燃やす女優により、夫婦の奥底に眠っていた疑念と不安が湧き出す様相が作品の醍醐味とも言え、ジュリアンムーアとチャールズ・メルトンの好演が光っていた。その意味でもナタリー・ポートマンの存在は決して前に出ることなく演じきっていたのではないか。

ある評論家は事件の当事者に対し配慮を欠いたと辛辣に述べているが、映画自体がモデルであってもフィクションを原作にしていること。また、当時メディアに頻繁に登場し、もはや公的な存在に近かったことなどを鑑みればその意見は当てはまらないのではと思う。他にも細部をこけ下す映画ユーチューバーもいたが、観る前に気持ちを萎えさせる行為の方が程度が低い。

自分の目で確かめてみて良かったと思える作品でした。

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映画 朽ちないサクラ 杉咲花の憂い

2024年07月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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杉咲花の主演のドラマ「アンメット」を観たあと、この映画「朽ちないサクラ」を観て今までにない杉咲花を感じた。

 

先ず最初に前置きしておきます。柚月裕子原作で人気となった「狐狼の血」と比較してはいけない作品だと思っています。また、御託を並べて酷評することが趣味のような自称映画評論家は好きではないので、どの作品もかつての淀川長春さんのような感想しか述べないのでご了解ください。

なぜ、虎狼の血と比較してはいけないと言うと今回の作品は、常人の感情で描かれているからです。その常人を演じたのが杉咲花だったからです。

舞台は愛知県。実際には蒲郡をロケ地に選び、意識的に桜の咲く季節に撮影されています。ある日、川に地元の女性記者の変死体が発見されます。彼女は県警の広報職員、杉崎演じる森口泉の親友の津村千佳。実はあるストーカー被害の先延ばしによる事件と県警のスキャンダルが絡んでいます。そして、事件の背後にあるサクラと云われる存在が明らかになってきます。

狐狼の血では役所演じる刑事とその後を受け継ぐ松坂桃李演じる刑事を中心にしたバイオレンス劇が展開されるシリーズですが、今回は森口泉が主人公のシリーズの序章であり、その点を踏まえる必要があると思います。

県警に勤めるといっても、そこは広報職員でその立場ゆえに踏み込めない警察内部。その立場が普通の人を演じることの難しさを醸し出しています。親友の死を前にして広報職員としての限界を感じ警察の闇に挑んでいく次回作に期待し、きっと杉咲花の本領はそこにあると思うのです。

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映画 あんのこと:ささやかな希望がもたらした絶望

2024年06月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回は河合優実主演、佐藤二朗と稲垣吾郎共演で入江悠監督の映画「あんのこと」の紹介です。この作品心して観てほしい問題作であり傑作です。

SRサイタマノラッパーで鮮烈なデビューを果たした入江悠監督が僕がもっとも期待する若手女優、河合優実を主演に迎えた本作。2020年に起きたある少女の壮絶な人生を綴った新聞記事を基に制作された実話です。

幼い頃から母親から虐待を受け、小学校にも行けずまともな教育を受けられず、売春で生計支える21歳の少女あん。ある日、覚せい剤所持の容疑で取り調べで出会った刑事、多々羅と週刊誌記者桐野と出会い、介護施設で働きながら、夜学に通いながら更生の道を歩んでいきます。一筋の希望の光が差し始めた時、自分を助けてくれた刑事の犯罪やコロナ禍により生活が一変。再び奈落の底に落とされていきます。

今回の作品、主人公のあんは、もとより彼女に救いの手を差し伸べた刑事と記者の二つの顔により、翻弄されるあんの救いようのない現実を描いているのがこの作品の凄みです。河合優実の移りゆく様相が見事で彼女の多彩な演技力に圧倒されました。

身近に起こっているはずであろう現実に気が付かない僕を含め人々は、この映画を観た時に自らにふたをして知らぬふりをしていることに気づかされます。そして、そんな現実を加速させてしまったのはパンデミックによりもたらされた負の社会様式。時代の変化とは別に今も続く不幸な事実を、今知るべきではないかと思うのです。

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映画 関心領域が示す新視点 

2024年06月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】
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ホロコーストをテーマにした映画は僕にとっては映画鑑賞におけるライフワークとして数多くの作品を観てきました。
 
今回の作品は、僕にとって新しい視点で描かれ、恐怖が体の中にじわじわと注ぎ込めれるような作品でした。
 
マーティン・エイミスの同名小説を原作に、アウシュビッツ収容所の隣で生活する家族の幸福な日常を淡々と描いていますが、冒頭やシーンに切り替え時におぼろげなスクリーンとノイズが日常の生活を遮るように現れます。
かつて、MTVなどのミュージックビデオの世界で活躍した監督らしい斬新な演出に翌朝に軽い頭痛を感じるほどでした。
 
また、家族の日常の隣では、叫び声や暗闇を突くオレンジ色の炎など収容所で行われる地獄の日常が間接的描かれています。
 
僕がもっとも印象に残ったのが、休日所長が子供たちと共に川遊びをする場面で微笑ましく遊泳する親子の横に灰色によどんだ水が流れ遺骨を拾い上げるシーン。自らの行為の中にもまれるような恐怖が繰り広げられます。
 
ホロコーストをテーマにした作品は、正邪を明確にし、ナチスが行った犯罪行為を徹底して叩く手法は多いのですが、かつて映画「否定と肯定」で描かれたホロコースト論を視覚的効果で鑑賞者にゆだねる新しい思考に挑んでいるように思います。そこには特殊な状況下における人間の無能さと無情さを痛みという感覚で伝えているように思います。
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映画 オッペンハイマー

2024年04月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、本年度アカデミー賞を席巻したクリストファー・ノーラン監督、キリアン・マーフィー主演の「オッペンハイマー」です。

身内に不幸があり、いろいろと多忙を極めていたこととテンションが上がらないまま映画館への足も遠のいてました。まだリミットいっぱいとはいかないですが徐々に上げていこうと思います。

さて今回は、原子爆弾の父で日本人にとっては広島、長崎の不幸を生み出した天才物理学者の人生を描いた映画です。前編会話劇でつながっていく長編作品ですが、彼のスキャンダラスな人生や原子爆弾開発によるマンハッタン計画の責任者になったことで起こる悲劇を様々な視点から描いています。物理学に疎い僕は彼の人柄や人生観を中心に鑑賞しました。

作品の冒頭でアインシュタインとオッペンハイマーが裏庭での会話から別れるシーンが遠巻きで描かれています。会話の内容はラストで明かされるのですが、原爆が戦争の道具として使われることを危惧したアインシュタインと実験が下手で理論に長けたオッペンハイマーがマンハッタン計画の責任者となり原爆の成功による自分では制御できない方向に進み、栄光のなかにある苦悩の中で汚名を着せられる不幸な人生が待ち受けます。

今回の作品は先に述べたように、様々な物理学が登場するので数学が苦手な人には理解しにくいところがあります。その点はたてはまさんのYouTubeでの解説がとても分かりやすかったので参考にみてください。僕自身も科学など理論的な分野は苦手なので、理知的な風貌とは逆に人間の弱さ見たいなところが魅力的で、一般的な学者像とは違うオッペンハイマーを楽しめました。

オッペンハイマの人生は第二次世界大戦により、良くも悪くも振り回された人生だと感じます。若い頃から実験が下手で理論が得意だった彼。戦争によってブラックホールに代表される宇宙物理学の研究を断念。今、量子物理学が注目され思想、哲学の分野まで関係する現在。戦争がなかったら、違う環境下に置かれていたらと彼の人生も違う輝きをもたらしのではを考えさせられる映画でした。

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映画 哀れなるものたち

2024年02月15日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、エマ・ストーン主演、ヨルゴス・ランティモス監督の「哀れなるものたち」です。

第80回ヴェネチア国際映画祭最高賞、金獅子賞受賞した話題作は、女王陛下のお気に入りの監督と今最も旬の女優がタッグを組んだもので、原作は19世紀を舞台にしたファンタジックサスペンスといった形のものです。

物語は身重の主人公の女性ベラが海に身をなげるシーンからスタート。ウイルム・デフォー演じる異色な風貌の天才外科医ゴドウイン・バクスターにより、胎児の脳を移植されたベラが外の世界に飛び出し幼児から成人へと成長していく姿を描いています。

そうした体験の中心はR18指定がさすように、性体験を通して大人への階段を歩んで行くのですが19世紀の舞台だけあって当時に風俗や社会慣習を背景にしており、その結ぶ付きも得できるものでした。エマ・ストーンの迫真の演技も素晴らしく、今までの出演作品とは異なる大人の色気を十二分に味わえる(オスカーもありかな)ものでした。また、天才外科医を演じたウイルム・デフォーの関係や生い立ちも面白く、血の繋がった親子以上の情愛が感じられました。

当初は、どこかギレルモ監督を彷彿とさせる演出にランティモスの作品と目を疑うほどの奇抜さがありましたが、ベラと関わる人々関係性も詳細に描かれていて面白い内容でした。ラストで描かれるベラの過去も納得のいくもので原作のすばらしさをスクリーンに上手く投影されたと感じます。

3月のアカデミー賞発表の前におもしろい作品が観られ、どう評価されるか楽しみです。

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映画 僕らの世界が交わるまで

2024年01月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューはジュリアン・ムーアとフィン・ウォルフハードが親子役で共演の「僕らの世界が交わるまで」です。

話題作を次々に送り出す最も勢いのある映画スタジオA24。今回はソーシャルネットワークの俳優ジェシー・アイゼンバーグの長編初監督作品で、エマ・ストーンがプロジューサーのひとりに加わり、名優ジュリアン・ムーアとドラマシリーズ、ストレンジャー・シングスのフィン・ウォルフハードが共演と何かと話題の多い作品ですが、なぜか辛辣なレビューが多く、どんなものかと劇場鑑賞してきました。

内容はYouTubeで2万人のフォロワーを持つ高校生ミュージシャン、ジギーとDV被害のシェルターを運営する母エヴリン親子のすれ違いのドタバタ劇。思春期の息子と母親のよくある難しい関係だが、この二人、実はKYの似た者親子ってところが実に面白い。しかも二人は叶いそうにない相手に恋している。僕にとっては二人のそんな人間模様が実に面白いのだ。

そもそも、A24映画は作品によって当たりはずれがありジャンルも幅広い。ひとつ言えるのは様々なカルチャーにスポットをあてているから、そこを知るだけでも興味がそそるのだ。今回の作品はA24の中ではくせ強の作品ではないですが、今の時代の空気をうまく纏った秀作だと思う。

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