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ナルニア国物語の現実世界っていつ?

2008年05月28日 | 雑記
この物語は、その四兄弟が、この前の戦争の時、空襲をさけてロンドンから疎開した時に起こったことなのです。

今回は映画「ナルニア国物語」の第1章と第2章及び、続く第3章の現実世界の背景などを考えてみたいと思います。

「バトル・オブ・ブリテン」「ロンドン大空襲」は1940年7月から1941年5月に行われました。
おそらく第1章のロンドンの背景はこの時代だと思われます。
というか、この時代です。
このロンドン大空襲を受けてペベンシー家は田舎へ疎開し、衣装ダンスからナルニアへと旅立つのです。

そして第2章はそれから1年。
映画冒頭ではすでにロンドンへ帰ってきていて、普通に学校生活をおくっているようです。
ただし、まだまだ戦時中の雰囲気。

この時の時代背景はどうなのかというと、
1941年6月21日、ドイツは独ソの不可侵条約を破棄して、ソヴィエトへ一方的な侵略を開始します。
有名なバルバロッサ作戦の開始ですが、ドイツはイギリスへと向けていた戦力の大半をソヴィエトへ向けるようになったのです。
これによりロンドン大空襲も終わり。
おそらくペベンシー兄弟は疎開先から自宅へと戻ったのでしょう。
学校生活も普通に始まったことでしょう。

で、たぶんですが、第2章の開始はこのロンドン大空襲が終わってすぐ、1941年の9月頃の話なのだと思います。
まず、第1章の疎開ですが、大空襲が始まってすぐのような感じです。
ロンドンへの本格的な夜間空襲があったのは9月だったそうですから、おそらく1章は1940年の9月。
で、それから1年後はちょうど1941年9月。
実際映画の気候は秋口のようなどんよりとした気候。
イギリスの新学期は9月から始まりますし、ピーターたちが大荷物を抱えているところを見ると、原作どおり寄宿舎のある学校へ行くみたいです。
だから、きっと1941年9月の話なのだと思います。

戦争はこの時期、ドイツがソヴィエトを快進撃しているぐらいでイギリス的には大きな動きはありません。
東部戦線はますます戦いが激化していくのですが、西部戦線はまったく動かずスターリンをイライラさせたぐらいです。
とにかく、イギリス的には独ソ戦が始まってほっと一息の時期だったと思います。
映画冒頭部、戦争の影が色濃く落とされながらも、どこか全体的にのんびりした雰囲気はこのせいですね。
第1章の緊迫感が影も形もありません。
ただし、戦争の先行きはまったく見通せず、そういった鬱屈間が社会全体を覆っているというところでしょうか。
独英戦はあまり詳しくないのでよく分かりませんが、全世界的に見るとこの年の12月には日本がアメリカに宣戦布告し、戦争がますます混迷極めた年でした。

ところで、第3章はいつぐらいになるかといえば、さらにこの年より1年後となります。
おそらく1942年夏。
原作ではピーターがカーク教授の所へ受験勉強に行き、スーザンは両親の出張に合わせてアメリカへ。
残されたエドマンドとルーシィが親戚の家に預けられるという設定から物語が始まるのです。
が、1942年って思いっ切り戦争中ですよね?
アメリカへ行ったり大学の受験勉強している暇、無いですよね?
まぁ、大学進学はあり得るかもしれませんが、アメリカへ渡航はありえないでしょう。
Uボートがウロウロしているのですから。

ということで、映画ではピーターやスーザンは「大人」として前線へ出ちゃうのかもしれません。
2章で二人は卒業と言われていますが、サービスカットで兵士の格好をしたピーターとか看護兵の格好をしたスーザンなんかが3章冒頭で出て来ると、ナルニアへ行けない(むしろ行かない)二人の様子が分かって良いと思うのですが。
そこんとこどうですか? ウォルデン・メディアさん。ディズニーさん。

スーザンはナルニアを拒否したがっているように見えて、それがルーシィたちから非難されたりするけど、「戦争」という現実を前に「ナルニア」へ逃げないスーザンという形にしてくれると色々納得できるのですが。
例えば「最後の戦い」の結末とか。
「ナルニア」の世界と「現実」の世界は合わせ鏡なのだということを制作者たちが忘れなければいいのだけど。
4人の両親の存命も気になるところですよね。

ちなみに1942年は、
独ソ戦はスターリングラードの攻防戦より、徐々にドイツ軍が後退していきます。
独英戦では7月にイギリス軍がアフリカで勝利し、これまた徐々にドイツ軍が後退していっています。
ちょっと勝利への希望が見えては来ましたが、戦争はまだまだ終わりそうな雰囲気ではありません。
さらに、アウシュビッツでユダヤ人が大量虐殺されたり沢山の戦死者と民間被害者を出したりと戦争の重い影が色濃くのしかかってきています。
ペベンシー兄弟が第3章でどういった現実世界を背負うのか、ものすごく気になります。

さてここまでくると、第4章も気になります。
さらにこれから1年後というと、1943年。
ソヴィエトはクルスクの戦いでドイツ軍に勝利し、イギリス・アメリカ・フランスの連合軍も北アフリカ戦線でドイツ軍に勝利します。
勝利はほぼ確実となり、テヘラン会談も行われました。
続く1944年にはノルマンディー上陸も行われ、ドイツ本土決戦の末、1945年5月7日にドイツは無条件降伏をします。
勝利への第一歩という時期のイギリスの雰囲気はどんなだったかは分かりませんが、長引く戦争で子供達の心はすさみきっているかもしれません。
もしかしたら、ユースチスやジルは戦災孤児たちの施設へと入れられているのかもしれません。
かなり気が早いですが、彼らの時代背景も気になります。

そして最後、第7章。
これはまだまだ先なのでどのようにするかは分かりませんが、おそらく戦後の話になると思います。
ヨーロッパにも日本にも戦争の爪痕は深く、人々が絶望していた時代。
ドイツは東西に分裂し、世界も東西へと分裂していった時代。
ペベンシー兄弟たちはナルニアで何を見出すのでしょうか?

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